映画『BAD CITY』園村健介監督(アクション監督)「人物達が動く感動や躍動感」インタビュー

映画『BAD CITY』園村健介監督(アクション監督)「人物達が動く感動や躍動感」インタビュー

2023年1月23日

スタントなしのガチンコアクション映画『BAD CITY』園村健介監督(アクション監督)インタビュー

©️2022『BAD CITY』製作委員会

©️2022『BAD CITY』製作委員会

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—–まず、映画『BAD CITY』の監督に抜擢された時の感じたお気持ちなど、お聞かせて頂きますか?

園村監督:前作『HYDRA』以降、しばらく監督業もすることないだろうと思っていた矢先、俳優の山口祥行さんを介して、小沢さんを紹介して頂きました。

いつも小沢さんが、ご自身で監督をされていますので、僕はアクション監督の担当をするのかと想像して会いに行ったら、突然に監督に任命されてしまったんです。

あまりにも急だったのもありますが、脊髄反射的に「監督します!」って言ってしまいました。

—–前回、小沢さんにインタビューをしましたが、若手の方を凄く大切にされている印象を受けましたので、そういう経緯を経て、園村さんに監督をお任せしたのだろうと思います。

園村監督:僕の前の作品も観て頂き、あの映画のような事がしたいと仰ってくれていました。

前回は、実験的なアクションにトライしてみたんです。

その作品では、通常のアクションよりも、人と人とが近い距離感での組み手を組み立てていたのが、小沢さんには少し新鮮に映ったようなんです。

それで、前作に似たような演出をやりたいと、言って頂きました。

©️2022『BAD CITY』製作委員会

—–2021年の映画『ベイビー・わるきゅーれ』以降、担当させて頂く作品を調べると、必ずと言っていいほど、園村さんが携わっているアクション映画が、非常に秀でていると、常々、感じています。前作『HYDRA』から数年が経っていますが、監督として、その頃と比べて、今回は何か気持ちに変化があったり、視点が違うと感じることはございましたか?

園村監督:前作と比べると、まずキャストの数が段違いに多く、前回は若手の役者の方がメインで、ベテランの方はポイントだけ出演して頂きました。

今回は、主要メンバーにベテランの方が多くいたんです。

前の作品では、予算が非常に少なかった事もあり、物語の中で盛り上がるようなエピソードを入れ込む余地がありませんでした。

ただ今回は逆に、内容が詰まっており、一つ一つ密接に、ラストに向かって、脱線せずに、絡み合うようなエピソードが多くありました。

一つ一つのシーンを積み重ねて、丁寧に撮っていかないといけない作品だったんです。

シーンを大事に撮る事は、テーマとして僕の中では非常に大切な事でした。

前作では遊びや脱線を挿入する余地がありましたが、今回はそんな余裕もなく、ワンシーン、ワンシーン、大切に撮っていきました。

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—–本作『BAD CITY』では、前作『HYDRA』に引き続き、アクション・コーディネーターの川本直弘さんと組んでおられますが、今回も綿密な話し合いの元、アクション場面はお2人で作り上げましたか?

園村監督:前回の『HYDRA』の時は、川本さんもキャストに入れており、アクション指導と役者の2足の草鞋状態でしたが、今回は僕自身も監督業が忙しく、今回は任せた部分もありました。

川本さんとは、20年ぐらいの付き合いがあるので、ずっと一緒にやっていると、僕の好みのアクションや嫌いなアクションを熟知してくれていますので、ドラマシーンを撮影している間に、先行してアクションの骨組みになる部分を作ってもらったりしていました。

もちろん、核となるラスト・アクションは時間を取った分、細かい部分の構成は今回、人に任せる比率が多かったと思っています。

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—–ここからは監督の話ではなく、アクション監督についてお話をお聞きできたらと思います。まず、初歩的ではありますが、アクション監督とアクション・コーディネーターの違いは何でしょうか?

園村監督:簡単に言ってしまえば、アクション監督はアクションシーンを監督する業務です。

カット割りも編集も、効果音や(※1)ポストプロダクション含め、撮影後の製作現場に立ち会い、アクションシーン全体の統括を担っています。

また、アクション・コーディネートの場合は、人によって関わり方は少し変わって来ますが、大まかに説明しますと、一般の方が想像するようなアクションの動きを付けたり、安全面に気を配ったりしながら、撮影現場に立ち会い、アクションシーンを作るのが、コーディネーターの役目です。

作品全体の監督や第2班監督に近いのが、アクション監督です。

—–監督と、アクション監督を分けることで、作品にはそれぞれ、違いは産まれて来るでしょうか?

