映画『劇場版 米寿の伝言』あなたの夢は必ず親や家族が支えてくれる

映画『劇場版 米寿の伝言』あなたの夢は必ず親や家族が支えてくれる

昔、破れた夢を家族三世代で叶えた映画『劇場版 米寿の伝言』

©米寿の伝言

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米寿。八十八歳を祝う言葉。88を漢字で書くと「八十八」となり、「米」という字を分解した形に見えるため、「米寿」(※1)と呼ばれるようになったと言われている。日本では漢字の「八」の縁起の良さは、古来から「八」は末広がりを意味し、縁起の良い数字と認識されている。その上で、漢字の「八」が2つ重なる88歳(※2)は、特にめでたい歳として大切にされて来た日本特有の風習・文化がある。日本には、米寿以外に、60歳の還暦や70歳の古希、77歳の喜寿、80歳の傘寿、90歳の卒寿、99歳の白寿、そして100歳を超えれば、茶寿、皇寿、大還暦(※3)と様々な言葉で祝われ、この古くからある習慣は、今でも日本の古風な文化として親しまれている。今年も多くの方が米寿を迎え、昭和13年(1938年)に生まれた満87歳(数え年で88歳)の尊老が、日本国内にも数多くいる。昭和38年生まれの方は、全体で1,928,321人、男性で990,888人、女性で937,433人いると言われているが、今ではどらくらいの方々が米寿の88歳を目出度く祝われたのだろうか?足腰が今でもピンピン元気な88歳か、残念ながら、老衰や病気でベッドの上で88歳を迎えた米寿の方なのか、それはそれぞれの元気だった頃の生き方と半生が晩年の生き方として現れている。それでも、どんな状態の終焉であったとしても、88歳を迎えられる人生のバイタリティ、生気を持っているのであれば、大往生と親族一同で祝福してもいいだろう。映画『劇場版 米寿の伝言』は、死んだ祖父と孫の身体が入れ替わってしまったことから巻き起こる騒動を描いたハートフルコメディ。死を目前にして80代のおじいちゃんが、自身の人生の最期に孫子に何を伝えたかったのだろうか?「米寿の伝言」の意味が最後に明かされる時、誰の目にも一筋の涙が溢れる涙腺崩壊間違いなしだろう。

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今、日本社会ではシニア世代の活躍が盛んだ。その一方で、2025年問題という75歳以上のシニア世代が一気に増える年のちょうど境目だ。今年、2025年に団塊の世代が全員75歳以上となり、後期高齢者の割合が全人口の約18%に達する事により生じる社会問題を2025年問題と呼称する。これに伴い、医療費や介護費の増大、労働力不足、社会保障制度の持続可能性への懸念などが顕在化し、国を絡めて、大きな問題へと突入している。そんな中でも、一部のシニア世代がリタイア後のセカンドライフに様々な活動を通して、人生の生き甲斐を見つけている。シニア層が社会で活動する事とは、65歳以上で社会参加や趣味、ボランティアなどを積極的に行う行為。つまり、「アクティブシニア」(※5)を指す。彼らは、健康的な生活を送り、自己実現を追求しながら、社会や地域に貢献する活動をしている。実際のアクティブシニア達の活動例を挙げてみる。定年退職の後、再就職やボランティア活動を通して、社会との繋がりを保ちながら、生きがいを見出す社会参加型。趣味やスポーツ、文化活動など、自身の興味・関心に沿った活動を通し、心身の健康を維持し、充実感を得る趣味型。今回は、この分類に当てはまるだろう。また、地域の活動や、社会貢献活動を通して、自己実現や地域貢献を追求するボランティア型。最後に、新しい知識やスキルを学ぶことを楽しむことで、生涯学習の一環として自己成長を追求する学習型。シニア層の方々が第2の人生で活動するメリットには、生きがい、健康促進、社会との繋がり、地域への貢献などがある。シニアの方々の活動は、自己実現や地域貢献だけでなく、日本社会全体の活性化・潤沢化にも貢献していると言える。今現在、あらゆる分野で65歳以上のシニア層と呼ばれる方々が、現役世代以上に現役として活動している。社会全体が、2025年問題に身震いする中、彼等の社会の中での活動は2025年問題もどこ吹く風だろう。私達、30代の現役世代から50代の壮年世代もまた、シニア世代に負けじと頑張りたいところだ。

