映画『インフル病みのペトロフ家』
インフェクション。姦邪は聢と、伝染する。インフルエンザ・ウィルスのように、じわじわと人の心を漆黒な感情で蝕んでいく。
時間を掛けて、その根底にある清い精神を侵食する。
ロシア連邦の最高責任者ウラジミール・プーチンの所業が、世界的に批判の的にされているのは、公然の事実だ。
彼の思想は、暗黒の闇を纏った邪な心で一杯で、これ以上ないほどに、賎陋な企てでウクライナのみならず、全世界を周章狼狽に翻弄させている。
映画『インフル病みのペトロフ家』は、そんなロシア連邦やその指導者たちに対する痛烈な批判と皮肉を絡めたヒューマン・サスペンスだ。
あらすじは、インフルエンザに罹患した主人公のペトロフ。彼は、高熱と寒気、吐気に襲われ朦朧としながら、幻覚と実情の狭間を往来する。
一人の男の悪夢を描写しながら、現ロシア政権への反体制的な態度で物語が展開されていく。
ペトロフは、インフルエンザ・ウィルスによる熱病に侵されながらも、漸近と自身の幼少期へと記憶と意識が飛ばされていく。
二項対立する過去と現在、妄想と現実の釁隙で、彼は一体何を目にするのか。
プーチン政権の最期か、ロシア連邦の崩壊か。
世界は今、従前的に混迷を窮めたカオスの渦の真っ只中にいる。
まるで映画は反権力的で、また挑戦的な作りとなっており、反体制を掲げるキリル・セレブレンニコフ監督の現ロシア政権に対する対決姿勢な思想が作品に投影されている。
でも、この喧嘩腰な態度は、露国家のみだけに向けられている訳ではなく、作品を鑑賞する観客一人一人にまで喧嘩を売っているようだ。
まるで、「この映画の真の目的が分かるのか、考察でもしてみろ」と、キリル監督の過激な挑戦状が、作品の節々から伝わってくる。
頗る精神的芸術的暴力は、身体中のアドレナリンを欲情させ、画面の中の主人公ペトロフ同様に、観客側も何か得体の知れない熱病的発作に脳髄が溶かされそうになるのは、必至だ。
さぁ、考察の時間の始まりだ。キリル・セレブレンニコフ監督の果たし状が、日本全国に散布された。
この映画を通して、何を理解できるのか?何を深掘り、深読みできるのか?「私が描くこの暗然たる意味深長な世界観を読解しろ」と、監督からの強いメッセージがスクリーンの隅々から伝い、脳内に突き刺さる。
ソビエト連邦時代の強力な社会主義国家へと生まれ変わろうと、また舞い戻ろうとするプーチン政権を打倒すべく、祖国を追われても尚、監督は露政権の「悪」を白日の元に晒そうと、今日も反体制的な声明文で自ら意思表示をする。
本作『インフル病みのペトロフ家』を製作した監督は、前述したキリル・セレブレンニコフだ。
彼は、ロシア演劇界の異端児として長年、活躍してきた名舞台演出家だ。
正式名は、キリル・セミョノヴィッチ・セレブレニコフ。ロシア南西部の最大都市、ロストフ・ナ・ドヌーに生まれる。
現在は、ロシアの演劇業界を初めとし、映画やテレビにもその活躍の場を広げる、いわゆる「デキる人」だ。
軽く、監督の生い立ちと経歴を触れると、1969年に泌尿器科医の父親Semyon Mikhailovich Serebrennikovとウクライナ出身のロシア語とロシア文学の教師だった母親Ирина Александровна Литвинの二人の間に誕生した。
彼は、高校の卒業式に「金メダル(このメダルは、ロシア連邦および旧ソビエト連邦の学生達が義務教育修了時に周りの学生達との区別を付けるために製造されるバッジだ。メダルは、優秀な卒業生が高成績を残した証として、激励する目的で手渡されるもの。)」を授与され、首席で卒業している。
また学生の時には既に、最初の演劇を上演させるなど、若い頃から舞台演出家としての腕を見せていた。
家庭環境の影響もひとつであろうが、彼の持つ潜在的才能が、早くから躍進していたのだろう。
また、ロストフ大学では物理学部を専攻し、ここでも首席で卒業している。
演劇面(文化系)と物理学(理学系)という二足の草鞋を履きながらも、その両面で目覚しい功績を残しているのは、才能の塊だろう。
7年間で、ロストフ・ナ・ドヌーのすべての劇場において、10回の公演を成功させてもいる。
セレブレニコフ監督は、舞台監督として1992年からおよそ30年間の間に、50以上の舞台を成功へと導いた功労者だ。
また、映画監督・脚本家としては、演出家として活動を始めた90年代から並行して、作品を製作している。
ここでも、二足の草鞋を履きながら、両方の業界で名声を手にしている。
