映画『カタオモイ』『海辺の恋人』「人生は楽しく明るいもの」いまおかしんじ監督インタビュー

映画『カタオモイ』『海辺の恋人』「人生は楽しく明るいもの」いまおかしんじ監督インタビュー

結婚生活20年を過ぎた主婦の恋愛冒険譚の映画『カタオモイ』『海辺の恋人』いまおかしんじ監督インタビュー

©2023「海辺の恋人」製作委員会

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—–2作品の映画『カタオモイ』『海辺の恋人』のそれぞれの制作経緯を、サラッとで舞いません。教えて頂きますか?

いまおか監督:最初に、映画『カタオモイ』は、1年前に撮った前作『会いたくて 会いたくて 会いたくて』という作品に出演された丸純さんに、再度主演を演じて頂こうと考えて、制作しました。前作の1本だけだと寂しいのもあり、もう1本何か出演作と考えた企画です。物語は、下町のおばちゃんが、他人を巻き起んで起こすコメディです。だから、年齢が年上女性のブストーリーとして考えています。もう1本、映画『海辺の恋人』は逆に、もう少し若い年代の男女の出会いから別れを描こうとしたんです。プロデューサーからは、映画『ラ・ラ・ランド』を連想させてくれる映画というお題を言われて、 この作品に寄せて作品を制作したんです。分からないようにオマージュすれば、問題ないと思いました。オマージュするのは問題ないですが、普通に似た映画を作っても面白くないので、カメラアシスタントや大道芸人という設定で制作しました。

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—–映画『カタオモイ』では正直、40代の家庭を持つ女性が、ほぼ初対面の年下男性に片思いをするという 姿に、先程も出ましたが、少し、痛々しい反面、愛くるしさも私は感じました。40代の女性が、一人の若い男性に思いを寄せる、彼女のその心情を、監督はどう捉えていますか?

いまおか監督:人を好きになる事は、実は人生において回数的には少ないと思うんですよね。年齢が上がれはば、 出会いも少ないに等しく、もし恋愛ができたとしても上手くいかない方が多くあります。それでも、人を好きになり、恋愛感情が芽生えて、人は元気になるんだと思います。毎日が何もかも楽しいという時期だって、あるじゃないですか。大概、恋愛は長持ちしないんです。だけど、短い期間だからこそ、燃え上がるんです。後々、私達はまだまだ行けるんじゃないかと思う時もあると思います。だから、年齢は関係なく、人を好きになり、恋愛をしながら何気ない会話を楽しみ、今日なに食べようと、話し合う事が愛や元気の源になると私は思うんです。だから、歳を重ねた方々の恋愛も、もっとあってもいいなと思います。老人になっても、ずっと思い続けます。

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—–こ映画の設定では、5回家出をしたという設定です。その理由が「寂しい」から家を出たと。果たして、寂しいという理由だけで、そんな5回も家出をするのかなと…。他に何か本当の理由があり、家出をするのでは?物語は、その背景を描いてないですが、5回も家出をする彼女の心情について、監督はどう考えていますか?

いまおか監督:ほら、彼女は海洋学者なりたいという夢が、あるんですね。でも、酒屋の奥さんだと、夢を追うのは難しいと思うんです。それもまた、リアリティがなく、簡単にできるわけないと思いますよね。 色々、羽ばたいてみたいという彼女の心情や、挑戦してみたいという気持ちを持っている人という設定だと思うんですか。元々、エネルギッシュな人ではありますが、そのエネルギッシュな部分を家庭で抑えられている背景はあります。だから、前に踏み出せず、踏み出そうとして、頑張っているんです。1歩は必ず出ているんですが、それでも、なかなか上手くはいかないんです。

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—–では、映画『海辺の恋人』は、先ほど話題にも上がりましたが、大道芸人と女性カメラアシスタントの恋愛を軸に描いていますが、この組み合わせは非常に珍しい構成だと私は感じます。大道芸とカメラアシスタントの設定は、作品にどう影響し合ってると思いますか?

