映画『ドライビング・バニー』一生揺らがらない親としての愛情

映画『ドライビング・バニー』一生揺らがらない親としての愛情

2022年10月1日

女性たちが生きる上で必要な正義を描いた映画『ドライビング・バニー』

© 2020 Bunny Productions Ltd

© 2020 Bunny Productions Ltd

『The Justice of Bunny King』とは、本作の原題だ。

「Justice」には、一体どのような意味が、あるのか?

「正義、公正、公平」などが、意味としてある。

では、その「正義」とは一体、何だろうか?

辞書で「正義」の意味を引いてみると「正しい道理。人間行為の正しさ」と、書かれている。

この作品の「Justice」には、正しい行いをした人物を指し示しているよう。

果たして、この「正しい行い」とは、何を意味しているのか?

人それぞれ「正義」に対する、価値観には違いもあることだろう。

また、作中に登場する人物にとっての「正義」とは、如何ばかりのものだろうか?

自身に正直であることだろうか?または、自身の信念を貫くことなのか?

「正義」の定理は難しいが、自身が正しいと思う事柄に対して、真っ直ぐに向き合う姿勢を「正義」と呼んでもいいのかもしれない。

本作『ドライビング・バニー』は、ある事由が原因で妹夫婦の家に同居する40歳の女性バニーの人生が、物語の主軸だ。

幼い娘と面会するにも、監視つきの面会しかできない日々。

バニーは、娘の誕生日までに新居を構え、一緒に暮らすことを夢見て必死に働く女性だ。

© 2020 Bunny Productions Ltd

本作を監督したのは、ゲイソン・サバットというタイ出身の女性監督だ。

]ほとんど聞かない名前だろう。

本作が、長編映画のデビュー作だ。

ただ、彼女の経歴は長く、1998年のTVドラマ『Young Hercules』に(※1)フォーカス・プーラー(Focus Puller)として職に就いたのが、キャリアのスタートだ。

その後、この部門で技術を磨き、5年のブランク後、2009年に短編映画『Brave Donkey』にて、監督デビューしている。

また、2019年頃にTVドラマ『Fresh Eggs』や『The Gulf』にて、エピソード監督を務めている。

長編デビュー作が、日本で劇場公開されるのは、かなり幸運かもしれない。

サバット監督が任されていたフォーカス・プーラー、または第1補助カメラとは、撮影されている被写体や動作が何であれ、画像のシャープネスを維持することを主な目的とする、カメラ部門における大切な部署だ。

サバット監督は、1998年の現場デビューから2004年の6年間、活躍していた。

フォーカス・プーラーという言葉は、日本では全く聞き慣れない部門だが、海外では重要なポジションとして扱われている。

そんな彼女は、難しい社会問題を取り扱う本作の製作にあたり、どのような取材を行ったかと聞かれ

(※2)Thavat:“A lot of it comes from just my own lived experience and that,  you know, growing up a lot of my friends had single moms, my mom was a single mom for a long time. So it really just comes from knowing and watching and observing real life, you know, to be honest. In terms of researching the social services, I talked to people who worked within them, just to talk about, find out more about what their systems are and what kind of state that people come in.  What their behaviors are when they come and what their systems are so we can sort of try and hit that as accurately as possible. The thing is, you know, there are a women like Bunny everywhere.”

サバット「その多くは、私自身の生きた経験から来ています。育ってきた多くの友人にはシングルマザーがいて、私の母は長い間シングルマザーでした。ですから、正直に言うと、それは実際の生活を知り、見て、観察することから来ています。社会サービスの研究に関して、私は彼らの中で働いている人々と話をして、彼らのシステムが何であるか、そして人々がどのような状態で来るのかについてもっと知りたいと思いました。システムは、可能な限り正確にそれを試してヒットできるようにするためのものです。問題は、どこにでもバニーのような女性がいるということです。」と、監督は自身の実体験を参考に、本作を作り上げたと話す。

© 2020 Bunny Productions Ltd

最後に、本作『ドライビング・バニー』が取り上げる題材は、万国共通の親権問題だ。

愛する我が子と一緒に暮らしたくても、暮らせない親は山ほどいる。

子どもと引き離される原因は、恐らく親本人に問題があるのかもしれないが、それでも強制的に引き離し、厳しい立ち会いの元、制限された面会に何の意味があるのか?

果たして、ここに人権は存在するのか?

親権問題は、日本でも起きている。

本作では、母親が子どもから引き離され、親権を奪われた設定となっているため、今回は(※3)父親が勝訴した事例を調べてみた。

親権を決めるポイントは5つあり、①離婚前に誰が子どもの監護を行っていたか。②子ども自身の意志。③子どもが幼い場合は原則、母親が監護者として適当である。④小さな子どもは、できるかぎり兄弟一緒が良い。⑤子どもの利益。が、裁判で最優先される。

複雑な家庭環境が、歪んだ調停離婚へと発展させている。

また、ニュージーランドの親権問題は、如何ばかりだろうか?

(※4)在オークランド日本国総領事館は、親権問題や児童虐待、ハーグ条約について真剣に取り組んでいる。

海外が絡んだ親権争いでは、2014年に国際的に可決されたハーグ条約についても知識として習得しておきたい。

親権問題において、どこの国でも共通するのは恐らく、親から子への愛だ。

子どもへの愛情が、親の行動に対して因果関係をもたらしている。

この映画におけるバニー・キングの「正義」とは、一生揺らがらない親としての愛情そのものなのだ。

© 2020 Bunny Productions Ltd

映画『ドライビング・バニー』は現在、関西では9月30日(金)より大阪府のシネ・リーブル梅田、京都府のアップリンク京都にて上映中。また、10月7日(金)より兵庫県のシネ・リーブル神戸にて、上映開始。全国の劇場は、順次公開予定。

(※1)What is a Focus Puller — Job Description and Duties Explainedhttps://www.studiobinder.com/blog/what-is-a-focus-puller-job-description/(2022年10月1年)

(※2)Tribeca 2021: Interview with Gaysorn Thavat, Director of THE JUSTICE OF BUNNY KINGhttps://www.filmchisme.com/2021/08/16/tribeca-2021-interview-with-gaysorn-thavatt-director-of-the-justice-of-bunny-king/(2022年10月1年)

(※3)離婚調停と親権問題、父親が勝訴した事例を5つ紹介!https://www.riconhiroba.com/children/divorce-mediation-custody-fathers-case.html(2022年10月1年)

(※4)在オークランド日本国総領事館:家庭問題(家庭内暴力・児童虐待・子の親権とハーグ条約https://www.auckland.nz.emb-japan.go.jp/itpr_ja/anzen_kateimondai.html(2022年10月1年)