『金本真吾監督特集上映』金本真吾監督インタビュー
—–まず初めに、監督が名乗っている「GAGAGA FILM」の由来を教えて頂けますでしょうか?
金本監督:GAGAGA FILMの由来は「言葉には出来ない感情などを衝動的に描く」という意味があります。
ガガガと前に行くみたいな、進みでるみたいな、少しアホみたいですが、前向きな意味を込めて命名しました。
—–今回、本特集上映が決まった経緯を教えて頂きますか?
金本監督:海道力也映画祭2021で、海道さんを通して、シアターセブンの支配人菅野さんとお話しさせて頂く機会がありました。
そのお話の中で、今回の開催に至りました。海道さんが縁を繋いでくれた事が、とても大きなことです。
—–プログラムAで組まれている作品『BAMBOODEAD惨劇の森の犬』『ホームレス・ファミリー』『しーしーまんま』について、制作秘話や作品の魅力、見どころをお聞きしたいです。
金本監督:映画『BAMBOO DEAD 惨劇の森の犬』と映画『ホームレスファミリー』は、48時間映画祭という映画祭で作られた作品です。
名前の通り、まさに48時間以内に映画を作るというスリリングな映画祭です!
もし間に合わなかったら、上映はおろか、出品すらさせてもらえない過酷な映画祭です。
その反面、映画祭でグランプリを獲れば、カンヌで上映されるかもしれないというビッグな特典もついて来ます。
映画『ホームレスファミリー』は、ほんのり温かい家族のお話です。
コロナ禍の中、ホームレスになったという人のニュースから着想を得ました。
好きな食べ物を自由に食べれる幸せや、家族のいるありがたさ。
今の時代だからこそ、少しでも何か共感してもらえたら嬉しいです。
映画『BAMBOO DEAD 惨劇の森の犬』は、映画を撮ろうとする時、「面白い映画を撮ろう!」「素晴らしい作品を撮ろう!」と思うのが、当然という風潮になっている世の中だと思います。
人に観てもらうために、良いものを作ろうとするのが当たり前なのかと思います。そこで、僕はあえてその逆を行こうと決心しました。
「«面白くない»を楽しめるZ級映画を作ろう」というコンセプトから、この企画は生まれました。
もともと、エド・ウッドという映画監督が好きで、史上最低の映画監督と呼ばれた人ですが、初めてその人の映画を見た時、作品の出来がめっちゃチープすぎるんですが、映画が逆に面白くて、初めて観た時、衝撃が走りました。
彼にオマージュを捧げるつもりで製作しましたが、結果C級映画で微妙に面白いものが、意外とできてしまいました。Z級映画を撮るのも難しいと感じました。
映画『しーしーまんま』は自分を含め、全ての夢追い人に向けて作った映画です。
当時24歳だった自分を主人公に投影しています。夢を追っている人は映画監督じゃなくても、沢山いると思います。
だんだん歳を重ねてくると、夢を追う辛さや、重みが増してきて、なんでこんなにつらい思いしてまで、夢を目指してるんだろう。
もっと楽な道もあったはず。そう思った時も、自分自身、何度もありました。
そう思った人も絶対おられるはずです。でも、見てくれた人がたった一人でもいいので、心に何か残るものがあれば、もし人生を変えさせれるキッカケができたなら、それは僕にとってとても嬉しいことです。
売れてなくても、評価されてなくても、好きな事を死ぬまでやる人は、何歳になっても夢を追いかけてる人は、やっぱりカッコいいと思います。
僕も死ぬまで好きな事をやっていきたいという思いもあり、そんな気持ちを込めて作った熱い映画です。
—–次に、プログラムBで組まれている作品『SAD GIRL』『ドスチュウ』『ドスえもん』についての制作秘話や作品の魅力、見どころをお話願いますでしょうか?
