取材・文・撮影 スズキ トモヤ
11月20日(土)、大阪府のシネ・ヌーヴォにて、ドキュメンタリー映画『カナルタ 螺旋状の夢』の大阪初日舞台挨拶が行われた。
この日は、太田監督と一緒に、ドキュメンタリー映画『愛と法』を製作された戸田ひかる監督もご登壇され、トーク・イベントを行った。
人類学者ティム・インゴルドが定説した人類学とは、(1)「他者を真剣に受け取ること」
どんな環境下でも、他者と物事を共有し、理解し合える社会が、いかに尊いか、と述べているようだ。
本作『 カナルタ 螺旋状の夢 』は、アマゾンに暮らすシュアール族の生活に密着した今までにないドキュメンタリー映画だ。
森と共存する中で、育まれる自然との相互理解、意思疎通は、自分たち人間が価値観を分かち合い、他人を尊ぶ行動に帰依するようなテーマだ。
まさに「他者を受け入れること」なのだ。
映画は、森で生きるシュアール族の「目」を通して描かれる、自然との共依存とは何かを問うているようでもある不思議な作品だ。
太田監督と戸田監督は、イギリスで同じ映像人類学を学ばれた経験から、今回のトーク・イベントの開催へと繋がった。
太田監督は作品に対して「映画として、シンプルに面白いものを作りたいという想いもありました。
映画もとても好きなので、自分なりにどんな表現ができるかと、試行錯誤しながら作品を完成させました。
伝えたいこと、話したいことはたくさんありますが、一人一人の感性で感じ、観て頂けたら嬉しく思います。」
監督から感想を求められ戸田監督は「太田監督とシュアール族たちのコミュニティとの関係性がすごく映っているのを感じました。
色々と質問したいこともありますが、彼らとの信頼関係を築いている姿も見受けられました。」と感想を述べた。
ドキュメンタリー映画『カナルタ 螺旋状の夢』 は、11月19日(金)より京都府の出町座、11月20日(土)より大阪府のシネ・ヌーヴォ、元町映画館にて上映中。また、11月27日(土)に元町映画館にて太田監督と小笠原博毅さん(神戸大学大学院国際文化学研究科教授)のトークショーを予定。今後、全国の劇場にて順次公開予定。
(1) ティム・インゴルド(2020). 人類学とは何か 亜紀書房 p20 13行目