十三シアターセブンにて映画『マイライフ、ママライフ』のトークショーのレポート

十三シアターセブンにて映画『マイライフ、ママライフ』のトークショーのレポート

2022年4月12日

4月9日(土)、大阪府十三にあるシアターセブンにて、映画『マイライフ、ママライフ』のトークショーが、行われた。

この日は、監督の亀山睦実さん、ゲストには映画監督・脚本家の安田真奈さんが、ご登壇された。

映画『マイライフ、ママライフ』のあらすじは、仕事に必死な毎日を送る綾は、結婚3年目の夫から、近いうちに子どもが欲しいと懇願され倦厭してしまう。

彼女には、妊娠や出産に対して踏み出せず、誰にも言えないある理由があった。

一方、2人の子を養育する沙織は、自身がやりたいと、心から思っている仕事を断念し、事務職で働いている。

ある時、綾は「家族留学」という家族体験プログラムのイベント運営の責任者るを任され、沙織の家族と出会う。

この日、ご登壇された亀山睦実監督は、作品を製作するきっかけを聞かれ

「製作するきっかけは、最近ニュースで女性たちの子どもを持つタイミングが、なかなか掴めない。持てない。仕事との両立が、本当に難しい。という話が、頻繁に報道されておりました。社会的に問題になっているものと、当事者たちが抱えている感情が、こんなにもリンクするんだなと、印象的でもありました。私自身、平成という時代を30年間を生きている身として、今の30年を生きてきた方々が、どのような感情で生きていこうとしているのか、という事を映画として残し、刻みたいと思ったのが発端で、製作しました。」

と、話されました。また、製作する上で関係者にヒアリングしたかどうかと、聞かれ

「どの主人公も、私の人生とはかけ離れた人生を過ごしている方たちかと思います。10組ほどの当事者たちのお話をお聞きしました。実際に、お子さんがいるご家庭の日常のリズムやどのような生活のタイムスケジュールで過ごされているのかを伺いながら、シナリオを書き起こしました。」

安田真奈監督は、作品の感想を聞かれ

「作品に対しては、ずっとヒリヒリしながら、観ておりました。生活していく中で「あるある」と共感できることばかりでした。子育ての「あるある」を当事者ではないが、冷静に色んな角度から精査し、詰め込んで作られたという印象を受けました。また近年は、「待機児童問題」や「子どもの面倒」、「仕事の両立」など、様々な問題が浮上していると思います。年々、親子にとって、状況は違ってくると思います。今年は待機児童の問題、来年は仕事の両立、または仕事への復帰が課題だったりします。その時その時によって、問題は移り変わってると思います。その問題に対して、長年取り組む当事者の方は、なかなかおられないと思います。それを外から光を当てて、皆さんにひとつ考えるきっかけに作られていることが、日本の子育て界における、希望の光ですね。亀山監督みたいな方が、おられるのは非常にありがたい限りです。また、子育てに対する課題について、報道番組が取り上げても、興味のある人しか惹かれないと思います。その反面、映画になると、「予告編が良かったから」や「気になる役者の方が出演しているから」と、様々なきっかけで、その問題に興味がない方も入ってこられる入口になりますので、その上で「ドラマ」にするのは、とても素敵な事だと思います。」

と感想を話されておりました。また、本作が取り上げている「家族留学」に話が及ぶと亀山監督は、

実際にも、manmaさんという「家族留学」のプログラムを運営されていらっしゃる会社がございます。劇中にも、manmaさんのチラシやパンフレット、ホームページなどが、登場しております。作品にも、ここを理事として運営されていらっしゃる新居日南恵さんもプロデューサーとして参加して下さっております。この方が、学生の頃にこれから(大学卒業後)の自分たちのライフプランをどうしようかと考えた時に、様々な家族の方からお話をお伺う一年ほどの機会の中、そのような活動を自分たちの間だけで留めてしまうのは勿体ないというお話になり、manmaさんというサービスを立ち上げ、現在では500組ほどの家族が、受け入れ家庭として実際に、機能しております。」

と話されました。また、この話題に関して安田監督は、

「私の友達も受け入れ家庭(家族留学)の経験があります。お母さんと娘さん。お子さんが保育園ぐらいの年齢の時に、大学生のお姉さんがご自宅に来ていただいたようなんです。お母さん自身もリフレッシュになったという感想も聞けました。母親と子どもという1対1で毎日向き合っていても、家と保育園、職場という閉鎖された人間関係のところに、ある日女子大生の方が加わり「子育てを教えてください」「可愛いですね」と言い、遊んで頂けるのは「来ていただいて良かった」と。お互いにとって、学びにもリフレッシュにもなったという声を聞くことができました。子育ては、自身の親以外から学ぶことは、なかなかない事だと思います。機会がない分、色んな家庭を見せて頂くことが、いいことですね。最近の小学校では、「赤ちゃん先生」というのがありまして、小学校(小学校に限らず、高校、大学、老人ホームにも出向されている)に来て、子どもたちに赤ちゃんを触れてもらうという特別授業が増えております。このような取り組みが、どんどん増えればと思っております。」

この日は他に、どういったシーンが気に入ってるかと聞かれ、安田監督は「イヤミな上司の立ち振る舞い」について、未だにそんな方もおられることを話されたり、亀山監督は製作時の撮影秘話などを話されました。

映画『マイライフ、ママライフ』は、関西では本日4月9日から十三のシアターセブンにて上映開始。また、4月22日から京都みなみ会館にて公開予定。全国の劇場で絶賛公開中。