「「ヴァカンス映画」を撮りたい。この一言から始まった。」シネ・リーブル梅田にて映画『クレマチスの窓辺』の舞台挨拶レポート

「「ヴァカンス映画」を撮りたい。この一言から始まった。」シネ・リーブル梅田にて映画『クレマチスの窓辺』の舞台挨拶レポート

©Tiroir du Kinema

5月28日(土)、大阪府にあるシネ・リーブル梅田にて、映画『クレマチスの窓辺』の舞台挨拶が、行われた。

この日は、監督の永岡俊幸さん、主演の瀬戸かほさんが、ご登壇されました。

映画『クレマチスの窓辺』のあらすじ。

都会生活を出奔した東京生まれ東京育ちの都会っ子の絵里。

永逝した祖母が生前、生活していた田舎の水辺地区の街に佇む古屋敷で一週間のヴァカンスを送る。

絵里が過ごした一週間は、彼女にとってに、街で暮らす人々との貴重な交流の時間となった。

建築デザイナーの従兄とその婚約者、大学生の親戚の妹、靴屋、古墳の研究者、旅人など、海千山千な人々と出会う。

祖母の形見の品によって、絵里の内面を僅かに変じていく。

この日、ご登壇された永岡俊幸監督は、なぜ東京の監督が、島根県で作品を制作されたのかと聞かれ

「実は、島根県が地元なんです。出身は、島根県益田市なんです。島根の中でも西側に位置する町なんですよね。松江市は、進学した高校時代に三年間、一番映画を観ていた時期に、住んでいた町です。その中でも、最も町の「景色」が、自分の意識の中で印象に残っておりました。ヴァカンス映画を作りたいと思った時に、この町の風景がピッタリくるのかなと思いました。映画として、一番ハマるのは、松江市かなと思いました。」

と答えていた。さらに、故郷に帰ってくるヒロイン役を瀬戸かほさんを起用した経緯を聞かれ、監督は

「いわゆる、ご当地映画にはしたくありませんでした。撮り方そのものも、脚本にも、「地名」を出さない工夫をしました。その点と瀬戸かほさんの組み合わせが多分、非日常と言いますか、異国感があるような感じになるのかなと想像しました。画的に映えるのかなと考えた部分もありした。また、瀬戸さんには過去に、2本作品に出演して頂いていた経緯もありますので、勝手を理解して頂ける気心の知れた女優さんでもありましたので、そのままお願いしたという経緯があります。」

と、話された。脚本は、当て書きをしたかどうか聞かれ

「キャスティングが決まった時点で、キャストの方々に合わせて本直しは、しております。半当て書きのシナリオみたいな感じです。C・イーストウッドが言うように、「キャスティングした時点で、自身の演出は決まっている。」とお言葉がありますが、そのような気待ちで撮影に挑みました。」

主演の瀬戸かほさんは、本作の出演中はリラックスしているように見えた点に聞かれ

「一番最初に監督から「ヴァカンス映画」を撮りたいと連絡がありましたが、私は「ヴァカンス映画」が一体、どんなジャンルかまったく検討も付きませんでした。でも多分、この作品で一番、「ヴァカンス」を楽しんだのは、私自身だったと思います。」

気心の知れた間柄での撮影だったというお話から、どのような現場だったのか質問され、瀬戸さんは

「もちろん一週間、お芝居として、撮影現場に入っておりましたので、羽目を外すことはありませんでしたが、楽しみながらお芝居できたことが、リラックスして撮影や演技に挑むことができました。いい雰囲気の中で、役者として製作に携わることができました。語弊を招いしてまいましたら申し訳ありませんが、永岡監督は、他の出演者の方同様に、強く演技指導を行わない方です。細かい指定もあまりなく、役者の方がその役に沿ったイメージを作って来て、お芝居を見せ、監督がそこで指導をして頂けました。」

そして、現場は大変だったかと聞かれ

「絵里は主役ですが、その他の役者さん達のキャラが濃いのと、その方々がメインというところがあります。私が主役ではありますが、回し役的な存在でした。その点において、色々な方とお芝居するのが、とても新鮮でもありました。あと、監督がカットを言わない方なので、ずっとアドリブで話し続けることが、大変でした。」

カットを言わずに回し続けた場面は、ほとんどのシーンで使用していると、監督は説明しましたが、瀬戸さんはアドリブの大変さを聞かれ

「一つだけ印象に残っている場面が、あります。ある夜盛り上がって、従姉妹の女の子と蔵に行くシーンが、あります。本当に、蔵が真っ暗で怖かったんですが、全然カットが掛からなくて、蔵の近くまで行ったら、そろそろカットを言ってくれるだろうと期待しましたが、二人で蔵を開けて、中に入る瞬間でやっと、カットが入りました。その部分はほとんど使われてなかったと思います。」

この発言には、永岡監督は少し驚いておりました。

他にも、撮影期間中の労働時間やハードな撮影だった事にも話が及んだ。スケジュールのほとんどが、雨模様の天気だったと監督は話された。雨の中での撮影を余儀なくされる中、ほとんどの場面が晴天の中、撮影したことにも触れていた。また、この作品に影響を与えたフランスの監督エリック・ロメールにも言及された。

©Tiroir du Kinema

映画『クレマチスの窓辺』は5月27日(金)より一週間限定上映として、シネ・リーブル梅田にて絶賛公開中。