彼の作品が、日本国内に配給されるようになったのは、残念ながら前作『LETO -レト-(2018)』からだが、実際はこの作品を製作する前から、短編やドキュメンタリー、テレビドラマの1エピソードを含めれば、約15本程の映像作品を監督していることにも、驚きだ。
そんなロシアの演劇、映画業界に欠かせない存在の監督は今、プーチン政権に対する反体制的な姿勢が仇となり、ロシアからドイツに亡命中。
今年1月には、新しい舞台の演出家として活躍している。
キリル監督は、昨年のカンヌ国際映画祭開催時に行われた本作『インフル病みのペトロフ家』についてのインタビューで、(※1)脚本執筆中のモスクワでの裁判(国家予算横領の罪を問われて自宅軟禁状態に遭った「第七スタジオ事件」)、また「自宅軟禁」の刑が下された時の事を聞かれ、彼はこう答えている。
「それはある種の並行生活でもありました。朝から午後まで、私は法廷に出廷し、身に覚えのない罪状で裁かれておりました。夜、私は撮影のクルーとロケ地に来て、本作を撮影しました。まったく眠れない時間を過ごしましたが、脚本執筆中は、このばかげた裁判沙汰について考えを捨てるのに役立ちました。また、世界中の人々が旅できるようになったら、私も国外に出国したいと思います。自宅軟禁中の私は、孤立についてずっと考えを巡らせました。まるで私は、孤立の先駆者のようでもあります。」
キリル監督は、本作の脚本を作成中、言われのない罪で裁判所への出廷を余儀なくされていた。
それは、2017年から2019年のことだった。監督のようなロシア国民は大勢おり、大なり小なり昔から多くの市民が不当な罪で裁かれていたのだろう。
日本国内に入ってこない事件が、ロシア国内で頻発していたことが伺える。
セルゲイ・ロズニツァが製作したドキュメンタリー映画『粛清裁判』で描かれていた1930年に起きた「産業党裁判(産業党事件)」と類似の出来事かもしれない。
90年以上も社会主義国家として暗躍したロシア政府は、今後も変動することはないのだろう。
今回は、キリル監督に対する裁判に絞った話だったが、このような酷似の出来事は、昔から多く起こっていたと推測できる。
1920年から1950年代のソ連時代のレーニン、独裁者スターリン時代の独裁政治が、今のこの時代に、プーチン政権として蘇っているようだ。
日本国内でのロシア・ウクライナ戦争の報道は、日に日に減退しつつあるだろう。
近年は消費社会、映画も毎週毎週コロコロ話題は変わり、時事問題も新しい事件があれば、マスコミはすぐそこに飛び掛る時代。
それでも、2月から起きているウクライナ戦争は、まだまだ続いているのが現実だ。
この紛争を指揮したのが、今全世界から批判の対象とされているのは、ウラジーミル・プーチンだ。
正式名は、ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチンだ。1952年10月7日にレニングラードの病院で生まれたウラジミール少年。
60歳の2012年の時、初めてロシア連邦大統領に就任。ちょうど今年で、10年目を迎える政治家だ。
独裁者プーチンは、「ロシア連邦による攻撃は(※3)国連憲章(正式名:国際連合憲章)に従った「防御」かどうか」と聞かれ、こう声明を出している。
「状況は、私たちに決定的かつ迅速な行動をとる必要があると思います。ドネツク人民共和国の人民は、我々に助けを求めてロシアに入国してきました。この点において、国連憲章のパート7の第51条に従い、今年2月22日にロシア連邦院と連邦議会によって承認されました。ドネツク人民共和国およびルガンスク人民共和国との友好および相互援助条約に従い、私は特別軍事作戦(ウクライナ侵攻)を実施することを決定しました。」
まるで、今回のウクライナへの軍事侵攻が、恰も正当性であると受け取れる発言に独裁性を感じて止まない。
今に至るまでに、折り重なった複雑且つ様々な事情を抱えていたのだろうが、それでも最終的突破口として選択した今世紀最大の「軍事侵攻」は、ロシア連邦の最高責任者としても、政治家としても、ましてや人としても、大きな過ちだ。
その上で、この醜悪なプーチン政権に対するアイロニーやシニカルを物語として表現したのは、現代ロシア文学を代表する作家アレクセイ・サリニコフだ。
1978年、タルトゥ(エストニア)で生を受けた。アレクセイが6歳の頃から、ウラル連邦管区に居住している。
