現在、大阪府の第七藝術劇場ほかにて上映されている映画『アディクトを待ちながら』の舞台挨拶が、7月6日(土)に行われた。映画『アディクトを待ちながら』のあらすじは、大物ミュージシャンの大和涼が覚醒剤と大麻の所持で逮捕され、大きなニュースとなった。それから2年後、依存症患者たちによって結成されたゴスペルグループ「リカバリー」が音楽ホールでコンサートを開催することに。メンバーの中には事件以来ずっと沈黙を貫いてきた大和の名前もあり、出演の知らせを聞いたファンたちが続々と会場につめかける。薬物やギャンブル、アルコール、買い物、ゲームなどさまざまな依存症者で構成される「リカバリー」のメンバーたちは互いに支え合い、依存性物質に再び手を出す「スリップ」を行うことなくコンサートに漕ぎ着けた。しかし、開始時間を過ぎても大和が現れず……。大和役の高知をはじめ、キャストには実際に依存症を経験した者とその家族を多数起用。ラストシーンではリアリティを追求するため即興芝居を行った。自身もギャンブル依存症の家族であるナカムラサヤカ監督がメガホンをとった。映画『アディクトを待ちながら』は、7月6日(土)より大阪府の第七藝術劇場にて上映中。7月6日(土)の上映後、映画『アディクトを待ちながら』の舞台挨拶が行われた。この日は、本作を制作したナカムラサヤカ監督と出演の横山琉斗さん、劇中歌を歌われた杉田あきひろさんが、登壇された。
本作『アディクトを待ちながら』の制作経緯について聞かれたナカムラ監督は「今から4年前、本作のプロデューサーでもある「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中代表からギャンブル依存症についての正確な情報を発信するための啓発ドラマを作る依頼がありました。ドラマは作ったのですが、その後、別のお話として、俳優たちのワークショップの依頼があり、その中で短編を撮るお題付きで、あとは私の好きなテーマで映画を作ってもいい事になりました。折角、4年にわたり勉強して来て、そして出会って来た依存症患の方だけでなく、世間から見た依存症についての話を映像化したいと考え、本作が生まれました。」と話をされた。
出演の横山さんはゲームの依存症者役で出演された経験について話しを聞かれ、「ゲーム依存症のテルと言う役は、監督にも説明を受けましたが、僕自身への当て書きとして頂いたセリフですが、その言葉は本当にその通りで、僕自身もテルのようにゲームにハマってしまった時期がありまして、そういう意味でも役と通じる部分が多かったと思います。演じやすい訳ではありませんでしたが、逆に共感しながら演じれました。」と、ご自身の体験と紐付けながら、役への思いを話された。
杉田さんはこの作品が今後、どのように広がりを持って欲しいかと聞かれて、「リカバリーカルチャーが、よりもっと日本の社会に根付いて、当事者や当事者家族、支援者の方だけでなく、一般の方や、またマスコミや、社会全体で依存症でつまづいた人の回復を待てる、また手を差し伸べれる社会になって欲しいと願っています。」と、リカバリーカルチャーへの熱い思いを話された。
最後に、ナカムラ監督は、本作の英題に隠された意味を話された。「日本後のタイトルの下にある英語は、海外に作品を出品する時に使うタイトル「Let it rain」ですが、この意味は「雨が降っていても、我々は往く」と言う意味になります。人生には、雨が降ります。たくさん降ります。だけど、その経験でさえ、雨が降っても、それを糧にして、人生は続いてくんです。そして、続いて行かせるんだと、と言う思いでこの映画を作りました。この思いをもっと多くの人に伝えて行きたいと思っています。依存症だけでなく、社会の中で生きづらさを抱えている全ての皆さんに観て頂きたいと思っています。」と、締め括った。もしここで補足をするなら、オーソドックスではあるが、この雨が止んだ後には、一筋の虹が架かるだろう。それは、物理的なものではなく、皆さん一人一人の心の中に架かる希望の虹が一筋。止まない雨はない。雨は、必ず止む時が来る。
映画『アディクトを待ちながら』は現在、関西では7月6日(土)より大阪府の第七藝術劇場にて一週間限定上映中。7月5日(金)よりアップリンク京都でも公開中。また、7月12日(金)より大阪府の扇町キネマにて1週間限定上映。7月27日(土)より兵庫県の元町映画館にて上映予定。