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日本には、親子3世代や家族経営で奮闘活動している方々が大勢いる。たとえば、「西成区弘治こうじ地域ふれあい喫茶」(※6)が良い例だ。主催者は、親子3世代の参加だけでなく、親子3世代のボランティア活動も目指していると話す。参加する者、活動する者、その全員が子ども世代からシニア世代まで集って、その場で交流を楽しむ。だから、「ふれあい喫茶」というネーミングが付けられている。他には、親子参加型のワークキャンプを展開するNGOの団体(※7)が、活動を通して家族間の繋がりや他家族との繋がり、子どもには父親母親以外の大人達がいる大人社会を見せる。違う家族との交流を図る事により、子の成長や豊かな表情を育む。児童虐待が社会で深刻化した2006年頃から活動を始めたと話すNGOの代表の強い信念が、伺い知れる。世界のビジネスの3分の2を占める家族経営や親子3世代経営をファミリービジネスと呼ぶ。その価値が近年、見直され再評価されていると言われている。世界的にも4代目以降まで続くファミリービジネスが限られる中、勝ち残る企業の後継ぎには、ある共通点があると指摘されている。家族経営研究の結果、4代目に到達する企業は2~3%。後継ぎが切り開く「再生の途」。そして、ファミリービジネスの再評価(※8)が示されている。でも、その答えは研究結果にある訳ではなく、家族一人一人の心の中にあり、家族間の関係が如実に現れている事だろう。また、日本では先祖代々受け継がれて来た秘伝の味など、10数世代、数百年という長い歴史の中で生まれた家族経営も存在する。特に、歴史の深い京都では、1000年以上続く日本最古の菓子店、一文字屋和輔(※9)が有名だ。親子3世代、親子4世代、数百年にも及ぶ先祖代々から受け継がれる秘伝の味。家族経営や先祖伝来の秘訣は、当事者達の強い信念とやる気、そして何より、家族間や夫婦間の水魚之交が物を言うのだろう。映画『劇場版 米寿の伝言』を制作した西本浩子プロデューサーさんは、あるインタビューにて本作の誕生についてこう話す。

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西本浩子さん:「私は小さい頃からお父さんが本当に大好きで、ずっと尊敬して生きてきたんですけど、父は昔、小・中・大学では演劇部に所属し、役者を志していたそうなんです。ですが父の弟が早くに亡くなったことにより役者の道を諦め、安定した先生の道を選んだんです。さらには先生になってからは演劇部の顧問をやっていました。 私の息子たち(西本健太朗、西本銀二郎)がたまたま子どもの頃から役者をやっていたので、お父さんがよく本気のダメ出しをするのを見て、役者を目指していた魂がまだ心の中に残っているんだなと思いました。80歳を過ぎて、体も動くうちにできることなら夢を叶えてあげたいと思ったので、舞台に出られるワークショップに申し込んだんです。ですが前日になり「腰が痛いからやめておく」と、どうやら怖気づいてしまったようで(笑)じゃあ息子たちと一緒ならと思い、自分たちで舞台をやることにしました。」(※10)と話す。話の内容からも分かるように、親子3世代の仲睦まじさがよく理解できる。仲がいいだけでなく、お互いをリスペクトしている点が、素晴らしい。家族関係、親子関係は心の距離が近い分、どうしても、意見の相違があったり、仲違いをしたり、大きなケンカに発展したりする事もあるが、そのトラブルでさえも諸共せず、家族が一致団結して一つの作品を作る行為そのものに尊さを感じて止まない。