最初に移り住んだ街は、ロシア連邦が組織するウラル連邦管区の一部、スヴェルドロフスク州にあるゴルノラウスキーだった。
その後、鉱工業都市のニジニ・タギルに移住し、最終的に2005年からスヴェルドロフスク地域の行政の中心地、エカテリンブルクに永住している。
本作の原作を執筆する前は、散文を得意とする詩人としてロシア国内で活躍していた。
2017年に発表した小説『インフルエンザの中および周辺のペトロフ』が、瞬く間にロシア国民の注目の的となり、一気に時代の寵児にまで登り詰めた。
その後、小説『間接的に』という作品も発表している。その他には、『現代ウラル詩集(1997-2003)』『人々の馬(2006年)』『雪だるま日記(2013)』や『猫、馬、トラム、クマ(2019年)』と言った多くの詩集を上梓しているロシアでは有名な詩人でもある。
小説においては、『インフルエンザの中および周辺のペトロフ(2016)』や『間接的に(2018)』の他に、4部構成の小説『ニジニ・タギル(2011)』や『デパート(2018)』という小説も過去に書いている。
また、小説『インフルエンザの中および周辺のペトロフ』は、二度ほどロシアで演劇として上演されており、一度目は舞台監督のアントン・ブタコーフの手によって、2019年11月15日にエリカテンブルクにある現代演劇センターにて初演を迎えている。
二度目の上演は、2020年1月17日にモスクワのゴゴリセンターにて、舞台監督のアントン・フェドロフの演出によって、初演を成功させている。
そんな現代ロシア文学界において、最重要人物として国民からも高い評価を受けている作家アレクセイ・サリニコフはインタビューにおいて、本書が社会風刺を目的に執筆されていることを指摘され、その上で「本当のインスピレーションは誰か?」という質問に、彼はこう答えている。
「“はっきり”とは言えません。「ペトロフ」への最初の着想は、古代の神々についてのボルヘスの物語を読んだ後でした。おそらく学生の頃です。そして私は、「スヴェルドロフスク地域では、ハデスは生きるだろう」と思いました。なぜ正確にハデスなのか、私は明確ではありませんでした。幸いなことに、「Petrov’s」を書いてVolgaマガジンに送った時、この質問に対する論理的な答えは見つかりました。この質問に対する非常にエレガントな答えは、アンドレイ・イリエンコフ(現代ロシアの散文作家)による「それ自体を説明する物語」にありました。それは、自身の原稿を選んだ後、私の中に収まりました。そこにある答えは単純で優れていますが、ここではそれを与えることはできません。スヴェルドロフスク中心の答えは、非常に注目に値します。ただ、私がこの答えを思いついた場合、非常に厄介です。私は、風刺を作成する仕事を自分に敢えて与えませんでした。それは確かです。」
と少し長めの引用になってしまったが、ここで最も伝えたいことは、インタビュアーが本作を風刺作品とし「誰からのインスピレーションか?」の質問に、作家のアレクセイ・サリニコフは、濁した答えを述べている。
本来は、恐らくロシア政治とプーチン政権への冷笑的な物語を描いている。
それを口にすると、一体どうなるのか、自身も理解しているのだ。
キリル監督も裁判所に召喚された理由は、ロシアが指揮するクリミア半島の侵略やLGBTQ+に関する事柄を批判したことに始まると言われている。
大国ロシアに立て付けば、どのような制裁が待ち受けているのか、ロシア国民は皆、理解していることが伺える発言でもある。
また、プーチン大統領のブレーンとも呼べるロシア政権の外務大臣セルゲイ・ラブロフ(正式名:セルゲイ・ヴィクトロヴィチ・ラブロフ)は、外相として2004年から長年に渡り、ロシア政府を支えてきた人物だ。
2012年に就任したプーチンよりも前から、ロシアの「顔」として活躍する政治家だ。
露を隅から隅まで熟知したラブロフは、ウクライナ侵攻が始まってから、度々日本のメディアでも取り上げられる存在でもある。
近頃はヒトラーには「ユダヤの血統があった」だなんて、トモデモ発言で世界から非難轟々を浴びる彼は、ウクライナ侵攻が始まる直前、インタビューで「侵襲するかどうか」を聞かれ、こう答えている。
「外交政策に対し、多かれ少なかれ興味を持っている方々は、この「報告」がすべて宣伝、偽物、捏造であると確信して頂きたい。これらの偽造は、報告した者が仲間内で話していることだけです。報告者たちは、その話が好きなおかしな人なのです。」