いまおか監督:元々、大道芸は好きで、昔からよく見に行っていたんです。彼らの世界は、僕たちの映像の世界に似ている雰囲気はあります。芸能界という観点から見ても似ています。また、僕らは貧乏臭いじゃないですか。皆、お金なんてないと思うんです。その上、一部の人たちがお金を持っている世界。大道芸の世界だって、本当にお金がなく、他人から馬鹿にされて、つまんないとか言われて、厳しい日々を送っていると思うんです。駆け出しの頃は、特に。それが割と映像業界の面々と心情が近く感じています。あと女性カメラマンを設定に持って来たのは、カメラを撮った後、写真は必ずビジュアル的にも残りますよね。その残った写真を後日、素材として使えるかと考えて、今回の設定になったんだたと思います。

—–前回のインタビューでもお話されていた丸純子の魅力についてですが。今回、改めて、丸純子さんの魅力を少し気づかされたように思うんです。監督にとっての、丸さんの魅力を教えて頂きますか?たとえば、前回から今回では変化があったのかどうか。

いまおか監督:彼女は、非常に真面目です。過剰に、考え過ぎてしまう一面もあります。毎回、真面目に考えなくてもいいですよと伝えているんですが、それでも、非常に真面目で、 すべてを過剰に受け止めてしまう方です。

—–役柄とは、反対なイメージではありますね。

いまおか監督:そうかもしれないですね。本当は、その真面目さが、どこかのタイミングで行き詰まってバーンと爆発してしまう瞬間があるんです。その過程を過ぎれば、役者として非常に弾けて、花開くんです。それは、それで面白いんです。

—–その逆に、丸さんが演じる女性とは、どのような魅力がありますか?

いまおか監督:どうでしょうか?周りに自身の胸の内を見せないタイプだと思います。色々な事を我慢してたりするんですが、いつもニコニコしているんです。案外、エネルギッシュな方や面白いところがある方は、楽しいだけではなく、乱暴だけど、少し人の愚痴も聞いちゃうタイプの人間です。その両方を持っている事が、魅力的だと思います。

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—–映画『カタオモイ』では、40代の大人の女性の大人のための恋愛を描いていると思っています。前作の映画『会いたくて 会いたくて 会いたくて』と通じるような同じ題材、設定を取り扱っている印象を私は持ちました。このピンポイントな大人の、40代の恋愛を、 監督自身はどう捉えておられますか?

いまおか監督:40代は、旦那もいる、大きい子供もいる。だから、恋愛なんかしている場合ではないと思うんです。恋愛自体はして良いと思うんですが、 結果的に不倫な関係になってしまいますよね。様々な状況がある中で、不倫関係になってしまう確率は高くなりますよね。だけど、後で振り返ったら、その時間が大切だったと思える事こそが多分、大人の恋愛じゃないかなと。歳を重ねれば重ねるほど、相手もいなくなって来ます。1回1回の恋愛が、貴重になって来るんですよね。40代、50代になるに連れて、恋愛できるできないも含めて、貴重になるんです。だから、40代という年齢からの恋愛は、本当に皆、怒られてしまいますよね。何やってんだって。

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—–2つの作品で、個人的に気になったのは、映画『カタオモイ』では、「知識が人を助ける」というセリフがあります。また、映画『海辺の恋人』では露骨に、ピンポイントなセリフとして、「勉強しろ!」と言う場面があります。意外と恋愛要素には関係ありませんが、両作品において、自身の中で引っ掛かるものがありました。今回は、恋愛要素以外で、実はこの要素の部分が、共通しているのかと。ある種、この2作品を通して、共通点を確認できます。監督は、 今お話した要素について、どう考えていますか?

