第20回大阪アジアン映画祭 映画『蒙古馬を殺す』

第20回大阪アジアン映画祭 映画『蒙古馬を殺す』

今年もまた例年通り、大阪アジアン映画祭の季節が訪れた。今年は第20回を迎え、大阪府で開催中。テーマは「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」。第20回の上映作品本数は、新たに67作品が上映される。上映作品の製作国 ・地域は19の国と地域が集結したアジア映画に特化した映画の祭典。世界初上映19作、海外初上映6作、アジア初上映4作、日本初上映31作。3月14日(金)から3月23日(日)までの10日間、開催されている。本映画祭に出品された作品レビューと当日レポートを交えて、少しづつ紹介したい。

映画『蒙古馬を殺す』

一言レビュー:モンゴルと中国に国境を接する草原で、昼は牧畜、夜は馬術ショーのパフォーマーとして生計を立てる男。気候の変化が牧畜に影響を及ぼし、生活は困窮していく。草原から都市へ、都市から観光地へと押し出されたモンゴル族の生活を描いた意欲作。今、伝統的な職業が、淘汰される時代に突入している。それは、産業革命から始まり、社会の中にある様々なツールが発展した結果、人力より機械化の利便性、有効性を最優先し、人々の暮らしは一段と豊かになったその裏側では、多くの職人が職を奪われ、住む場所を追われ、人生を蔑ろにされ、人としての尊厳を剥奪された。ここ日本でも同じような現象(※1)は起きており、職人の高齢化、担い手や後継者不足、伝統への無理解が社会のあらゆる価値観を歪めている。この映画のこの物語は、全世界にいる職を奪われた職人達の悲痛な叫びが反映されている。次の時代の社会を支えるのは私達人間か、それとも…。

(※1)ものづくりはロボットに奪われる…?いや、待っているのはきっと明るい未来https://www.ns-tool.com/ja/for_crafting_future/category/sub_category/618.html(2025年3月20日)