「「障害」を売りにする映画にしたくない」12月2日(土)、大阪府の扇町キネマにて行われた映画『シンデレラガール』の舞台挨拶レポート

「「障害」を売りにする映画にしたくない」12月2日(土)、大阪府の扇町キネマにて行われた映画『シンデレラガール』の舞台挨拶レポート

©Tiroir du Kinéma

©2023映画「シンデレラガール」製作委員会

現在、大阪府の扇町キネマで上映されている映画『シンデレラガール』の舞台挨拶が、12月2日(土)に行われた。映画『シンデレラガール』のあらすじは、12歳の時に病気で片脚を切断し、入退院を繰り返していた音羽は、中学校の卒業式に参加できなかったが、クラスメイトたちが病院の屋上でサプライズの卒業式を開いてくれた。その様子を映した動画がSNSで話題になり、音羽にモデルのオファーが舞い込む。義足の女子高生モデルという特異性で一時的に注目されるも、その後の仕事は義足を隠したものばかり。しかしある時、「義足を障がいの象徴でなく、個性として捉えてほしい」という声に心を動かされた音羽は、もっと義足を前面に押し出していこうと決める。そんな彼女に、ファッションショー出演のチャンスが舞い込む。主人公の音羽役で「推しが武道館いってくれたら死ぬ」の伊礼姫奈が主演を務め、音羽の人生に大きな影響を与えるファッションデザイナーの五十嵐を筒井真理子が演じた。進行性筋ジストロフィー(PMD)と診断されたモデルの森山風歩が監修・プロデューサーを務めている。「子宮に沈める」「飢えたライオン」などで社会の歪みを真正面から描いてきた緒方貴臣監督が、片脚を失くした主人公が義足のファッションモデルとして生きるなかで訪れる心境の変化を描いた人間ドラマに仕上がっている。映画『シンデレラガール』は、12月1日(金)より大阪府の扇町キネマ、京都府のアップリンク京都。12月2日(土)より兵庫県の元町映画館にて絶賛上映中。

©Tiroir du Kinéma

12月2日(土)の上映後、映画『シンデレラガール』の舞台挨拶が行われた。この日は、本作を制作した緒方貴臣監督と主演の音羽役・伊礼姫奈さんのお2人が、舞台挨拶で登壇された。緒方監督は、映画『シンデレラガール』の制作の話をされた。「この映画を制作するきっかけからお話したいと思います。もう10年くらい前になります。SNSで偶然見つけた1枚の写真が、この映画を作ろうと思った最初です。その写真には、外国人の女性が義足を付けて、外を歩いている姿が写っていました。その姿を人目見た瞬間に、「かっここいな」と思ったんですが、同時に僕の中で義足がオシャレとは縁遠いものと認識しており、かっこいいものと思うはずがないと、心の中にあったんだと思います。僕自身のその考え方に気付いて、色々調べる中で、外国での義足という存在が、オシャレとして一つのアイテムになっている事に気付かされた一方、日本ではまだ、隠すものであるという認識が高い社会風潮にある事にも気付かされて、本作を制作しました。」と、作品の制作経緯を話した。

また、主演の伊礼さんは、どんな表情を作って演じたのか話された。「台本がどのように書かれたのか教えて頂きましたが、お芝居に関しては、直接的な指導はなく、割と私に任せて頂いていた印象を受けました。」と、監督の演出が入らず、自身の演技で表現した、と話した。

最後に、緒方監督が、本作『シンデレラガール』に際して、一言付け足した。「劇場や宣伝側からは、「障害」をもっと分かりやすいようにした方がいいのではないかと言う案もありましたが、僕自身は「障害」を売りにする映画にしたくないという想いから、ポスターはこのデザインにしました。」と、本作をどう捉えれば良いか話した。

映画『シンデレラガール』は現在、関西では12月1日(金)より大阪府の扇町キネマ、京都府のアップリンク京都。12月2日(土)より兵庫県の元町映画館にて上映開始。また、映画『シンデレラガール』のオーデション風景裏側を撮影したドキュメンタリー『私が私である場所』も扇町キネマにて12月2日(土)より公開。