園村監督:僕の主観になりますが、アクションをずっと撮り慣れている事、また安全面への配慮も考慮した上で、カットの切りどころの判断は、監督にとっては非常に難しいと思います。

パフォーマンスが一番いいシーンでカットすり判断ができるのは、アクション専門でやって来た人間であるならば、だいたい即時に判断できます。

アングルにしても、何にしても、動きが一番目立つ角度も考慮します。

今までの蓄積を最大活用して、アクションシーンに挑みます。

積み重ねてきた経験が、現場では大いに役立てることができ、一般の監督よりもシーンの細かい所まで作り上げています。

最大元のパフォーマンスを引き出すには、監督とアクション監督を分けた方が、撮影時の効率含め、作品をよりいいモノにしています。

例えば、アクション監督ではなく、コーディネーターとして現場入りした時、安全面には一番気を付けています。

お芝居をワンカット、長回しで撮りたいとおっしゃる方がよくいらっしゃっりますが、その場合、どこでどんな風に危ない倒れ方をするか分かりませんので、予測できないアクションの動きには常に、気を配っています。

そうなって来ると、アクションの内容云々より、どちらかと言えば、現場や役者さんへの安全面に気持ちが向いています。

—–アクション担当の方々は、役者さんの命や健康を、第一に考えないといけない立場でもあるんですね。重要な役どころではありますね。

園村監督:予期せぬ倒れ方であったり、役者さん同士のぶつかり方を何度も見てきてます。

これが原因で、現場が止まってしまうと、撮影にも支障が出てしまいますので、細心の注意は払っています。

サポーターの仕込む位置一つ取っても、常々気を付けています。

アクション担当のスタッフ達は、一般の方々が想像している以上に、安全面に関する業務を担っています。

—–殺陣や組み手を考えてるだけではなく、役者や現場の安全性にも気を配っておられるのですね。

園村監督:撮影が止まってしまう事自体が、プロダクションとしても、最も困ってしまう事なので、そうならないように、いつも気を付けています。

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—–本作とは関係ございませんが、園村さんは実写作品の他に、アニメやゲームの世界でもアクション・コーディネーターとしてご活動されていますが、アニメやゲームでは、どのようにしてアクションシーンを作っていますか?また、実写との違いは、ございますか?

園村監督:僕らがよく使うのが、モーション・キャプチャーです。

実際の動きを収録して、それをアニメやゲームのキャラクターにはめ込むのが、主な業務です。

特に、アクション監督として作品に関わるとすると、ゲームの物語のドラマパートのアクションシーンを丸ごと、カット割り含めて、演出を行います。

2Dアニメになると、更に職種が変わって来ます。

2Dアニメのアクションシーンを演出はしますが、実際の人間ではできるアクションでは無い事が多いので、小さいフィギュアのような人形を使って、絵コンテを書く方と話し合いながら、アニメのアクション場面を作るアニメーターの方に作ってもらいます。

—–想像以上に、細かい作業ではないでしょうか?

園村監督:場合によったら、身体を動かさずに、頭の中でイメージする動きを演出していきます。

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—–昨年末に、違う作品の監督の方が、「アクション場面において、園村さんは主人公や登場人物たちの人間ドラマの要素や背景」など、彼らの心情を考慮して、アクションを構築されているとお聞きましました。アクションにおいて、肉体派や体力めん、強靭な男の存在のイメージが大きく作用しますが、脚本をお読みになった上で、人物達の心情をアクションシーンに入れる園村さん自身の演出意図とは、何でしょうか?

園村監督:一番はやはり、お客さんに感情移入して、観て頂きたいという想いがあります。

アクションって、決められた型のパターンを組み合わせて来た事が多いです。

例えば、一つのゲームの中に三人の格闘家が出現しても、誰一人して、同じ動き方はしないと思います。

似ていても、その人物の性格で、チョイスしている技が違うと考えているんです。

だから、ユーザーの方が、好きなキャラクターをチョイスできるような設定になっていると思います。

それと同じなように、映画の中のヤクザでも、性格によって、キャラクターそれぞれ、戦い方は違って来ると考えているんです。

その時、どういう気持ちで戦っているかによって、最適な動き方は違って来ると。

一番、その心情を表現できるのは何だろうかと考えながら、アクションの指導を行います。

守りたい人を守るために、戦う必要がある時、どういう表現を選べば、守ろうとする気持ちを映像を通して伝える事ができるのではないかと、常に考えています。

例えば、足にしがみつくなど、目に見えて分かる動きをチョイスしています。

アクションが、ただ組み手をし、型や技を組み合してるだけと見えないように、技や型を通して、人物の心情を表現できそうな動きを選ぶことが、僕の中でいつも気をつけていることです。

—–例えばですが、園村さんが行うような演出は、他のアクション関係の方もいてるのでしょうか?