ラブロフ外務大臣は、ウクライナへの闖入が始まる直前に、侵攻が実際に起きるという報告が上がっているという記者からの質問に対して、「そのような事実はない」と全面否定する程、ロシア政府が自身の正当性を世間に見せつけようとする頓珍漢な発言が、既に行われていた。
如何に、プーチン政権の横様さが、まざまざと分かる姿勢には否定的な意見も持ちたくなるものだ。
また、ラストに流れるハスキー(хаски)が歌う楽曲『Pеванш』にも耳を傾けたい。彼は、ロシア極東の国ブリヤート共和国の首都、ウランウデ市で生まれた。
本名は、Dmitry Nikolayevich Kuznetsov。1993年2月10日生まれのロシア人ラッパー。
彼の音楽的スタイルは、暗くて刺激的な叙情詩、複雑な押韻構成、類韻や頭韻法などの音楽技法の使用でよく知られている。
彼の挑発的反体制的な歌詞の内容は、イメージ、哲学的実存主義、聖書の非難、そしてロシアとヨーロッパの文学への磨き上げられた言及で作品をより洗練されたモノにしている。
ただ、歌詞を読む限り、直接的にはロシア社会を皮肉しているようには感じない上、本作についての内容でもなそうだが、暗喩的に何かを示唆しているのかもしれない。
地下のカプセルホテルでの廃墟で遠吠え
どこかで窓が泣いているように
ああ、それは私の祖先が投げて回っている
墓の上で身もだえする灰色の蒸気
死体はしゃがんでいる、それ自体ではない
たるんだ筋肉から眠りを振る
教会の庭を出て、ネズミのように走る
夜明けの至福の中で、トンボの行進の下で
ザトウクジラの空の星のグースバンプ
暗闇の中でバプテスマを受けながら、あなたの手で呼吸してください
臭い乗り物で、グラスに落ちる
暗闇の中で死体の心臓が鼓動する
汗が濃くなり、少なくともパンを塗ります
腺の黒い詰め物をひねる
ワームハートが復讐を歌う
{詩}
ファントムx*yは静脈を膨らませます
そしてポリウレタンフォームのげっぷのように
彼は準備ができて固まる
そして卵が頭上を飛んでいる
他の人の太ももを塗りつぶすためにドロップします
ガラスを食べて空にする
嘘をつく、ピエロ、皿を打ち負かす
要するに、雌犬のようにこの人生と戦う
そして秋は腐ったかつらを脱ぐ
サンセットはバリクをかじる
街は猫のように丸まった:「ゴロゴロ」
そして、ハックスターの群衆と一緒にどこかに行きました
私の娘は眠っています-私の一部
母の温かい乳首を噛む
魔術師が通りから吠えています
ドアベルの指に嫌がらせ
死体の敷居でクリック-クリック、ロック
コスモス粒子がクティアを吊るす
敷居の上の死体はそれ自身として立っています
カップで洗練されたsquirms
夜の泡の黒い地球
死体はすべてにおいて私に取って代わる
死体は私の妻と性交します
snortコークス、スモークウィード
聴覚障害者のホテルでは夢中になる
クラブで-言葉を飲むボイラー室
ダンス、フレーズのかさぶたを散らす
死んだ目のウジが見える
群衆はワラジムシの群れのように群がっています
肌のボロボロが顔から滑り落ちる
空の囲いの中で歯周病
解体中の家の死体の細胞
彼らはプログラムを作り上げ、共通の資金を削減します
死んだミントのステップのパーティー
溝にトリュスが濡れる
死者の軍隊は恐怖を歌う
すべての道路の死体の障害物
死体は窓の隙間を吸い込む
{ポストバース}
地下のカプセルホテルでの廃墟で遠吠え
最期の棺が口を開く
最期の死体は棺を残します
小物入れの死体アイコン
3Dメガネの劇団ポルノ
死体の子供たちはモールでたむろします
あなたの顔の死体の影
“В капсульной гостинице под землёй
В развалинах рта колосится вой
Будто где-то форточка плачет
Ой, это заворочался пращур мой
Над могилой корчится пар седой
Труп сидит на корточках, сам не свой
Стряхнуть дремоту с лежалых мышц
Оставить погост, побежать, как мышь
В рассветной неге, под марш стрекоз
В горбатом небе мурашки звёзд
Дышать на руки, крестясь во мглу
