「ホラー映画のはずが「ノンフィクション」を肌で体感できる次世代の考察型恐怖映画」なんばパークスシネマにて映画『N号棟』の舞台挨拶のレポート

「ホラー映画のはずが「ノンフィクション」を肌で体感できる次世代の考察型恐怖映画」なんばパークスシネマにて映画『N号棟』の舞台挨拶のレポート

©Tiroir du Kinema

4月29日(金)、大阪府にあるなんばパークスシネマにて、映画『N号棟』の舞台挨拶が、行われました。

この日は、監督の後藤庸介さん、主演の萩原みのりさんが、ご登壇されました。

映画『N号棟』のあらすじは、ある地方都市の一角。

かつてポルターガイスト現象で住民達を恐怖のどん底に叩き落とした廃墟の団地。

タナトフォビアと呼ばれる「死恐怖症」に悩まされる女子大生の史織。

彼女は、同大学に通学する親友の啓太や真帆を連れ立って、面白半分でその団地に近づく。

なぜかそこには、たくさんの住人たちが住んでいた。

史織たちの目の前では、激しいラップ音が鳴り響き、住人達の連発する自殺が後を絶たない。

しかし、そこに住まう者達は、表情を変えず、震え慄く学生たちを仲間として招き入れようと、巧妙に恐怖の世界へ誘(いざな)う。

スピリチュアルな見聞に惹き付けられた史織の友人たちは瞬く間に教唆されていく。

窮追された史織は自殺した住民たちの亡骸がある建物内へ逃げ込むが。

この日、登壇された後藤庸介監督は、作品の感想を聞かれ

「編集などの作業中に、死ぬほど観てしまうんですよね。そうすると、作業中ということもあり、観慣れてしまい面白さが半減してしまうんですよね。何度も観ているうちに、多くの発見があるのも事実です。意図していない所が、面白く感じることもあります。作業中は、そのようにして、楽しみを見出すこともあります。作品が正式に完成した後、初めて観応えや手応えを感じます。」

また矢継ぎ早に、萩原さんの役者としての演技面を聞かれると

「作品の終盤で、彼女の顔が真っ白だったんです。ファインダー越しに、とてもビックリした事を今でも覚えております。その時までも、リハーサルを通して、彼女の感情が役柄に入りすぎてて、つらそうだったんです。だから、たくさんのカットを撮りたい気持ちもありましたが、ワンカットで決めようと、撮影に挑みました。もう、人間の顔ではなかったんです。その時、初めて萩原さんの演技力に恐怖心を感じました。後ろにメイクさんに「顔白く塗った?」と、思わず聞いてしまったんです。他の役者さんは白く塗ってたりしたんですが、彼女は設定上、塗ることはしてなかったんです。現場では、塗ってないにも関わらず、塗ったように見えていたことに戦き震えました。芝居であり、芝居じゃない雰囲気に押される強さを感じました。」

と、現場で感じた萩原さんの演技力について、熱く話されておりました。また、主演の萩原みのりさんは、初日を迎えられた感想を聞かれ

「現場では初日を迎える日は、来ないんじゃないかと、ずっと思っておりました。撮影中が大変すぎて、作品が完成するのか、疑問を感じておりました。完成したこともビックリしました。また、お客様に観て頂く日が来ることに、改めて不思議な実感があります。」

と、話されました。また、作品の感想を聞かれた萩原さんは

「完成を観た時は、どの作品でも同じですが、今回の史織も含め、自分が演じた役の感情でしか作品を観ることが長い間、できないことがあります。客観的に観れず、私は自身が演じた「史織」としてしか、作品を観ることができないのです。だからずっと、史織と同じようなタイミングで泣いてしまうこともあります。苦しそうな場面では、演じてた頃の気持ちをなぞることしかできなかったのです。その現場では、何日かに分けて苦しかったことが、作品を鑑賞中はずっと苦しい感情が、押し寄せてくるのです。どの作品も主観的に観てしまうことが、多々あります。」

と、自身の役作りについて、話されておりました。

他にも、終盤の雰囲気は、ホラー映画ではなく、「ドキュメンタリー」という話に花が咲き、盛り上がりを見せました。撮影中のエピソードや作品のテーマ、タナトフォビアと呼ばれる「死恐怖症」について、話が言及されました。

映画『N号棟』は4月29日(金)より全国の劇場、上映開始。また関西では、大阪府のなんばパークスシネマをはじめとし、MOVIX堺MOVIX八尾、京都府のMOVIX京都、兵庫県の109シネマズHAT神戸MOVIXあまがさき、滋賀県のイオンシネマ近江八幡、和歌山県のイオンシネマ和歌山にて絶賛、公開中。また、5月14日より大阪府の劇場、シアターセブンにて公開が予定されいる。