「コロナ禍を経て、映画祭を運営する今」10月21日(土)、京都府の京都市東山青少年センターにて行われたスポットライト映画祭の映画祭レポート

「コロナ禍を経て、映画祭を運営する今」10月21日(土)、京都府の京都市東山青少年センターにて行われたスポットライト映画祭の映画祭レポート

2023年10月22日

©Tiroir du Kinéma

本日10月21日(土)、明日10月22日の計2日間、京都府京都市にある京都市東山青少年センター2階創造活動室にて、京都大学在学の学生主体で開催された「スポットライト映画祭」が、開催された。京都大学の映画研究部雪だるまプロ所属の学生が中心となり、述べ2日間、計20作品の中短編が上映される。上映作品は、学生映画が主に選出されているが、その中には関西で活躍する自主映画の関係者の作品も入選し、上映される予定だ。私が個人的に、本映画祭に興味を持ったのは非常に、公平に作品を選定されている点だ。学生映画祭と銘打っているのであれば、学生側の運営と、学生の観客、そして学生映画と、身内だけで楽しむだけ楽しんでもいいのだが、ここに自主映画を絡める事で、映画祭の趣旨はガラッと変わる。学生、一般関係なく、どの作品にも公平に、扱っている点、全関係者に対して丁寧に取り組んでいる。と、私は受け取った。また、映画祭の公式アカウントの紹介文には、「京都の町で、学生中心の気軽に自主制作映画を公開できる映画祭をテーマに」とあるが、敷居を低くしつつ、運営側の熱気と苦労を思うと、一つの映画祭を学生達が積極的に立ち上げるのは、生易しいことではない。人員の確保、場所の確保、作品選定など、仕事は山ほどある。それでも、主催者をはじめ、映画祭を立ち上げたいと集まった学生達は、「京都の映画サークルや全国の自主映画監督、役者さんを繋ぎたい! 」と願い、一つの映画祭が産声を上げた事は、非常に尊い事だ。ここには、シネコンや大作映画にはない、大切な何かが確かに存在する。学生達が中心となって催されている「スポットライト映画祭」は、本日10月21日(土)、明日10月22日の2日間、京都市にある東山青少年センター2階の創造活動室にて、開催中。

©Tiroir du Kinéma

本映画祭の主催を務めた嵜野凌さんが開会式に登壇され、「スポットライト映画祭」への熱い想いを話された。嵜野さんは、「京都の映画サークル同士を繋げたいという目標を持って、運営して来ました。私達はコロナ禍を経験し、映画サークル間での交流が絶たれていました。映画サークルの性質上、自身のサークルのみでの上映会は完結できてしまう環境。運動系サークルが行う練習試合が、映画サークルに必要かと、個人的に考えて来ました。今回、本映画祭を企画する事によって、開催を通して、京都の映画サークルが繋がれればと願って、企画した映画祭です。ただ、本映画祭を運営するに当たり、最初の構想より大きなものとなり、全国の映画監督から作品が集まりました。また、本映画祭は、すべての関係者にフィードバックを返す事を目標に、今まで運営しておりました。国内にも多くの映画祭があると思いますが、応募して、予選を通過しないと、作品の作品評が貰えない環境にあります。ただ、作り手達は、予選を突破するまでの製作力をつけないと、作品への講評が得られないと思いますが、これを踏まえて考えた時、すべての作品に予選段階から意見や感想をお返しする取り組みを発案しました。制作関係者にフィードバックのお約束をした上で、本映画祭を運営しています。」と。

最後に、学生主体の映画祭は、日本全国には全体の数パーセント存在する。今回、取り上げた映画祭は、その数パーセントのうちの一つに過ぎないが、企画を発案し、協力者を募り、提供してもらう場所を探して、当日の本番まで学生だけで一つの映画祭を通して、関西における「映画文化の灯」を与えた功績は大きい。昨今、ミニシアターを初めとする、全国の映画館が一つの文化や時代に幕を下ろす背景が増えつつある。ここ京都でも、歴史ある映画館「京都みなみ会館」が9月30日をもって、長い長い歴史に幕引きしたばかりだ。そんな中、これからの日本社会を担う若い人材達が、声を上げて、一つの映画祭を立ち上げた行動力は、高尚の極みだ。今回、本映画祭の取材を通して、朧気ではあるが、日本映画の未来が、ないしは日本社会の未来が、ほんの少し明るいと、強く感じた。

©Tiroir du Kinéma

スポットライト映画祭」は、10月22日にも京都市にある京都市東山青少年センター2階創造活動室にて、10時30分から17時まで開催されている。