©米寿の伝言

最後に、映画『劇場版 米寿の伝言』は、死んだ祖父と孫の身体が入れ替わってしまったことから巻き起こる騒動を描いたハートフルコメディだが、単なるファミリー向けのコメディ映画に仕上がっている訳ではない。私達若い世代は、80代を迎えた主演を務める西本氏の姿から必ず生きる勇気、自身の人生を歩む大切さ、そして夢を諦めない姿勢を学ぶ事になるだろう。また、私自身、次の若い世代やまだ見ぬ孫子の世代に向けて、いつくになっても、夢を捨てない諦めない事をこの映画や西本氏を通して伝えたい。そして何より、あなたの夢は必ず親や家族が支えてくれる存在になるだあろう。

「あの人はもう目覚める頃。棺には、米寿の伝言。高貴さ際立つ人生や家族の存在を胸に旅立って行く。あの人の事は忘れない。お棺には、米寿への祝福。遠とき夢の果てまでも、見切らない限り必ず夢は叶う。前向きな気持ち持ち続け、願いはどんどん、叶い始める。どんな時も棺から大切な伝言、願い続けて欲しいMy Granpa!.」

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映画『劇場版 米寿の伝言』は現在、5月10(土)から6月5日(木)まで東京の池袋シネマ・ロサにて絶賛公開中。また、6月6(金)より大阪のTOHOシネマズ梅田、6月20(金)より北海道のサツゲキにて上映予定。

(※1)「米寿」とは何歳のお祝い?意味や由来・祝い方も解説https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/sp/lifestyle/detail/000769.html(2025年5月25日)

(※2)長寿祝いのおすすめギフト・プレゼントと基礎知識(還暦/古希/喜寿/傘寿/米寿/卒寿/白寿)https://www.ringbell.co.jp/giftconcierge/2201#:~:text=%E7%B1%B3%E5%AF%BF%E3%81%AE%E7%94%B1%E6%9D%A5,%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%A0%E3%81%A8%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82(2025年5月25日)

(※3)長寿のお祝い│還暦・古希・喜寿など各名称と意味https://www.vmg.co.jp/restaurants/magazine/toshiiwai/(2025年5月25日)

(※4)5人に1人が後期高齢者に!「2025年問題」で何が起きる?背景や対策を解説https://jichitai.works/article/details/2731#:~:text=%E3%81%AE%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82-,%E5%9B%A3%E5%A1%8A%E3%81%AE%E4%B8%96%E4%BB%A3%E3%81%8C%E5%BE%8C%E6%9C%9F%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85%E3%81%AB%EF%BC%81,%E3%81%8C%E6%87%B8%E5%BF%B5%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82(2025年5月25日)

(※5)今から知っておきたい「アクティブシニア」とは?「2025年問題」に向けてhttps://daily-ad.jp/column/wealthy-class-07/(2025年5月25日)

(※6)活動者の広げ方のススメ1 三世代が活躍中の居場所をご紹介!https://www.osaka-sishakyo.jp/project/fukushiru/shiiki/1499/(2025年5月25日)

(※7)【ファミリーボランティアの事例紹介⑥ 親子・家族ワークキャンプ(NPO法人NICE)】https://www.jave.jp/family-volunteer-6-nice/(2025年5月25日)

(※8)ファミリービジネスが背負う「3世代の法則」 勝ち残る企業の共通点はhttps://smbiz.asahi.com/article/14666094(2025年5月25日)

(※9)1000年受け継いできた味 日本最古の菓子店、一文字屋和輔https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00214/071400005/(2025年5月25日)

(※10)『劇場版 米寿の伝言』製作のきっかけは「役者をやっている父を見たい」キーマンたちのオフィシャルインタビューhttps://lp.p.pia.jp/article/news/418612/index.html#google_vignette(2025年5月25日)