映画『いずれあなたが知る話』は古びたアパートでひとり娘の綾を育てているシングルマザーの靖子は、弁当屋の仕事をしているが、その稼ぎだけではやっていくことができず、風俗でも働き始める。そんなある日、綾が誘拐されてしまう。靖子にとって綾は人生のすべてであったはずだが、しかし靖子は綾を取り戻すという選択をしなかった。その日から、靖子は秘密のルーティンを始めるが、誰にも知られていないはずのその行動を、ある男がじっと見つめている。一癖も二癖もある濃厚な登場人物達の姿を描いた映画『いずれあなたが知る話』は現在、9月2日(土)より大阪府にあるシアターセブンにて公開中。9月5日(火)は、上映中のシアターセブンにて、関係者による連日舞台挨拶が行われた。登壇者には、脚本家兼主演の小原徳子さん、プロデューサー兼出演者の大山大さん、出演者のオノユリさんが、登壇された。
上映後、脚本家兼主演の小原徳子さん、プロデューサー兼出演者の大山大さん、出演者のオノユリさんが登壇され、舞台挨拶が行われた。連日、舞台挨拶が実施しており、今回は突然終わりを告げる物語に対して、もし続編があるとすれば、どんな物語が展開されるのかというお題を携え、私達観客に投げ掛けた。まず口火を切ったのは、プロデューサー兼出演者の大山大さんが「そのまま続けるのであれば、この母親の一連の流れを受けて、通報しない母親は無罪か、有罪か。その点を描きたいと思いました。実際、弁護士さんにご意見をお聞きすると、非常に複雑で、有罪にもなり得て、無罪にもなり得るらしいんです。 本当に、難しい問題なんです。」と、二項対立の間で揺れ動く母親や物語の構成を考案する反面、弁護士から法での正しい判断を聞いている。また、「私だったら、娘の綾は母親のようになりたくないと思っているのに、だんだんは母親の靖子に似てくる女になってしまう話があってもいいと思うんです。親子の話でもあり、親から影響を受ける子供とその親の両方を描けたら」と、主演の小原徳子さんは親子の間に生じる人間としての類似性について、その後の人生を構想している。そして、出演者のオノユリさんは、他のお二人とは少し変わった視点をお持ちで、「彼女の育った環境というより、彼女の弟側の視点や一切出て来ないお父さんの存在が非常に気になります。あと、靖子と彼女の旦那の物語が、あってもいいと思うんです。」と、靖子を取り巻く周囲の人間の環境を過去や未来の時間軸に囚われることのない物語があってもいいのではと、話す。
最後に、脚本家兼主演の小原徳子さんは「今の話でちょっと思い出した事が、あるんです。私から一つだけお付け加えるとしたら、もし、あなたが靖子の立場だったらという事を、改めて考えて欲しいです。」と、この作品を映画だけの世界にせず、現実の世界で生きる私達に物語の是非を、当事者本人の立場から再度、考えて欲しいと、小原さんは願う。
映画『いずれあなたが知る話』は現在、関西では9月2日(土)より大阪府のシアターセブンにて、絶賛公開中。