「すべて「映画」なんです」2月18日(土)、シネ・ヌーヴォで行われた映画『餓鬼が笑う』の舞台挨拶レポート

「すべて「映画」なんです」2月18日(土)、シネ・ヌーヴォで行われた映画『餓鬼が笑う』の舞台挨拶レポート

2023年2月21日

©Tiroir du Kinéma

2月18日(土)、大阪府にあるシネ・ヌーヴォにて、映画『餓鬼が笑う』の舞台挨拶が、行われた。

この日は、監督の平波亘さん、ご出演されている萩原聖人さんが、ご登壇された。

映画『餓鬼が笑う』のあらすじ

骨董屋になりたい大貫大は、四畳半のアパートに暮らしながら路上で古物を売って生活している。

ある日、先輩商人の国男に誘われて山奥の競市場に参加した彼は、その帰り道に黄泉の国へと迷い込んでしまう。

この日、ご登壇された平波監督と萩原聖人さんの貴重な対談が行われた。

萩原さん:「色んな映画がありますが、大作だけでなく、小さい作品も映画なんですよ。」

平波監督:「この作品も大冒険映画なんです。楽しんで頂けたら、非常に嬉しいです。」

萩原さん:「受け取り方は人それぞれだと思いますが、ただこの映画が持っているエネルギーは、あると思います。ただ、出演をしながら、この作品がどこにどう転ぶのか、検討も着きませんでした。」

平波監督:「まさに、暗中模索の日々でした。」

萩原さん:「でも、これが創作する醍醐味だったりもします。自由度がある現場であったり、監督やスタッフさんと組みながら、俳優は自由に演技できる環境が、一番楽しいんです。ルールのある中の自由が、一番いいんです。そういう暗黙の了解がある現場は、共通言語だけあれば、大変な場面でも楽しく取り組めたりできます。物理的には大変ですが、精神的に満足度や充実度を感じるのがいいんです。」

平波監督:「実際、撮影が終わってからも、作品がどう完成するのか、未知数でもありました。」

萩原さん:「確かに、予想できませんでしたね。だなら、監督に委ねるしかないんです。お芝居をしている時に、何をどう撮られているのか、実は分かっていない時があります。カメラを構えられても、どう撮られているのか想像できません。台本を読んだ時に、どんな場面になるのか考えますが、作品が出来上がった瞬間には、そんな不安も拭えて、すごく頑張ったと、いつも感じるんです。映像には、迫力や奥行きがありました。シナリオを読んだ時の印象と、映像の仕上がりはまったくの別物でした。本当に、映画って、人の情熱とアイディアで、面白くも、面白くなくも出来てしまうんです。」

平波監督:「本作は、非常にハンドメイドな作品なんです。」

萩原さん:「映画もお芝居もですが、正解がない部分、僕らは認識しながら作るんです。正解が仮に一個あったとしても、それより良い正解があるんじゃないかと、模索します。それが、少数精鋭で作った感じは、現場でも居心地が良かったです。映画観てたら、主人公にとって、現代の世界が地獄かも知れないですよね。と、そういう見方も出来てしまいますよね。」

平波監督:「地獄なのか、黄泉の世界なのか、分からない場所から帰って来た現代の方が、凄惨な事実が待ち受けていますよね。」

萩原さん:「ただ、若い頃から、ずっとこの世界にいますが、どんな作品でも求めれば、キリがないんです。つい、ハリウッドと比べてしまいがちですが、映画は映画なんです。大きいも、小さいも関係ないんです。スクリーンにかかってしまえば、大作映画も、インディーズも、すべて「映画」なんです。」

と、舞台挨拶でしか聞けない、お話をされました。

最後に、お二人から特別に「関西上映を迎えて、今のお気持ち」をお聞きしました。

平波監督:「シネ・ヌーヴォも、京都みなみ会館も、初めて自分の作品が上映して頂けました。本当に、関西で上映できて良かったです。それぞれ、本当に素晴らしい劇場だと感じています。また、元町映画館は、過去に自分の作品を上映して頂けましたが、また映画をかけてくれた事は、非常に嬉しく思っています。だから、このシネ・ヌーヴォにも、作品を持って帰ってくる事が、今の自分の目標です。今回は、萩原さんのご好意で、2度目の舞台挨拶ができたのは、萩原さんのお陰です。作品に出演して頂けただけ、非常に有難く思います。」

萩原さん:「正直、出来上がった時に、この作品がどのくらいの規模で、どのくらいの地域で上映されるのか、制作段階から完成当初まで、分かりませんでした。東京のK’s cinemaさんには、何度も上映して頂き、この映画を持っているエネルギーは間違いないものだろうと、思っていました。関西では、大阪、京都、兵庫の3都市で上映して頂けるとは、思ってみませんでした。非常に、有難く思います。」

映画『餓鬼が笑う』は現在、12月3日より大阪府にあるシネ・ヌーヴォ他にて絶賛公開中。