驚異のリアル”SNS”ストーリーを描いた映画『Zola ゾラ』
デジタルネイティブ世代、Z世代と呼ばれる今の世は、SNS戦国時代だ。五大SNSと称されるFacebook、Twitter、Instagram、LINE、YouTubeなど、多くのソーシャルネットワーキングサービスが、誕生した。
またSNSには、様々な問題を抱えつつも、独自の進化を遂げ、自分たちの生活に欠かせない生活必需品として馴染んでいる昨今。
SNSは、現実の世界と見間違うほどの性能を持っている。
さらに、生活をする上で、とても便利なツールでもある。
災害時による緊急速報の即時性、一般市民たちの情報交換の場、著名人と近い関係になれるのも、SNSの魅力のひとつだ。
近頃、(※1)SNSを活用した心温まるニュースが飛び込んできた(「お礼届いて欲しい!」3歳息子にクッションをくれた方をSNSで捜索→5万リツイートで奇跡が起こった)。
しかし、その反面、危険を孕んでいるのも、事実でもある。
昨今では、ネットいじめやSNSによる誹謗中傷が原因で逮捕者や自殺者が生まれている。
近年では、(※2)町田小6女児自殺事件。
記憶に新しいのは(※3)SNSを通して誹謗中傷を受けていた女子プロレスラーの木村花さんの死や(※4)池袋暴走事故の遺族に対する誹謗中傷など、SNSが原因の事件は後を絶たない。
その上、今後も増えてくる事案なのは、目に見えている。ソーシャルネットワーキングサービスは、使い方ひとつで、いい使い方にも、悪い使い方にも、どちらにも成りうる要素を持った現代社会を代表する人と人とを繋ぐ存在だ。
自分たちの生活におけるSNSの立ち位置は、非常にウェイトを占めていると言って良いのかも知れない。
そんなソーシャルネットワーキングサービス(SNS)から生まれた映画がある。
それが、本作『Zola ゾラ』だ。
あるTwitterアカウントを所有する女性の148のつぶやき(Tweet)が、作品の着想となった本作。
まさか、物語の基となるはずのシナリオが、SNSが最初という事に驚きを隠せない。
最早、Facebookから生まれたソーシャルネットワーキングサービスが、自分たちの生活だけでなく、映画にまで影響を与える存在になりつつあることを、本作が証明している。
誰もが思い付かなかったであろうTwitterの使用目的の領域を広げた本作『Zola ゾラ』は、これから生まれてくる類似作品の先駆的存在、パイオニアになることは、間違いない。
今後、益々、この手のジャンル作品は、製作される事だろう。
例えば、Twitterに限らず、InstagramのアカウントやLINEのやり取りが基の作品が、誕生するかも知れない。
あなた方は、その最初の作品の「目撃者」になることを心に留めて欲しい。
さて、本作『Zola ゾラ』を配給した海外の会社は、日本でも近頃、名前を頻繁によく聞くようになった配給会社「A24」だ。
巷では、「「A24」作品はハズレがない。」「クオリティの高い作品をいつも配給してくれる。」と誉高き言葉達が、映画ファン達の間で往来しているが、この配給会社「A24」の全貌を知っているのだろうか?