金本監督:映画『SAD GIRL』は神戸インディペンデント映画祭の「shortGIGS」という企画で作りました。
作品の尺の規定が20分までだったんですが、元々のシナリオが20分では無理があり、泣く泣くカットして25分になりました。
今回は完全版という形で、初のお披露目となります。笑って泣ける楽しい作品になっていると思います。
主演の国海伸彦さんは映画初出演で初主演なんですけど、めちゃくちゃ気合いが入ってて頑張って頂きました。
その熱がスクリーンを通して伝われば嬉しいです。やっぱり演技が上手い下手関係なく、やる気ってのはスクリーンを投影して反映されるものだなと、つくづく実感した作品でした。
映画『ドスチュウ』は、あの『ドスえもん』の後に作ったパロディおバカ映画です。
2分という破格の短さなので、気楽に見てもらえると嬉しいです。
『ドスえもん』を撮った後に、パロディおバカ映画に走ると言う暴走(珍走)していた時期に撮影した作品でもあります。
映画『ドスえもん』は、僕の中では「これが自主映画や!」という思いで作った作品です。
エログロ・ノーモラル全開なので、賛否両論あるかもしれませんが、某有名アニメや、過去の映画のオマージュ、映画愛をふんだんに詰め込んだ他では観られない作品です。
コンプライアンスや、色んな制約がある商業映画では出来ない事を詰め込んで作ってみました。
「もっと映画って自由でいいんだ!」「こんな映画があるんだ!」「自主映画の可能性ってどこまでもあって、どこまでも面白いんやな!」って思ってもらえたら、とても嬉しいです。
自分で言うのもおかしな話ですが、劇場でお客さんと一緒に観た時に、「なんてものを作ったんだと思いました。」上映時間1時間の映画ですが、かなり疲れるのでご注意下さい!(笑)
—–本特集上映のほとんどの作品には、関西を中心にご活躍されているベテランの悪役俳優、海道力也さんが、金本監督作品にご出演されていますが、監督から見て俳優海道力也さんは、役者として、また人として、どのように見ておられますか?
金本監督:今回の上映6作品中、5作品に海道力也さんに出演して頂いております。
僕が海道さんと出会ったきっかけは初長編映画『嗚呼、残酷な世界』という作品からです。
その後『しーしーまんま』に続き『ドスえもん』で初めて主演として出演して頂きました。
海道さんには、『ドスえもん』でのたくさんのアイディアを出して頂き、お陰で作品としてとても面白くなりました。
撮影が始まる前からドスえもんになり切ってるのを見て、「ああ、これが役者なんやな」と初めて感じることができました。
映画は当たり前ですが、監督一人では作れないですし、演じて下さる役者の方があっての映画だと、多くの役者さんと入念に打ち合わせする事がどんなに大事な事か、海道さんから学ばせて頂きました。
今思えば僕自身、「ドスえもん」の撮影で、かなり一皮剥けた感じがあります。
海道さんは、僕の作品に15本と最多出演しておられます。
作品を面白くするための価値観が似てたり、僕の考えてる事をすぐに理解してくれる方です。
プライベートでも仲良くさせてもらっており、大変お世話になっております。僕に人として、監督として、色々教えてくれる、お父さん的存在の方です。
まだまだこれからも一緒に映画を撮り続けていきたいです。
—–「GAGAGA FILM」として、デビュー作『嗚呼、残酷な世界』から共に映像製作をやって来たメンバーについて、今はどう思いますか?
金本監督:GAGAGA FILMのメンバーの撮影担当の一村君と照明担当の植田君とは専門学校の同期で、学生の頃から一緒に映画を撮り続けています。
GAGAGA FILMは僕が一人で名乗ってきた個人プロダクションのようなものです。
3人体制は2年ほど前からでしたが、今後どうなるか分かりません。
願わくば、これからも映画を撮り続けて一緒に天辺まで上がって行きたいと願っています。
僕一人じゃここまでやってこれなかったので、一緒に製作をしてきた彼らには感謝しかありません。
—–この度の特集上映に際して、監督自身、「夢がひとつ叶った」と仰られておりますが、何か更なる目標や夢は、お持ちでしょうか?
金本監督:今年の目標の一つに劇場公開があったので、一つ目標が叶いました!
そして、17、18歳ごろから映画監督を目指し始めて今年で10年となります。
映画祭では作品を上映した事はありますが、映画祭は音楽でいう対バン形式で、単独ライブではないと思っております。
単独上映でお客さんが来て頂けることに、すごく憧れがありました。
映画監督を名乗ってはおりましたが、単独で上映をするまでは、映画監督ではないと思っていました。
やっと少しの一歩ですけど、胸を張れる思いでもあります。
ですので、これからの目標は一つの作品での劇場公開を目指していきたいです。
また映画『ドスえもん』を越える、本気の勝負作を撮りたいと思ってます!
その作品で映画祭のグランプリを狙います!
—–最後に、来る4月9日の特集上映に向けて、金本監督の意気込みをお聞かせください。
初めて特集上映をするので、色んなドキドキがあって今から楽しみでもありますし、緊張してます!
やはり人に作品を見せるのは恐怖心もあったり、羞恥心もありますが、自分の作った作品が誰かの心を動かしてる事を想像すると、ワクワクが止まりません。
どれも楽しい映画ばかりなので、ぜひ少しでも興味が湧きましたら、観に来て欲しいです!
もし都合が悪くて来れない人も、またどこかで上映する時は観てもらえれば嬉しいです!