未体験ゾーンの映画たち2024 映画『COME TRUE/カム・トゥルー戦慄の催眠実験』映画『キック・ミー怒りのカンザス』レビュー

今年も「未体験ゾーンの映画たち2024」が、東京と大阪で開催されている。各国のマイナー映画が集結した特集映画だが、どれも質の高い作品ばかりが出揃った。アメリカ、カナダ、中国、ドイツ、ノルウェー、アルゼンチン、フランス、ウクライナ、ロシア、ニュージーランド、香港、オーストラリア、スペインの13ヶ国からアクション、ホラー、SF、サスペンスとファンタスティック系の作品群が並ぶ。

映画『COME TRUE/カム・トゥルー戦慄の催眠実験』危険であるか理解したい

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一言レビュー:睡眠に関する心理実験に参加した不眠症の少女が深い闇に飲み込まれていく姿を描いたカナダ発のSFスリラー。高校生のサラは険悪な関係の母から離れるため友人の家を転々とし、時には野宿もする生活を送っていた。繰り返し見る悪夢に悩まされ不眠症を抱える彼女は、睡眠を研究する大学施設の臨床試験に参加することに。一般人が参加できる治験や臨床実験には、時に失敗が伴う。近年もまた、ギリアドの新型コロナ薬(※1)に関して、治験に関してWHOが誤った情報を開示した報道が、2020年に流れた。また2017年には、大日本住友によるがん新薬の治験失敗(※2)が大きく取り上げられた。新薬の治験や医療における臨床実験には、危険が隣り合わせであると認識したい。過去には、映画でも取り上げられた「ナチスの独裁政治を繰り返さないため、実際に独裁政治を行ってみる」と言う心理実験や「アビゲイル実験」「ミルグラムの電気ショック実験」「コンコード刑務所実験」「ローゼンハン実験」など、人の体や病気をコントロールするのが、非常に難しく、危険であるか理解したい。本作『COME TRUE/カム・トゥルー戦慄の催眠実験』は、催眠実験の恐怖を描いたスリラー作品として仕上げている。

映画『キック・ミー怒りのカンザス』スクールカウンセラーの存在は必要

一言レビュー:アメリカ・カンザス州とミズーリ州にまたがるカンザスシティを舞台に描いたバイオレンスコメディ。高校でスクールカウンセラーを務めるサンティアゴは、問題児ルーサーの退学処分免除のため彼の自宅を訪れる。両親には会えたもののルーサー本人は不在で、彼が通う空手道場へ向かったサンティアゴは、そこでギャングとのトラブルに巻き込まれてしまう。カンザスシティ出身のゲイリー・ハギンズ監督が地元で目撃した奇妙な光景からアイデアを膨らませ、10年以上の歳月をかけて完成させた。主演は現役警察官にして格闘家でもある俳優サンティアゴ・バスケス。ハチャメチャ珍道中の模様を描いた奇妙奇天烈アクション映画『キック・ミー怒りのカンザス』は、私達が想像するほど常軌を逸した作品ではない。スクールカウンセラーの仕事(※3)は、まだ世の中に浸透しているようには思えない。彼らは、学校に配属され生徒や教師の心のケアを行う仕事を担う。具体的に、学校に通う児童生徒や教師、保護者などに対して心のケアを行う立場であり、教師や養護教諭とはまた違った立ち位置として学校に常駐している。近年、教育現場ではいじめや不登校、発達障害の子どもたちなど、学校内で解決するのが非常に困難な問題が充満している。日夜、この問題に立ち向かっているのが、学校常駐のスクールカウンセラーだが、彼らは今、来年度も教育現場で働けるのかと言う不安と苦境(※4)に立たされている。先月にも、東京都ではスクールカウンセラーを一斉解雇し、3割入れ替えが行われ、雇止め(不採用)の酷い待遇に直面している。そんなスクールカウンセラーの不安と奮闘をアクション映画として描いた映画『キック・ミー怒りのカンザス』は異色な作品だ。世間が、もっとスクールカウンセラー達の立場をより理解できる環境が整える事が大切だ。日本のスクールカウンセラー達も、本作の主人公サンティアゴのように、環境や社会の待遇に対する反逆心を持ってもいいと思っている。それができないから、本作のような作品が生まれたと思うが、教育現場の悲惨さや社会からの待遇に対して、そろそろ声を上げてもいい頃合だ。なぜなら、今後ますます、学校における教育現場では彼らスクールカウンセラーの存在は必要となって来るだろう。