В пахучей попутке припасть к стеклу
Трупье сердце стучит впотьмах
Пот густеет, на хлеб хоть мажь
Крутят железы черный фарш
Червивое сердце поет реванш
{Куплет}
Фантомный х*й надувает вены
И, как отрыжка монтажной пены
Он деревенеет наизготове
И яйца млеют на изголовье
Каплями крапать чужие ляжки
Жрать и опорожнять стекляшки
Врать, паясничать, бить посуду
Короче, драть эту жизнь, как суку
А осень снимает гнилой парик
Солнце заката грызёт балык
Город свернулся котом: «Мурлык»
И делся куда-то с толпой барыг
Спит моя дочка — кусок меня
Матери тёплый сосок жуя
С улицы лаются колдыри
Домогается палец звонка двери
Щёлк-щёлк, замок, на пороге труп
Космос зернистый висит кутьёй
Труп на пороге стоит как свой
В чашках корячится рафинад
Ночи вспенится чернозём
Труп заменит меня во всём
Труп будет трахать мою жену
Нюхать коку, курить траву
В глухих отелях сходить с ума
В клубах-котельных цедить слова
Плясать, разбрасывать струпья фраз
Глядят опарыши трупьих глаз
Толпа кишит, как ансамбль мокриц
Лохмотья кожи сползают с лиц
В пустых оградок пародонтоз
Ячейки трупов в домах под снос
Куют программу, кроят общак
Партия мертвых чеканит шаг
В канаве мокнет парламентёр
Армия мёртвых поет террор
Трупьи блокпосты по всем дорогам
Трупы сосутся в прорехах окон
{Посткуплет}
В капсульной гостинице под землёй
В развалинах рта колосится вой
Последний гроб разевает рот
Последний труп покидает гроб
Трупьи иконы на бардачках
Трупье порно в 3D-очках
Трупьи дети тусят в ТЦ
Трупья тень на твоем лице”
最後に、映画『インフル病みのペトロフ家』は、現代の暗鬱としたロシア社会を風刺した非常に過激な作品だ。
作中には、プーチンをモチーフにしたような政治家を銃殺するシーンが挿入されている。
また、原作でははっきり「プーチン」という設定になっている。
この物語は、キリル・セレブレンニコフ監督と原作者アレクセイ・サリニコフ両者によるロシア政権への果たし状とも読み取れる内容だ。
言論の自由を奪われたロシア市民にとって、この作品は今後、大きな指針となるかもしれない。
少し話が逸れるが、日本国内では5月の第2日曜日は毎年恒例の「母の日」だった。
ただ、今年は少し事情が変わっており、「母の日」の風物詩「カーネーション」が、いつもの2倍以上、値段が高騰したというニュースが全国を駆け巡った。
ただメディアは、この報道の詳細には、二通りの報告をしている。
