「愛するということ」をテーマに描く映画『恋愛準々決勝戦』小濱匠監督インタビュー
—–小濱監督の作品『恋愛準々決勝戦』が、大阪初上映される今のご心境をお聞かせて頂けますか?
小濱監督:この作品そのものが、3年前に製作したんですが、コロナの影響で上映ができなくて、去年の年末に、渋谷アップリンクさんでやっと、上映させて頂きました。
僕自身も、自分の作品が初めての上映でしたので、緊張もありました。
やはり上映することで、自分自身の意識も変わってきますし、凄いいい経験にもなりました。
それがまた、大阪で上映して頂けるチャンスを頂けたのは、すごく楽しみにしております。
—–本作『恋愛準々決勝戦』が、生まれた経緯を教えて頂けますか?
小濱監督:僕が映画を学んだ映画美学校という学校がありますが、そちらの修了制作の一本として撮影しました。
—–一本として撮影されたのですね。卒業制作のようなものですか?
小濱監督:そうですね。シナリオと演出に関するコンペみたいなものがありまして、2本だけ選ばれるうちの1本として選ばれました。
少しだけ、学校側から助成金も頂き、製作できる体勢となっております。
—–タイトルの『恋愛準々決勝戦』には、どういう意味を込められましたか?
小濱監督:このご質問は、どの媒体さんでもお聞きして頂けるんですが、僕としては冒頭とラストが、踊りで始まり、踊りで終わる映画でした。
タイトルがまったく決まってない時に、踊りの映画とは何があるのだろうかと考えました。
フレッド・アステアのミュージカル映画『恋愛準決勝戦』があるなって思って、「タイトルを『恋愛準々決勝戦』でいいなぁ」と、仮題名として決めておりました。
そのまま撮影も進む中、だんだんしっくり来はじめて、スタッフの中にもタイトルを連呼する人も現れて、気付けば本タイトルになっておりました。
後付けになってしまうんですが、準々決勝ということは、準決勝、決勝と先もあるし、終わってからでも膨らみもあるという意味合いがあるタイトルでもいいのかなと、撮影中にスタッフとも話しておりました。
そのまま本タイトルになりました。
—–先があるということですね。負けても、勝っても次があるという前向きなメッセージも込められておられるんですね。本作の演出面で、ここは拘ったという部分はありますか?
小濱監督:僕が映画美学校で教えてもらっていた講師の万田邦敏さんという映画監督の方がおられますが、その方の演出が特に、役者の動きを付けるのが、物凄く上手い方なんです。
その方の現場にも、一緒に行かせて頂き、僕も意識的に役者を動かしたいという意識はありました。
そのような面において、二人芝居というよりも、極力動いたり、割と動けるようには意識して、演出はしておりました。
—–冒頭からダンス・シーンが、挿入されておりますね。動きの多い作品と捉えてもいいのかと感じました。
小濱監督:芝居上の動きでは、場面のほとんどが室内でのシーンが多かったんです。
立ち芝居や立ったままの状態ですと、あまり良くないかなという思いもありました。
—–動の部分を多めに挿入された感じですか?
小濱監督:はい、そうです。
—–本作のシナリオを書く上で、何か気をつけていたことはございましたか?
小濱監督:当初、一番最初に出来上がった時は、この作品自体は20分の短編映画でした。
そこから改稿していくうちに、どんどんページ数が増えて行き、現在の50分という作品となりました。
多分、当初書いていた時と今出来上がった時とは、だいぶシナリオの内容も変わっているんです。
フィクションを撮ろうとしたところは、気をつけていたところでもありました。
ナチュラルな感じの台詞より、どちらかと言うと、フィクションぽい、あまり普段言わないような言いづらいような言葉を意識して、チョイスしました。
—–本作では、ある意味、実験的なことをされているのかなと思いますが、どうでしょうか?
小濱監督:そうですね。短編を2本撮っただけで、僕自身も監督作がほぼない状態なんです。
自分たち自身が、自主映画のできる範囲、またお金のない中で、製作ができるようにと、色々意識はしました。
—–予算面以外でも、自分たちができる範囲で、工夫して作り上げたんですね。
小濱監督:そのように意識しながら、製作に取り組まさせて頂きました。
—–すごく個人的に気になったのは、今回プロデューサーや音楽担当で、携わってらっしゃるアンドリュー・シンさんですが、彼の監督作品にも小濱監督は参加されていらっしゃりますが、とてもお近いご関係かと感じて、お聞きしたいと思います。
小濱監督:アンドリューさんも、僕と同じ映画美学校の同期なんです。
昔から短編の現場でご一緒したり、僕自身も監督以外に、撮影部や録音部を担当することもあります。
アンドリューさんの現場では、僕が録音をしていたり、僕の現場ではアンドリューさんがプロデューサーを担当して下さったりと、そういう形で映画美学校の同期の中で、皆で協力し合って、今も映像製作に勤しんでおります。
—–なかなか、いいご関係かと、自分は思います。学生の時に出会って、在学中だけでなく、卒業後も一緒に製作できるのは、うらやましい限りです。
小濱監督:いい仲間は、映画美学校時代にできたかなと、僕は思います。
アンドリューさん以外でも、何人も一緒に現場をしている人はいます。
—–様々な作品で、お互い携わっていらっしゃるのですね。ありがとう。この作品のテーマが、「愛するということ」ですが、こちらのテーマで作品を製作するきっかけになったのは、なんでしょうか?
小濱監督:最初から、このテーマで書き始めたわけではないんです。
一番最初に僕が考えていたのが、双子のネタをやりたいと、考えておりました。
同じ顔で、違う人格を持っていて、その2人の人物がいて、その人物を一人の役者で演じてもらうと、画的にも色々楽しめるのかなと、考えておりました。
それが結局、シナリオ化するに当たって、あまり上手に書けなかったんです。
このネタを一旦捨てたんですが、悩んでいた時に、どうしても同じ顔で別人格の作品を作りたいと思った時に、ふと湧いて出てきたんです。
亡くなった人が、また別の人格として登場するという物語になりました。
—–だから、三角関係の設定にしているのは、その双子の設定からになっているのですね。
小濱監督:はい、そうですね。
—–本作の完成前と完成後で、何か気持ちの変化は、ございましたか?
小濱監督:ありましたね。完成後というよりも、一度上映した時に、僕の中の意識が変わり、もう一本撮りたいという意欲が湧いてきました。
そういう意識は、今までよりもずっと、強くなりました。
—–話が脱線するかも知れませんが、次回作は考えていらっしゃいますか?
小濱監督:まだシナリオも出来上がっておりませんが、一応考えはございます。ずっと考え続けているものは、ございます。
—–最後に、本作『恋愛準々決勝戦』の魅力を教えて頂けますか?
小濱監督:一般的な映画に比べたら、50分は短い作品ですが、僕なりにいい感じのテンポ感で出来上がってるのかなと、思います。
経験の浅いスタッフが、皆で集まって製作しています。
役者さんも、スタッフも、学校関係で知り合い、修了製作という形で作らせて頂きました本作です。
観て頂いた方には、よく不思議な映画だと言われることが多いんです。
本作は、学校の修了製作として作った作品ですが、僕含めスタッフも、キャストも、今売れ始めてる人もおられる中、フレッシュな映画にはなっております。
50分という短い作品ですが、ぜひ観て頂ければと、思います。
映画『恋愛準々決勝戦』は、シアターセブンにて6月18日(土)、6月19日(日)の2日間のイベント上映を開催。両日、小濱匠監督とアンドリュー・シンプロデューサーの舞台挨拶を予定。