「私は、その後者」9月18日(月・祝)、大阪府のシネ・リーブル梅田にて行われた映画『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』の舞台挨拶レポート

「私は、その後者」9月18日(月・祝)、大阪府のシネ・リーブル梅田にて行われた映画『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』の舞台挨拶レポート

2023年9月21日

©Tiroir du Kinéma

©2022 Why Not Productions – Arte France Cinema

映画『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』は、「そして僕は恋をする」「あの頃エッフェル塔の下で」などで知られるフランスの名匠アルノー・デプレシャンが監督・脚本を手がけ、「エディット・ピアフ 愛の讃歌」のマリオン・コティヤールと「わたしはロランス」のメルビル・プポーが憎みあう姉弟役を演じた家族ドラマ。あらすじは、舞台俳優として活躍する姉アリスと、弟で詩人のルイ。アリスは演出家である夫との間に1人息子がおり、ルイは人里離れた山中で妻と暮らしている。姉弟は長年にわたって互いを憎みあい疎遠になっていたが、両親の事故によって再会することになる。姉弟間の愛憎劇を強い愛を持って描いた映画『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』は現在、9月15日(金)より全国の劇場で絶賛公開中。9月18日(月・祝)は、上映中のシネ・リーブル梅田にて、監督・脚本のアルノー・デプレシャン氏の舞台挨拶が行われた。

上映後、監督のデプレシャン監督が登壇され、舞台挨拶が行われた。とても今感動しております。監督は、日本には6回、来日しているそうですが、東京からは一度も出た事が無く、今回初めて関西に足を運んだ事もあり、大阪の映画ファンの方に会えるのが非常に楽しみだったと話す。今回の舞台挨拶は、観客とのQ&Aの形式で行われた。まず、1つ目はフランス北部の田舎町ルーベーご出身のデプレシャン監督。自身の故郷が、作品にどう影響を受けているのか質問を受けた監督は「ルーベーという町は、フランスの中で一番財政が貧弱化しており、暮らしも荒れている地区が最も多い。ルーべーにはフランス語の訛りがありますが、私がパリに上京した時、その訛りをすべて捨ててパリジャンになろうと決めた時期もありました。でも、私のデビュー作『二十歳の死』を撮ろうとした時、自然と私の足は故郷ルーべーに向いていました。やはり映画の力というものは、素晴らしいんです。見捨てられたような場所を、カメラを通してより輝かしい場所に変えることができるんです。」と、自身の郷土愛と映画が作る世界観について話された。そして2つ目の質問。本作の主人公ルイの人物設定が詩人という少し特殊な職業ではあるが、この詩人に関する質問を受けた監督は素敵なエピソードを一つ話された。「姉のアリスは有名な女優ですが、詩人は影のような存在です。ここで一つ、詩人に纏わるエピソードを1つお話したいと思います。 この映画の最後に読んでいる詩がありますが、あの詩を書いたのはアメリカ人の詩人です。私の友達でもありますが、彼も、詩人としてとても評価されていますが、それでも主要な読者は限られています。彼も教師をしながら、田舎に住んでいます。 そんな彼の元にある日、配送業者がトラックで何かを運んで来ました。何かと思ったら、あなたに渡したい物があると書かれた手紙を受け取りました。その中を開いてみると、有名な画家ジャスパー・ジョーンズ氏から自身の絵をプレゼントされたと言うんです。ジョーンズ氏は、その詩人の詩集を読んで、大変感動されたと話す。これは、本当にすごい話です。この詩人のように慎ましく生活していても、いつか輝ける日が来ると、このエピソードは私に教えてくれた思い出の小話です。」と、詩人に纏わるご自身の素敵な体験を重話された。

最後に、作品におけるオマージュについて話が及びと「映画監督には2種類いると思います。1つ目は、自分の作品しか愛せない人。2つ目は、他の監督作品もすべて愛せる人。私は、その後者です。」と、オマージュにおける監督自身の持論ついて話をされた。

映画『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』は現在、関西では9月15日(金)より大阪府のシネ・リーブル梅田、京都府の京都シネマにて、絶賛公開中。兵庫県のシネ・リーブル神戸では、9月22日(金)より上映予定。また、全国の劇場にて、順次、公開予定。