園村監督:僕の師匠に当たる下村勇二監督は、近いことをしていると思います。

僕自身も、下村さんから影響を受けていますし、助手に付くことも多かったので、キャラクターを重視した演出方法には、感化されています。

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—–園村さんは、およそ20年間、日本のアクション映画の世界で、ご活躍されていますが、この20年の間に、アクション業界を取り巻く環境には、変化はございましたか?

園村監督:すごく変わったと思います。

僕が始めたばかりの頃の仕事は、ほとんどVシネマやヤクザものの作品が、占めていました。

その時代から少しずつ、環境は変わって行き、アクションを売りにしたような作品が増えて来た時代でした。

多分、当時ヒットした映画『マトリックス』の影響力もあったと思います。

国内でも、同じような事をしてみようという流れになった頃でした。

少しずつ、アクションに対するアプローチの仕方が、変わった時でした。

日本なりのアクションが、確立され始めた最初期でした。

2000年代では、香港アクションなどを参考にし、どこまで香港映画に近づけれるのかと、試行錯誤していたと記憶しています。

そこから徐々に、香港アクションを加味した上で、日本のオリジナリティを生み出す方向を模索していく時代が、映画『るろうに剣心』辺りから出てきたのではないかと、推測できます。

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—–その観点で申し上げますと、映画『片腕マシンガール』や『ディストラクション・ベイビーズ』が、非常に優れた作品かと思います。後者は、当時のアクション映画の草分け的存在かと、捉えています。また昭和のアクションは泥臭く、血生臭い印象があり、平成のアクションはスタイリッシュなアクションへと移行しているのが作品を通して感じますが、園村さんが生み出すアクションは平成アクションと一線を画すようにも見えます。何か、園村さん自身の中で違いを意識していますか?

園村監督:今、話題にも上がったように、映画『ディストラクション・ベイビーズ』は、僕にとっても、一つのターニング・ポイント的な作品でもあります。

意識的な側面では、変わったと思えた映画です。

その時に、YouTubeを視聴して、多くの動画を研究し、実際のケンカにあり得る空気感とは何かと模索しました。

『ディストラクション・ベイビーズ』のようなアクションを作り上げた時に感じたのが、ケレン味です。

今まではどう派手に見せるかと言う演出が多かった中、「ディストラクション・ベイビーズ」的生々しさというエッセンスを、ケレン味のあるモノに足して行きました。

単純に、戦いを通して、気持ちと気持ちのぶつかり合いを表現する時に、技の見せ合いみたいな演出は、やめようと思いました。

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—–本作『BAD CITY』におけるアクションシーンは、深みを与えていると思いますが、『BAD CITY』でのアクションの重要性とは、何でしょうか?

園村監督:ほぼアクションで解決してしまう物語で、実際はそうでも無いですが、冷静に考えると、殴り込みにしても、主人公が無計画で突っ込んで行ってますよね。

この映画のアクションは、お客さんが一緒になって、感情が燃えるようなツールになっているんです。

物語を知的に終わらせる事ができる内容でもありますが、人物達が動いている感動や躍動感を物語の結末に持って行ける意味では、アクションが占めるウェイトは、非常に重要だと思います。

本来は、クライム映画やアクション映画は、本作のようには締め括らないと思うんです。

50歳を超えた人同士が殴り合っている事実に、妙な説得力があると信じています。

—–最後に、本作『BAD CITY』の魅力を教えて頂きますか?

園村監督:この作品の魅力は、いい大人たちが本気で殴り合っている姿です。

おじさん達が、戦う事自体に感動があると思います。

キャラクターが背負っている人生や背景が、重みや深みを作品に与えています。

そういう要素が、物語から剥き出しになっていると思うんです。

—–貴重なお話、ありがとうございました。

©️2022『BAD CITY』製作委員会

映画『BAD CITY』は現在、関西では1月20日(金)より大阪府のなんばパークスシネマMOVIX堺MOVIX八尾。京都府のMOVIX京都。兵庫県のkino cinema神戸国際MOVIXあまがさき。和歌山県のイオンシネマ和歌山にて絶賛公開中。また、全国の劇場にて公開中。

(※1)ポストプロダクションとは? 仕事内容と大手ポスプロ16社一覧https://thingmedia.jp/2138(2023年1月22日)