「撮影場所の理髪店は、私の母のお店」3月17日(金)、ABCホールにて行われた第18回大阪アジアン映画祭(OAFF2023)で上映された日本映画『愛のゆくえ』台湾映画『本日公休』のトーク・イベントのレポート

「撮影場所の理髪店は、私の母のお店」3月17日(金)、ABCホールにて行われた第18回大阪アジアン映画祭(OAFF2023)で上映された日本映画『愛のゆくえ』台湾映画『本日公休』のトーク・イベントのレポート

2023年3月18日

3月17日(金)、大阪府にあるABCホールにて、大阪アジアン映画祭で上映された日本映画『愛のゆくえ』台湾映画『本日公休』のトークイベントが、行われた。

この日、映画『愛のゆくえ』では、監督の宮嶋風花さんが、ご登壇された。

©愛のゆくえ

映画『愛のゆくえ』のあらすじ

“愛の唄”が鳴り響く街・北海道。

幼馴染の愛と宗介。

彼らの育ての親・由美の大きな愛情で守られていた。

そんなある日、由美の突然の死により、その安心安全な世界が音を立てずに、静寂の中、崩壊してしまう。

すべてを失った愛と宗介。

雄大な北海道の大自然の中、孤独な少年少女は、社会の何を見つめているのか…。

©Tiroir du Kinéma

この日、ご登壇された監督の宮嶋風花さんによるお話は

宮嶋監督:「監督としては、本作は2作目になりますが、1作目は大学の卒業制作で作りました。映画は『親知らず』という作品ですが、沖縄国際映画祭アンダー25の部門にて、グランプリを頂きました。そこから、半年間、商業デビューを競う企画に参加し、そこで優勝した結果、本作『愛のゆくえ』が生まれました。今まで私は、映画の勉強をしたこともなく、プロセスも分からず、前作『親知らず』を作りました。今作『愛のゆくえ』で共通するのが、自分の内面に有るものや今まで経験した事をパズルのように組み合わせ、再構築する作業を何度も重ね、製作したのが、本作『愛のゆくえ』でした。」

と、本作の製作経緯について、お話されました。

この日、映画『本日公休』では、監督のフー・ティエンユーさん、主演のルー・シャオフェンさんが、ご登壇された。

映画『本日公休』のあらすじ

常連客に支えられ40年。

昔ながらのレトロな理髪店を営む主人公の初老の女性・アールイ。

一人息子に二人の娘、元娘婿に小さい孫に囲まれて幸せに暮らす。

それでも、微妙な距離感がある家族との関係もそれなりとして、アールイの毎日は静穏に過ぎる。

そんなある時、遠くの町・彰化から足を運んでいた男性の常連客が病床に伏したことを知らされた彼女。

店には、「本日公休」と告知し、彼の最期の散髪をするため、古き良き時代の愛車VOLVO 240GLで最後のひと仕事をしに行くのだが…。

©Tiroir du Kinéma

この日、ご登壇された監督のフー・ティエンユーさん、主演のルー・シャオフェンさんによるお話は

フー監督:「実は、私は生まれも育ちも、理髪店の娘でした。映画の中に登場した撮影場所の理髪店は実は、私の母のお店でした。今も営業中の理容室なんです。私は小さい時に、ずっと店内の椅子に座りながら、客の全員が男性という中、とにかく私は新聞を読む振りをしながら、母親がどのように彼らと雑談をしているのかを聞き耳を立てていた幼少期があります。その頃はよく、母親とケンカをしていました。小さい時は、私たちの髪を切る役目は母親でした。お店のお客さんは皆さん男性で、切る髪の要望も短いものばかり。だから、娘の髪の毛も比較的、短く切ってしまってました。ただ、私が高校生になったら、誰もがその年頃の子は皆、オシャレに目覚める年ですよね。そういう時は、周囲の友達に合わせて髪を切ったものです。」

ルーさん:「本当に大変でした。監督の要求は、とにかく高かったんです。出会った最初の頃に監督から言われたのが、「覚悟しなさいよ!」と。「色々な要求が、お願いしますね。」と。監督は、2、3人のプロの理容室の先生を手配して、4、5ヶ月ほど、時間をかけて、毎日毎日、役の練習をしました。その訓練したヘアスタイルですが、オールバックとハイライトの主にこの2つでした。撮影前は、毎日カットカットの連続で、骨折するのではないか、と思えるほどでした。ある時、自分の手を切ってしまい、血が流れました。それでも、私には強いやり甲斐を感じていました。つまり、映画の中では、私が演じるこの役柄は、非常に熟達したベテラン理髪師の存在です。リアルな仕草や動きでないと、なかなかこれをマスターするのは難しいです。ただ、演じる時には、ヘアーカットをしながら、演技をする必要もあるんです。歩く位置、止まる位置など、色々気を遣いながらだったので、非常に大変だったお芝居でした。でも、脚本そのものは素晴らしく、監督には頭が上がらない思いでいっぱいです。」

と、舞台挨拶でしか、聞けないお話をされました。

第18回大阪アジアン映画祭(OAFF2023)は、3月10日(金)から3月19日(日)まで、大阪府のシネ・リーブル梅田他にて、絶賛開催中。