映画『西成ゴローの四億円・西成ゴローの四億円 -死闘篇-』上西雄大監督、木下ほうかさん、加藤雅也さんインタビュー
—–本作『西成ゴローの四億円』は、一人の少女を何とかして救おうとすとする姿とチャップリンの名作『街の灯』に似ているなと思いまして、本作の着想はどのように生まれましたか?
上西監督:映画『ひとくず』同様に、家族の絆はどの作品にも必要不可欠な物語の核の部分なんです。
もちろん、ゴローは娘のために人を殺そうが、目玉売ろうが、腎臓売ろうが、女の子の命さえ助かればという親が子を思う感情は、皆さんお持ちだと思います。
まずは、このテーマが作品の核となる部分なんです。タイトルが『西成ゴロー』ですよね。
「西成」という場所は、関西の方にとっては耳馴染みの地名だと思います。
その「西成」という場所には救いたい方がたくさんいて、そこには「西成」のヒーローがいるんです。
—–加藤雅也さんは、おそらく上西監督作品へのご出演は初めてだと思いますが、木下さんとも初めてご一緒されたのでしょうか?
加藤さん:木下さんとは、別作品でもご一緒でしたね。
木下さん:映画『HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY』で一緒だったね。共演までは、してなかったですね。
加藤さん:絡んでなかったですね。
木下さん:絡んでなかったら、何もしてないと一緒です。
加藤さん:もっと一緒に出演していると思ってましたが…。
木下さん:どこかの現場で必ず合うんですよね。だけど、一緒にお芝居したのは初めてかな。
加藤さん:今までなかったんですね。
—-お芝居をご一緒してみて、何か感じることはありましたか?
加藤さん:普段からほうかさんが出演していらっしゃる作品を観ているから、違和感なく演じれましたね。
同じ関西だからなのか、ほうかさんとは笑いのタイミングも同じで、「あ・うん」の呼吸でスムーズにできたと思います。
逆に、関東の方とご一緒すると、このお芝居はまた違った味になるのかなと思います。
—–関西だからこそ、出せたということですね。木下さんは、反対に上西監督の作品に何本かご出演されておりますが、監督に対する「想い」は、ございますか?
木下さん:撮ったものは過去のものですから、別に終わったことはどうしようもない。
そんなこと言うと『ひとくず』でさえ、やり直したいという気持ちはありますね。
もうひとつ、本作『西成ゴロー』だって、ひとつやふたつ、やり直したい場面はありますから、それよりも興味があるのは「これから」ですよね。
次回、私たちが組む時に、どんな事が起きるのか、私たちの「今後」にとても興味があることですね。
演出家として参加させたいと思わせれる技量があるかですよね。
今後が、楽しみでもあります。
—–前作の『ねばぎば新世界』では大阪の新世界が舞台ではありましたが、今回は「西成」に舞台を移した意図は、なんでしょうか?
上西監督:別に、あの近辺に拘っているわけではなくて、『ねばぎば新世界』の「新世界」と『西成ゴローの四億円』の「西成」は、少し意味が違います。
前作の「新世界」は、あそこにある実在する「新世界」をモチーフにしている反面、本作『西成ゴローの四億円』の「西成」は、『バットマン』の「ゴッサムシティ」のような意味合いです。
本当の「西成」を描こうとしているのではなく、フィクションとしえて描いております。
ただ、「西成」というキーワードは、関西人にとってイメージがあると思います。
その土地に住んでいる人を描いて、「西成」に住んでいるヒーローという観点で「西成」を舞台にしています。
だから、捕まって目ん玉抜かれてなんてこと、普通はないと思います。
あんなにも殺し屋がうじゃうじゃ出てくるわけないじゃないですか。
だから、僕がイメージする『西成ゴローの四億円』の「西成」は、バットマンのゴッサムシティなんです。
加藤さん:あの街には、何かあるから、面白く、興味が惹かれます。
やっぱり、面白い街やと思いますね。実際に何かが、起きる街やと思います。
上西監督:実際に、西成の街中で撮影しておりますからね。
あいりんセンターはセットで作れないわけで、その場所に実在している建物を使用しました。
色んな物をキーワードにしておりますが、今話したようなイメージで作品を作りました。
—–加藤さんは、過去に映画『王手』という作品で「大阪」を舞台にした作品にご出演されていたと思いますが、今回30年振りに「大阪」を舞台にした作品にご出演されたお気持ちは、いかがでしょうか?
加藤さん:大阪を舞台にした映画には長年出演していなかったので、この作品に出演できて嬉しいですね。
僕としては、もっと関西発信の映画やドラマに出演できればと思っていますし、やりたいと思っています。
もっと呼んで欲しいという気持ちもありますが、外国に行っていた事もあり、関西出身というイメージがないのかも知れないですね。
30年振りに関西の作品に出演できたことは感慨深いものがあります。
加藤さん:以前、関西制作の朝ドラにも出演させていただきましたが、関西を舞台にした作品は、そこに流れているリズムが違うんですよね。
—–関西を舞台にした映画作品にご出演されたいということですね。
加藤さん:そうですね。今後も関西を舞台にした作品にはたくさん出演したいですね。
映画『ひとくず』もそうですが、韓国映画で『息もできない』という作品がありますよね。
釜山出身の監督が、釜山で映画を撮影したというあの空気感は、とても面白いなという強烈な力を感じましたね。
東京と比べて、どっちがいいとかではなくて、こういう感じの作品を作ることに意義があるのだと思います。今後も、関西のリズムがある作品がもっと生まれて欲しいですね。
—–関西発信の作品ですね。
加藤さん:そうですね。関西発信の作品が制作され、また出演できればと思います。
—–木下さんは、大阪ご出身ですが、大阪に対する何か愛情は、ございますか?
木下さん:大阪出身、関西出身であるがために、とても得をしたことはありますね。
上京して、標準語の次に多い言葉を話す演劇は、関西弁が多いんです。
だから、得をしたんですよね。自分は、つくづく関西人で良かったなと思いますね。
ずっと、そういう気持ちを持っておりました。
テレビを観ていると、半分以上、関西弁が聞こえてくると思います。
加藤さん:今は多いですね。昔は、テレビで関西弁を出すことが、よく思われないことも多かったです。
木下さん:多分、嫌いな方もおられたと思います。そういう面で考えても、とても得して来たほうかなと思います。本
当は、何回も良かったなと思う場面がありました。それがなかったら、気持ちは半分以下やね。
加藤さん:東京都と並行して、もっと関西でも映画が作れたらと思いますね。
—–最後に、上西監督から本作の魅力を教えて頂けないでしょうか?
上西監督:映画『西成ゴローの四億円』は、「西成」に住むヒーローを関西人だと思って描いております。
西成ゴローは、本当に強くて一発も攻撃を受けない存在です。
彼を囲む実力派揃いの役者さんにも出演して頂き、本当にスケールの大きい作品に仕上がったと思います。
ぜひ、劇場で観て頂ければと思います。
映画『西成ゴローの四億円』は、1月29日(土)より、1月29日(土)より大阪先行上映。2月12日(土)より新宿K’sシネマほか全国順次ロードショー。また『西成ゴローの四億円 -死闘篇-』2月5日(土)より大阪先行上映。2月19日(土)より新宿K’sシネマほか全国順次ロードショー。