年末に近づいた12月24日(土)、12月25日(日)の2日間に亘り、京都市内にある京都文化博物館にて、開催される映画祭『UNDERGROUND CINEMA FESTIVAL22』。
この映画祭は、11月から全国4都市にて行われるアンダーグラウンド映画の祭典だ。
今回のテーマは「サイケデリックと越境の旅」
“ベールに包まれた世界を求めた旅路”を描く作品を総特集。
「チベットの死者の書」などの翻訳や精神世界の探求者、また自然農の実践者としても著名な芸術家で知られる、おおえまさのりの全作品を中心とし、精神と人間性の解放を全面的に描写したフィルム作品をデジタル化で復活している。
60年代、’70年代を中心とした奇抜なインディペンデント映画の、愛と自由を解放した崇高なメッセージが眩しく、光り輝く。
なかなかお目にかかるのことできないアンダーグラウンド映画。
ドライブシアター、ミッドナイトシアターとも一線を画す、一味変わったアヴァンギャルドなアングラの世界を楽しめる。
今週末の鑑賞作品は、ぜひ京都文化博物館にて、開催される映画祭『UNDERGROUND CINEMA FESTIVAL22』を。
今回は、本年度の映画祭における、目玉とも言える2作品を紹介。
プログラム【70年代クィーア・シネマの発見】と【N.Y. アンダーグラウンドの光と影】より。
『バイバイラブ』藤沢勇夫監督
一言レビュー:藤沢勇夫監督による第一回監督作品。不良青年と女装した美少年の奇妙な恋路を描いたピンク系青春映画。どこかエロさ際立つ艷めくエロスな世界が、観る者を熱病的意識の中に誘う。74年当時の日本をスクリーンを通して観れるのは、非常に貴重だ。エロティック、青春というジャンルを持ちつつも、エロスのその奥にあるのは、当時の若者たちがその時代を力強く必死に生きようとする姿は、まるで今も昔も変わらないようでもある。
『アンダーグラウンド・イン・ N.Y.』ローザ・フォン・プラウンハイム監督
一言レビュー:1976年製作の映画『アンダーグラウンド・イン・ N.Y.』は、ニューヨークのアンダーグラウンドの世界を映像に残した貴重な一本。ドキュメンタリー映画とも、記録映画とも、形容しにくい物語の根幹にあるのは、マイノリティの世界で生きる人々の生命への躍動感。舞台が同じニューヨークもあり1990年、アメリカで製作されたジェニー・リビングストン監督によるドキュメンタリー映画『パリは燃えている(Paris Is Burning)』をも彷彿とさせる。この度、本邦初公開となる。
今年は日本のアンダーグラウンド作品『バイバイラブ』に加え、ドイツLGBTQ映画の重鎮・ローザ・フォン・プラウンハイム監督のドキュメンタリー映画『アンダーグラウンド・イン・ N.Y.』を特別招待作品として選出。
本作は、70年代のNYアンダーグラウンド・シーンのスターたちの生々しい姿を捉えた、本邦初公開作品だ。
また、今回紹介した2作品『バイバイラブ』『アンダーグラウンド・イン・ N.Y.』の他に、数多くの作品が、上映予定だ。
以下、2日間の間に上映されるプログラムと作品をまとめたリスト
①【おおえまさのり全作品１《N.Y.サイケデリック革命の時代》】(10作品・75分)
『Four』1966年、『Creation』1966年、『Head Games』1967年、『Between the Frame』1967年、『end』1967年、『Salome’s Child』1968年、『No Game』1967年、『Great Society』1967年、『Yip-Out』1967年、『S No.1』1968年
②【おおえまさのり全作品２《東洋のサイケデリア》】（2作品・70分）
『天路遍歴の神話』1970年
『リンガラジャ～空なるもの愛に捧げる詩』1971年
③【越境の旅、越境する音楽】
『ザ・タージ・マハル・トラベラーズ～「旅」について』（1973年・103分）監督：大野松雄
④【日常と非日常のトリップ】
１）『味覚革命論序説』（1975年・50分）監督：クリエイティブ・アクションズ発見の会
２）『風光』（1977年・11分）監督：達智巳一
⑤【越境する、金井勝】
『GOOD BYE』（1971年・51分）監督：金井勝
『前衛仙術』（2003年・52分）監督：金井勝
⑥【70年代クィーア・シネマの発見】
『バイバイラブ』（1974年・85分）監督:藤沢勇夫
⑦【N.Y. アンダーグラウンドの光と影】
『アンダーグラウンド・イン・ N.Y.』(1976年・90分) 監督：ローザ・フォン・プラウンハイム《邦初公開。・日本語字幕付き》
映画祭『UNDERGROUND CINEMA FESTIVAL22』は、週末の12月24日(土)、25日(日)の二日間の期間限定で、京都府にある京都文化博物館にて、開催される。