ドキュメンタリー映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』「はじまり」を迎えただけ、かもしれない

ドキュメンタリー映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』「はじまり」を迎えただけ、かもしれない

ビートルズとインドを巡る奇跡のミステリーツアーを描くドキュメンタリー映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』

© B6B-II FILMS INC. 2020. All rights reserved

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ビートルズ伝説は今も、ずっと続いている。

1960年代にブリティッシュ・ロックの旋風を巻き起こした伝説的のロックバンド、ザ・ビートルズの活動後期の足跡を記したドキュメンタリー映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』は、未だ見ぬロッカーとしての彼らの威厳を見せてくれる。

ただ実物のジョンも、ポールも、ジョージも、リンゴでさえ、出演しない。

初期のライブシーンやテレビ番組、エド・サリバン・ショーの貴重映像でさえも、見せてくれない。

作品の鍵となる彼らの名盤『ホワイト・アルバム』のスタジオ風景でさえ、作中に使用していない。

タイトルに「ザ・ビートルズ」と冠しているにも関わらず、彼らの存在感があまりにも薄すぎる。

今年公開されたドキュメンタリー映画『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』『a-ha THE MOVIE』や『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』の方が、断然面白い。

でも、なぜだろうか?とても心地よい心の音楽が、奏でられている。

それは、彼らビートルズたちの生きた、活動してきた証だ。

本作は、カナダ出身の映像作家、ポール・サツルマンが、北インドを訪問した奇跡の八日間を巡る音楽ドキュメンタリーだ。

今、あなたは壮大な音楽絵巻の歴史の中で、繰り広げられる物語を目撃す!

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さて、本作を監督したのはポール・サツルマンという方だが、彼はウン10年前に、北インドを旅していた時に、ビートルズのメンバーと時間を共にしたという、何とも羨ましい経験をしている。

彼は失恋で傷付き、その時の傷を癒すために傷心旅行のために、インドに訪れたという。

なんとも、おセンチな話の流れではあるものの、その行動がビートルズと出会い、本作まで作ってしまう原点なのだから、人の行動とは分からないものだ。

サツルマン監督は、あるインタビューで「なぜ、もっと早く映画を製作しなかったのか?」と聞かれ、こう話している。

とても的確で、どストレートで、本質を突いた質問だ。

(※1)“So I pitched an article to the Canadian magazine Maclean in 1968. They wanted to use the pictures and I wanted to also talk about the meditation. It was a cover story. Then I decided I didn’t want to do anything more with the pictures and put them away and literally forgot about them for 30 years.”

「私は帰国後、1968年にカナダの雑誌マクリーンに記事を売り込みました。彼らは、写真を使いたがり、私も瞑想について話したかったのです。でも、いい話にはならなかったんです。私はもう、写真をどうこう何もしたくないと決心し、思い出として引き出しの奥に片付けました。文字通り、もう30年もの間、写真の事、ビートルズと出会った事を忘れていました。」

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ビートルズと出会い、八日間を共に過ごしたサツルマン監督は、彼らとの思い出を「金銭」や「大人の事情」で、汚したくなかったのだろう。

だから、ウン十年という長い年月、彼はこの出来事に対し、心に鍵をかけ、封印してきたという。

知られるざるビートルズの足跡は、過去にも何度も掘り起こされ、発見されてはきているが、それでもまだ、謎のヴェールに包まれた事も多い。

その真実が、世に出ることは無く、音楽史の闇に葬り去られる背景には、金に塗れた大人たちの大いなる罪も存在する事を忘れてはならない。

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本作は、20世紀を代表する稀代の大型ロック・バンド、ビートルズの知られざる姿に迫ったドキュメンタリーだが、これはビートルズだけに留まる話ではない。

世界を代表するロックバンドは、ビートルズ以外にも、たくさん存在する。

ザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、キンクス、ビージーズ、エアロスミス、ヤードバーズ、クリーム、クイーン、デュラン・デュラン、デッド・オア・アライブ、ダイアー・ストレイツなど、挙げれば枚挙に遑がないほど、世界的ロックバンドが存在するが、彼ら個々のバンドの背景を掘り下げれば、恐らく感動的な無数のドラマがある。

映画史同様に、音楽史もまた、まだまだ語られていない歴史の事実があることを、覚えておきたい。

また、出尽くした可能性もあるが、このビートルズ伝説は、まだほんの一部だ。

レジェンド級の彼らの存在は、映画一本では語り尽くせない物語がある。

ビートルズの伝説は、実は今、「はじまり」を迎えただけ、かもしれない。

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ドキュメンタリー映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』は現在、9月23日(金)より大阪府のシネ・リーブル梅田ユナイテッド・シネマ枚方シネマート心斎橋。京都府の京都シネマにて、公開中。また、10月14日(金)より兵庫県のシネ・リーブル神戸にて、上映開始。全国の劇場にて、絶賛公開中。

(※1)Fifty years after shooting The Beatles in India, Paul Saltzman is out with a film on the encounterhttps://scroll.in/reel/973624/fifty-years-after-shooting-the-beatles-in-india-paul-saltzman-is-out-with-a-film-on-the-encounter(2022年9月24日)