文・撮影 スズキ トモヤ
9月30日(木)、京都府の映画館TOHOシネマズ二条にて、映画『ミュジコフィリア』の出演者舞台挨拶並びにプレミア先行上映が行われた。
ご登壇されたのは、主演の井之脇海さん、松本穂香さん、山崎育三郎さん。そして、監督の谷口正晃さんだ。
本作『ミュジコフィリア』は、漫画家のさそうあきらさんの伝説的な同名コミックの映画化作品。
原作同様、映画のロケ地もオール京都ロケにて、撮影された。
物語は、京都の芸術大学を舞台に、天才的な才能を持つ大学生の朔。
音楽一族で育った彼にとって、父と兄へのコンプレックスを抱いていた。
「音楽」を通して、紡がれる彼自身の心の成長と兄弟の絆を優しいタッチで描く今年一番の邦画作品だ。
舞台挨拶の会場では、音楽作品にちなんで京都市立芸大学生有志の方々の弦楽四重奏。
曲目は、ヨハン・パッヘルベルの「カノン」とヴィヴァルディの「協奏曲第1番ホ長調 RV 269「春」を演奏。
300年、400年前の時を越えて、バロック音楽を聴けるのは至高の喜びだ。
登壇者の方々は、印象に残っている場面を聞かれて、それぞれコメントを残された。
主演の井之脇さんは「予告でも使われている二人で鴨川で演奏するところは、もちろん素敵なシーンになっております。
あと、朔と大成は兄弟ですが、終盤に兄弟が衝突し合う場面がありまして、そのシーンは二人でお芝居していて、理屈とかじゃない部分で、反発し合い、どうねっていくのかが、好きな場面です。
あのシーンの熱量は、育三郎さんとだからこそ、作れたのではないかと思います。」
山崎さんは「僕もその場面です。
印象的でしたね。
やっぱり二人でのお芝居ですよね。
台本を読んだ時は、あの場面は正直、どういうことなのか困惑しました。
演技を通して、どう表現すればいいのか迷いました。
撮影スケジュールの終盤で、その場面を撮ったので、積み重ねてきたものが二人で台本を越えるような瞬間もあり、魂のぶつかり合いができたなという場面でした。
詳しくは言えませんが。」
松本さんは「私もお二人のシーンは観ておりませんし、台本を読むしかありませんでしたが、出来上がったものを観て、こんな風になっていたんだと思わせてもらえました。
大成さんの苦しみやプレッシャーもあるのだろうと、溢れ出る感情は、誰が観てもきっと共感できる部分もあるのとグッと来るシーンだろうと思いながら、鑑賞させて頂きました。」
谷口監督は「さっき話が出ていた朔と凪の鴨川であったり、朔と大成のぶつかり合いもまた、撮影していて手ごたえもあり、これで映画が形になる、核になる部分が撮れたなと思いました。
あと、予告でももう使われている凪がピアノの下からニョキっと顔を出すあの場面は実は、原作にもある表現です。
もちろん原作の良さも大事にしつつ、何でもかんでも原作通りになぞるわけでもないですが、あの場面のマンガ的な表現も抑制し過ぎない方がいいなと思いまして、チャレンジだと思って撮影してみたら、見事にと言いますか。
井之脇さんと松本さんの二人の感じが、リアリズムと言うよりも、ポップな演出が上手くいったなと実感させて頂きました。」
登壇者それぞれの撮影時の貴重なお話を伺い知ることができた、素晴らしい舞台挨拶でした。
映画『ミュジコフィリア』は、11月19日(金)から全国公開。また、11月12日(金)からは京都先行公開となる。