「みんな一人でもあるけど、みんな一緒」6月10日(土)、大阪府のシアターセブンにて行われた映画『東京組曲2020』の舞台挨拶レポート

「みんな一人でもあるけど、みんな一緒」6月10日(土)、大阪府のシアターセブンにて行われた映画『東京組曲2020』の舞台挨拶レポート

2023年6月12日

©Tiroir du Kinéma

©「東京組曲2020」フィルム パートナーズ

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コロナ禍で初の緊急事態宣言が発令され、人々の暮らしが一変した2020年4月。明け方にどこからか泣き声が聞こえてきたことをきっかけに、三島監督は映画の制作を思いつく。20人の役者たちが各自撮影を行い、新型コロナウイルス流行の第一波の中で彼らが過ごした日常をとらえ、全ての出演者に共通して「明け方に女の泣き声がどこかから聞こえてくる」というシチュエーションを挿入。事前に録音した8分間におよぶ泣き声を役者たちがイヤホンで聞き、その時の感情の動きやリアクションを記録した姿を描くドキュメンタリー映画『東京組曲2020』が6月10日(土)より大阪府のシアターセブンにて公開初日を迎えた。

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ドキュメンタリー映画『東京組曲2020』は、『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』『繕い立つ人』を代表作に持つ三島有紀子監督が、多くの役者に声を掛けて、コロナ禍が始まった1度目の緊急事態宣言下の2020年春先を軸に、あの時を見つめた珠玉のドキュメント。夜明けに聞こえる女性の「泣き声」を作品の主軸に置き、役者自身や同居人の視点で撮影を行う事を条件に、コロナ禍で苦しむ人間たちの姿を生々しく描写した実験的ドキュメンタリー。

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上映後に、ご登壇された監督の三島有紀子さん、出演者の大高洋子さん、加茂美穂子さん、小松広季さん、松本晃実さんが登壇された。故郷の大阪に戻って来られた三島監督は「この映画は、2020年は自身の映画撮影の準備もしていましたが、それも中止に追い込まれ、暗闇に追い込まれた気持ちになってしまいました。そんな時、ある明け方、どこからともなく、女性の泣き声が実際に聞こえて、その彼女の泣き声が自分の泣き声でもあり、みんなのつらさを代弁する泣き声でもありました。その時、人々が抱えていた気持ちを記憶に残したいと思い立ち、本作『東京組曲2020』の制作が始まりました」と、本作の製作経緯を話された。また、本作の英題に話題が始まると、監督は「この作品には「Alone Together」という英語の題名がついており、この言葉にはみんな一人でもあるけど、みんな一緒という意味が込められています。そんな想いを込めて、本作の英題を選びました。」と、しみじみ話された。

ドキュメンタリー映画『東京組曲2020』(併映作品『IMPERIAL大阪堂島出入橋』)は現在、関西では6月10日(土)より大阪府のシアターセブン、兵庫県の元町映画館にて絶賛公開中。また、8月4日(金)より三重県の伊勢 進富座にて公開予定。※全ての劇場にて英語字幕付き上映 / with English subtitles