ひとつは、(※7)ロシアによるウクライナ侵攻が原因で航空権が脅かされていること、そしてもうひとつは、(※8)コロナが原因でカーネーション業者の数が減ったことや重油の高騰が指摘されている。後者は最もらしい事を言っているが、もしコロナのせいなら、今始まったことではない。
前者の報道が正しければ、なぜ違う内容の報道を流す必要があるのか?」
何か、メディアから勝手な印象操作を感じざるを得ない。もっと言えば、ロシア側からの弾圧も視野に入れてしまいそうだ(これは、少し考えすぎだろう)。
ただ、ロシアないしは社会主義国家の猛威は、日本にも徐々に徐々に影響を与えつつある。
先日も、毎度のことだが、(※9)北朝鮮が日本に向けてミサイルを2回発射したことを公表していないという。
このロシア・ウクライナ戦争は、ヨーロッパだけの戦争ではない。
対岸の火事という言葉があるように、遠い国の問題ではなく、ここ日本にも北朝鮮や中国と言った社会主義国家による攻撃は、今後起こりうる事を念頭に置いておきたい。
キリル・セレブレンニコフ監督と作家アレクセイ・サリニコフが体験した事は、国内でも起こる可能性もあるだろう。
今はドイツに亡命を余儀なくされてきる監督。
彼らを応援し、鼓舞するには、彼らのことを「知る」必要がある。
そのためには、映画『インフル病みのペトロフ家』を鑑賞するために劇場に足を運んで欲しい。
本作は、明日は我が身という言葉が似合う物語だ。
悪は、必ず感染する。コロナ・ウィルスやインフルエンザ・ウィルスのように、悪事は確実に伝染することを覚えておきたい。
映画『インフル病みのペトロフ家』は、関西では5月6日(金)より、シネ・リーブル梅田、京都シネマにて、現在公開中。また近日中、神戸元町映画館にて上映予定。全国の劇場にて、絶賛公開中。
(※1)キリル・セレブレンニコフ:ロシアで生きることhttps://spac.or.jp/blog/?p=28626(2022年5月7日)
(※2)Kirill Serebrennikov on Fear, Solitude and Post-Soviet Life in ‘Petrov’s Flu’https://variety.com/2021/film/global/kirill-serebrennikov-petrovs-flu-cannes-film-festival-1235008312/(2022年5月7日)
(※3)国際連合憲章https://www.unic.or.jp/info/un/charter/(2022年5月7日)
(※4)Как Путин оправдывает вторжение в Украину. Фактчекинг DWhttps://www.dw.com/ru/kak-putin-opravdyvaet-vtorzhenie-v-ukrainu-faktcheking-dw/a-60960083(2022年5月7日)
(※5)Самый неожиданный роман Алексея Сальниковаhttps://rg.ru/2017/10/17/salnikov-istoriia-tvoritsia-volej-teh-kto-manipuliruet-tolpami.html(2022年5月8日)
(※6)Лавров назвал фейками сообщения о готовящемся вторжении России на Украинуhttps://www.rbc.ru/rbcfreenews/620f95e29a7947890cbf16c8(2022年5月8日)
(※7)物価高騰は「母の日」にも影響 カーネーションにも値上げの波・宮崎県https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/39394?display=1(2022年5月9日)
(※8)あさって「母の日」カーネーション値段高騰 「フラワーロス」対策もhttps://www.ytv.co.jp/press/economy/146455.html(2022年5月9日)
(※9)北朝鮮 弾道ミサイル発射を2回連続で発表せず 極めて異例https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220508/k10013615621000.html(2022年5月9日)