現在、大阪のシアターセブンで1週間限定上映されている映画『虹のかけら』の初日舞台挨拶が、11月25日(土)に行われた。映画『虹のかけら』のあらすじは、認知症を患う母・佳代子と共に人生を歩む娘・芽衣。家族の大黒柱でもある父親は、六年前に逝去した。認知症が原因で、徐々に変わり果てていく母と過ごす彼女には、友達も恋人もいない。彼女の人生は、孤独と疲労の渦の中。夜間徘徊も目立って来た母を養うために芽衣は、否応無く夜の世界に身を置いていた。芽衣にとって、心を許せる相手は極わずか。そんな彼女には、昔から母に対する心の凝りを抱えていた。芽衣は、母親が認知症を患うまで、向き合えなかったある過去と面前に対峙しようとするのだが…。監督は、本作が長編映画デビュー作となる関西の映画シーンで活動する坂厚人。脚本は、長年に渡り、映画監督・小谷忠典に師事し、ドキュメンタリー映画のスタッフや脚本家として活動する堤健介。現代社会が抱える認知症問題、介護問題、ヤングケアラー問題など、それは遠い国の遠い時代の問題ではなく、今目の前にある事案。来る2025年(あと一年ちょっと)には、「2025年問題」と呼ばれる時代が訪れる(「2025年問題」とは、団塊世代(1947~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となることで起こる、社会保険費の負担増や働き手不足などの問題、またここに、認知症患者数の増加、介護現場働き手不足などを指す)。そんな時代の狭間で生きる私達に届けられたのが、映画『虹のかけら』。本作は、11月25日(土)より大阪府のシアターセブンで12月1日(金)まで、1週間限定上映中。
映画『虹のかけら』の上映後、行われた初日舞台挨拶では、篠崎雅美さん、波佐本麻里さん、谷口勝彦さん、倉増哲州さん、タユさん、渡辺厚人さん、坂厚人監督が登壇され、関係者たちによる舞台挨拶が開催された。主演で母親役の波佐本さんは、映画『虹のかけら』での自身の役柄ついて話された。「私はもう、観て頂いた通りでございます。若年性認知症のお母さんを演じていますが、様々な見方があると思います。自分の祖母が認知症でもありましたので、私の祖母を思い出しながら、演じさせて頂きました。」と、祖母の思い出を交えて、認知症について話された。
また、娘役の篠崎さんは、自身の役柄やつい感情移入してしまう作品の背景を話された。「私もシナリオを当て書きをして頂き、芽衣自身が私の生き写しのような存在でした。泣いてはいけない所で、涙涙の涙腺決壊状態。今も感情移入をすぐしてしまいますので、いつも泣いてしまい、涙が溢れてしまいます。それを抑えて演じる事を頑張りつつつも、もっと成長する必要があると感じています。その点、学びになった作品となりました。」と、涙が溢れるほど、主人公の芽衣になり切った話をされた。
最後に、娘役の篠崎さんが、作品に関わった全キャスト、全スタッフに労いの言葉を投げた。「もしこの作品を観て良いと思った方がいらっしゃいましたら、多くのキャストやスタッフが関わっています。特に、スタッフは顔が見えない分、作品内で気に入った箇所、例えば、ヘアメイクや撮影、脚本、衣装、編集、音や音楽と言った技術スタッフがどの作品にも関わっています。キャストをはじめ、スタッフや監督を応援したいと思って頂けましたら、それぞれの今後の活動も応援して頂けたら、とても嬉しく思います。」と、涙ながらに話された。これは、観客の方々にも届いて欲しい、貴重なお話だ。