「受け止めようと思った」7月20日(土)、大阪府のシアターセブンにて行われた映画『エス』の舞台挨拶レポート

「受け止めようと思った」7月20日(土)、大阪府のシアターセブンにて行われた映画『エス』の舞台挨拶レポート

2024年7月24日

©Tiroir du Kinéma


©2023 上原商店

現在、大阪府のシアターセブンにて上映されている映画『エス』の舞台挨拶が、7月20日(土)に行われた。映画『エス』のあらすじは、若手映画監督の染田真一が逮捕された。染田の大学時代の演劇仲間たちは、嘆願書を書く目的で集まり、久しぶりの再会を果たす。染田の新作に主役として出演するはずだった崖っぷち俳優の高野、「染田との絆が最も深い」と自称する先輩の鈴村、そして染田への思いをこじらせた挙句に別の男性と結婚した千穂。それぞれが染田の力になってやりたいという思いを抱き、集まったはずだったが……。太田監督は2011年に不正アクセス禁止違反容疑などで逮捕され、30日余りを留置所で過ごした経験を持つ。2015年に自らの犯した罪をモチーフにした短編「園田を元気づけてやろう的な」を発表。2016年には同作を長編化した「園田という種目」がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭長編コンペティション部門に出品され、福井映画祭長編部門でグランプリを受賞している。今作でも自らの経験から着想した物語を描いた。

映画『エス』は、7月20日(土)より大阪府のシアターセブンにて一週間限定上映中。7月20日(土)の上映後には、映画『エス』の舞台挨拶が行われた。この日は、本作を制作した太田真博監督と出演の松下倖子さんが、登壇された。

太田監督はまず、本作『エス』の制作経緯について口火を切った。「まず、13年前。気持ち悪い犯罪を犯しまして、捕まってしまいました。その時の経験を自分で映画館しようと考えたんです。映画化する事自体が許されるのか迷った時期もありましたが、映画を作った今、一人でも多くの方に観て頂きたいと思います。」と話をされた。

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出演の松下さんは前科者でもある太田監督と共に映画を制作する立場について話しを聞かれ、「太田さんと一緒に作品作りをして行こうとなったのが、今から12年前の事なんです。その時には、一緒にやって行く事に対して葛藤もあり、考えました。私が、太田監督と活動する事によって、嫌な思いをされる方も当然いらっしゃる中、一度罪を犯した方と一緒に活動する覚悟があるのか、自身に対して考えた時期もありました。その時に、それでも私は太田さんの作品は好きですし、また自身が罪を犯した後に、事実を受け止めて、周りの人に恩返しをして行きたいから作品を作り続けたいという話もお聞きしていました。実際、その想いが行動にも現れていましたので、私は一緒にやって行きたいと思って、色んな事が起きるかもしれませんが、それは受け止めようと思ったのが12年前の事でした。」と、監督の前科餅に対する葛藤や自論、想いを熱く話された。

映画『エス』は現在、関西にて7月20日(土)より大阪府のシアターセブンにて、上映開始。23日(火)、25日(木)を除いて、連日舞台挨拶が行われる予定。