映画『チョコリエッタ』含む 風間志織監督インタビュー
インタビュー・文・構成 スズキ トモヤ
現在、関西の劇場で絶賛公開中の特集上映『風間志織監督特集上映』に際して、ご本人の 風間志織監督にズームにて、インタビューを行いました。
3作品のそれぞれの魅力や日常を切り取る洞察力、デビューしてから現在までの心境について、お聞きしました。
——監督自身、ご自身の活動を振り返ってみて、現在どうお感じでしょうか?
風間監督:しばらく映画を撮ってなかったんです。『チョコリエッタ』以来、現場に立っていませんでした。休んでみようと思い、少しの間遠ざかっていました。
昨年、京都で自主映画時代の作品も含め、上映して頂ける機会を与えて頂きました。
まとめて、すべての作品を上映してみたら、案外面白い作品作っているんだなと、他人事のように感じて、今回特集上映を開催する運びになりました。
——脚本家として、物語を作り上げる上で、テーマをどう構築しておられますか?
風間監督:テーマとは、例えば映画『チョコリエッタ』では、あくまでも原作の核を重要視しております。
この作品を撮る上で、語り継がれていく映画と若い方たちの寄る辺のない魂を探す姿が、原作のテーマではないかと思います。
それを映画でどう活かすかですが、どう映像化するか。
そのためにどうやって作るか、と考えながら作っております。
シナリオはとにかく、書き始めるところから始めます。
書き上げてから、後でまとめていくスタイルです。そんなやり方でいつも書いております。
——それでは反対に、監督として現場に立たれた時に気を付けていることは、ございますか?
風間監督:監督は立場上、現場では強い立ち位置にいますよね。
そういう感じには、なりたくないんです。ヘラヘラしながら、いつも挑んでおります。
——作品内での日常を切り取るのがとてもお上手だと思いますが、どこから着想が生まれておりますか?
風間監督:昔、自主映画を撮っている時は、描くものすべてが日常だと思っていました。
でも当時は、日常とは捉えてもらえなかったんてす。
例えば、PFF(ぴあフィルムフェスティバル)で作った『イみてーしょん、インテリあ。』という映画が、変わっていると言われます。
あの物語は、高校生当時の私の日常みたいなものです。
自分の日常を描けば、あのような作品に仕上がりました。
普通の作品を撮れないのと言われ続け、普通って何だろうと考えているうちに、誰もが共感できる日常を切り取れるようになりました。
——映画『火星のカノン』では、同性愛が描かれていると思いますが、そのテーマにしようとしたのは、なぜでしょうか?
風間監督:実は、90年代からこの作品の着想が、ありました。
脚本家の小川智子さんと一緒に話しながら、彼女にシナリオを書いてもらいました。
その頃、Vシネマがまだ人気があり、そのVシネマで何か一本作りましょうとなったんです。
熟考した結果、不倫と同性愛のテーマになりました。
物語を作り出す上で、不倫と同性愛を料理して、映画『火星のカノン』が生まれました。
——映画『せかいのおわり』では、大人になり切れない男女が描かれていますが、監督にとって「大人になりきれてない大人」とは、どういう方でしょうか?
風間監督:大人になるとは、意識して大人になったと覚悟することだと思います。
その覚悟がなければ、人間って多分、ずっと子供のままです。
その後、自分で決めた覚悟が嘘だったりすることも多いと思います。
——映画『チョコリエッタ』では、フェリーニの『道』をモチーフにしておりますが、監督自身『道』に対して、どんな魅力を感じておりますか?
風間監督:元々、原作自体がフェリーニの『道』そのものです。
題名の『チョコリエッタ』もヒロインのジュリエッタから名付けています。
時代を超えて代々受け継がれている名作として、この作品の魅力です。
ただ、私はフェリーニの『道』も好きですが、それ以上に『サテリコン』が好きです。
一番好きな作品かも知れないです。
——最後に、今回の特集上映に対する監督自身の「想い」をお聞かせ願いますでしょうか?
風間監督:上映して頂けて、ありがたい気持ちでいっぱいです。
自分で選べないので、上映して頂ける機会があるのは、とてもいいことですね。
でも、何を言われるのか、今はドキドキしています。
面白く観て頂けたら、一番嬉しく思います。今の時代は、どうなんでしょうか?
——時代によって、映画の観方は変わりますね。
風間監督:そうですよね。今の時代の方々が観た時の反応や感想が、どう返ってくるのか、今から楽しみです。
『風間志織監督特集上映』は、現在、大阪府のシネ・ヌーヴォ、京都府のアップリンク京都にて絶賛上映中です。