いまおか監督:恋愛だけではなく、勉強もして行く必要がありますよね。生きてくためには、色々必要であり、勉強だって必要です。人生では、様々なトラブルに巻き込まれる事がありますが、人生に大切なものとは何か?と本当は、語りたいんです。 恋愛は、少し俗っぽいじゃないですか。好きとか、嫌いとか。人生には恋愛だけでなく、もう少し、 人生や人の機微に触れて生きる生活が、大切です。好きとか嫌いとかの前に、人生の美しさについて考える必要だって、時にあると思っています。ただ、それでも、そんな作品を作っても、観てくれる方がいるのか、心配でもあります。

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—–映画『海辺の恋人』のプレスにて、「30代前後の男女が夢に向かって悪戦苦闘しながら交流する」とあります。かたや、映画『カタオモイ』では、40代の恋愛を描いていますが、これらを比較した時、30代の恋愛と40代の恋愛の大きな違いとはは、なんでしょうか?

いまおか監督:違いはなかった、あったりするんです。20代、30代の恋愛、まだ人生を経験したことがないので、付き合って別れてを繰り返すんです。でも、40代以上にもなると、幾度となく失敗も経験し、失敗しなくなるんです。失敗のない日々があれば、つまらないですよね。ある程度の熱量の違いがあるかもしれませんが、20代と30代の方、そして40代以上の方、それぞれに少し違いもあると思います。20代は、失敗しても、次のステップに行けるエネルギーがあるんです。その良さは、必ず確実にあります。

—–危険な道を歩かなず、敢えて失敗しないのが大人の恋愛ですね。

いまおか監督: そうそう。それが、大人の恋愛です。

—–若い子は、その危険を知らないからこそ、 どんどん突っ走って行くんです。向こう見ずな一面もありますが、たとえば、駆け落ちをするのも失敗を知らないからでしょう。

いまおか監督:そうですね、そこがそれぞれの大きな違いだと思うんです。

—–40代、50代の方も、家庭を持っている以上、駆け落ちはできないと思いますが、家庭を捨てでも駆け落ちをしてる方もいますよね。

いまおか監督:色々な背景が、出て来てしまうんです。だから、なかなか動けないんです。

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—–1歩、踏み出せないんですよね。だから、危険な道には行かないようにしているのでは?また、映画『カタオモイ』は、40代以上の男女たちが、「もしかしたら、私にも別の人生が…と思える作品」とはあります。その40代の方にとって、 私たち一人一人にもう1つの人生を生きれるとしたら…。本作の恋愛要素を踏まえて、人それぞれあると思いますが、どんな人生が待っていると思いますか?

いまおか監督:どこに行っても、きついと思うんです。この今の日本の状況であるなら、どこ行ってもきついだけです。ただ、きついからと言って、抜け道を探したくなるものです。映画にも、何かあるようで見つけて、取り組んで行くしかないんです。厳しい世の中ではありますが、そんなに愚痴ってばかりいても、しょうがないんです。それはもう生きていくしかないんですよね。生きている限り、恋愛も含め、恋愛じゃなくてもいいですが、仕事や遊びに没頭できる環境さえあれば、人生そのものは楽しく明るいものになるんです。

—–没頭できるものですね。最後に、2作品の映画『カタオモイ』『海辺の恋人』が今後、どのような道を歩んで欲しいとか、また作品への何か展望はございますか?

いまおか監督:作ったからには、たくさんの人々に観て欲しいです。多分、テーマがあったり、社会的に憤りを感じている作風ではないですが、まず見て頂き、少しだけでもいいので、いい気分になれ、ホッとできるような気持ちで観てくれたらいいなと思います。本作2本を必要ないと思う方もいらっしゃるのも事実ですが、気持ちが少しでもホッとしてくれれば、嬉しく思います。

—–貴重なお話、ありがとうございました。

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映画『カタオモイ』『海辺の恋人』は現在、関西では9月23日(土)より大阪府にあるシアターセブン、兵庫県の元町映画館にて上映中。

(※1)20代、30代、40代 「幸せな恋愛」はこう変わるhttps://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1800X_Y2A211C1000000/(2023年9月23日)