「命のサイクルを前にして」シアターセブンにて映画『yes,yes,yes』『pinto』『賑やか』の舞台挨拶レポート

「命のサイクルを前にして」シアターセブンにて映画『yes,yes,yes』『pinto』『賑やか』の舞台挨拶レポート

2022年8月1日
©Tiroir du Kinéma

7月30日(土)、大阪府にあるシアターセブンにて、映画『pinto』の舞台挨拶が、行われました。

この日は、監督の矢野瑛彦さんが、ご登壇されました。

©Tiroir du Kinéma

映画『pinto』のあらすじ

父と名乗る男が代わる代わる家に出入りする奔放な母と暮らす少女、由紀子。

息の詰まる生活を強いられて来た彼女は、家ではいつも孤立無援だった。

そんな由紀子を母親は「あんたの良いとこは我儘を言わないこと」と褒め立てる。

そんな彼女に微かな彩りを与えたのは、何番目かの義理の父だった。

フォトグラファーのその男が、由紀子にプレゼントしたのは、一台のカメラ。

レンズの向こうの色彩溢れる世界は、彼女の価値観に急速な変化を与える。

©Tiroir du Kinéma

この日、登壇された矢野瑛彦監督は、映画『pinto』の製作経緯を聞かれ

「本作『pinto』は、7年前に製作された作品となります。撮影するにあたり、男女40名から50名に「わがまま」をテーマに取材を致しました。そのテーマから導き出された「男性からされて嫌だった事」などの話をまとめて、シナリオに書き起こして行きました。その話から女性だけに留まらず、相手側の背景をつけた方が、作品としてのボリュームの見え方が変わるという事に気づきまして、女性と男性の話を二部構成として製作させて頂きました。」

と、話されておりました。

©Tiroir du Kinéma

また、同日別時間にて、映画『yes,yes,yes』『賑やか』の舞台挨拶も、行われました。

©Tiroir du Kinéma

映画『yes,yes,yes』のあらすじ

余命宣告を受けた母親。

彼女が入院する日、父親と姉は極力、明朗に取り繕うとしているが、主人公の少年は目の前の事実を認められずにいた。

やり切れない心緒を懐抱する彼は、病室から背を向けるように駆け出し、自身を害するように染髪し、閉鎖的になってしまう。

自己中心的な振る舞いしかできなくなってしまったひとつの家族の心が散逸になってしまう中、母親だけが家族の幸せを願い続けていた。

彼女の家族への深い情愛が、いつの日か、眇眇たる変動が起きていく。

映画『賑やか』のあらすじ

恋人の負債の用立てする羽目になり、債務を抱えた元コメディアンの優作は、ある男性が手にするバッグを強奪することを押し付けられる。

バックの奪取には上手く行くが、そのことが引き金に、華美な夜のイルミネーションと対峙するようにな、心が冷える無情な一夜が幕を開ける。

この日、登壇された矢野瑛彦監督は、今回、この作品が宮崎県でどうして撮影したのか聞かれ

「僕の地元、生まれ故郷が宮崎なんです。母親に対する想いが、とても強い作品でしたので、宮崎で製作しました。あと、観て頂けたら、お分かりになると思いますが、最後のドタバタ劇は他人の家ではできないと思い、自分の実家で撮影しました。親には頭を下げて、撮らせて頂きました。」

また、同時上映『賑やか』と映画『yes,yes,yes』の製作経緯を聞かれ、

「映画『yes,yes,yes』に関して言いますと、姪っ子が産まれました。その姪を抱く、僕の父と母の顔や手に皺があり、老いを感じたところから、両親の姿を見て、命のサイクルを見ているような感覚となりました。自身の中で感じた感情を映画にして、吐き出したいという想いで製作した作品が、『yes,yes,yes』でした。また、映画『賑やか』に関して言いますと、映画製作に行き詰まっていた時期でした。その時、自分がすごくネガティブな状態でした。ネガティブになってしまうと、他人のマイナス面を拾ってしまう事もあり、周りの人達のネガティブが、世の中に対しての理不尽さだと感じました。その理不尽さに、僕の葛藤をぶつけて、製作した作品が、『賑やか』となります。」

と、お話されました。

同時上映『yes,yes,yes』『pinto』『賑やか』は、7月29日(金)より大阪府のシアターセブン、京都府の出町座にて、一週間限定で上映中。