この「A24」が誕生したのは、遡ることおよそ10年前の2012年8月20日の事だ。
配給会社A24は、アメリカ合衆国のインディペンデント系エンターテインメント企業を代表する新時代の会社だ。
拠点は、主にニューヨークで活動している。
創業者は、Daniel Katz、David Fenkel、John Hodgesの御三方。
Daniel Katzを会長に、David FenkelがCEOだ。
彼らが合同で会社を設立する以前は、Daniel Katzは、(※5)グッゲンハイム・パートナーズ(投資銀行業務、資産管理、資本市場サービス、保険サービスに従事するグローバルな投資およびアドバイザリー金融サービス会社)でフィルム・ファイナンス・グループを率いていた。
David Fenkelは(※6)オシロスコープ(アメリカの配給会社。主にドキュメンタリー映画を配給しており、日本国内も何本か輸入され、紹介されている)の社長兼共同設立者兼パートナーの役職に就いていた。
John Hodgesは(※7)ビッグ・ビーチ(アメリカの配給会社。多くの著名な作品を世に送り出している)で制作および開発責任者の地位に居たという。
この三人が集まって創設されたのが、先にも述べたように、配給会社「A24」だ。彼らが一番最初に目を付け、配給したのが映画『チャールズ・スワン三世の頭ン中(2013)』という作品だ。
配給当時は、言うほど話題にもならなかった本作は、カルトテイストの匂う漂う作風。
映画『ジョン・マルコヴィッチの穴』に相当する奇想天外な物語だった。
この作品をきっかけに、同年には『ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界(2013)』『スプリング・ブレイカーズ(2013)』『ブリングリング(2013)』を配給。
翌年には、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『複製された男(2014)』や『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(2014)』『白い沈黙(2014)』など、良質と呼べる作品を数多く世に送り出している。
でも、同社が最も注目されたのは、他でもない2015年公開の映画『ルーム』と翌年2016年に封切られた映画『ムーンライト』だろう。
同社にとって、この2作品の功績は本当に大きいと言える。
アカデミー賞において、話題を攫ったと言うのも事実としてあるかも知れないが、それ以上に作品のクオリティがどちらも高いことが、映画のヒットへと大きく関係している。
この2つの作品に注目が集まり、高い評価を得たと同時に、「A24」は今の映画業界を代表する配給会社へと華麗なる成長を遂げた。
その後の勢いは、全映画ファンの知るところであるが、ショーン・ベイカー監督作品『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017)』、アリ・アスター監督作品『ヘレディタリー/継承(2018)』、トレイ・エドワード・シュルツ監督作品『WAVES/ウェイブス(2019)』など、アカデミー賞ノミネート作品から話題作を立て続けに配給する会社へと注目を浴びている。
他にも、賞にも話題にも無縁だが、作品として高品質なミニシアター向きのアート系映画も数多く配給している。
例えば、『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017)』『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017)』『レディ・バード(2017)』『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018)』『暁に祈れ(2018)』『Mid90s ミッドナインティーズ(2018)』『アンダー・ザ・シルバーレイク(2019)』『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(2019)』『フェアウェル(2019)』『SKIN/スキン(2019)』『ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019)』『ライトハウス(2019)』など、ここ10年の間に、数多くの映画を配給し、オスカー候補の作品を立て続けに輩出する配給会社の仲間入りを果たした。
今年2022年もまた豊作の年で、映画『X エックス』や『カモン カモン』が公開され、今後『LAMB/ラム』や『グリーン・ナイト』『アフター・ヤン』と言った作品達が、年末に向けて随時公開予定となっている。
今年もまだまだA24熱は冷めることは無さそうだ。
そんな最中、8月末に公開されたのが、本作『Zola ゾラ』だ。
映画『スプリング・ブレイカーズ』や『ブリングリング』『WAVES/ウェイブス』などを、足して2で割った作品に仕上がっている。
A24の会長ダニエル・カッツ氏は、同社について、こう語っている。
「才能のある人々が才能を発揮できる何かを作る大きなチャンスがあると感じました」
カッツ氏は、才能ある若手達の能力を十二分に発揮できる場所を提供しようと、A24のような配給会社を設立したのだろう。
この発言の通り、同社は若手が活躍できる場として大きな役割を担っている。
設立してから10年、気鋭の大型新人を次から次へと輩出して来た同社の勢いは、止まらない。
今年で創立10周年を迎えたA24の成長は、まだまだこれからだ。
今までの10年間は、ほんの序章に過ぎない。
今年北米地域では、映画『The Sky Is Everywhere』『Everything Everywhere All at Once』『Men』『Marcel the Shell with Shoes On』『Bodies Bodies Bodies』や『Funny Pages』と言った多くの作品が、製作公開されている。
日本国内には、どの作品が配給されるかは未定だが、まだまだA24旋風は、負け知らずだ。
余談ではあるが、ホラー/スリラー専門のジェイソン・ブラムが率いるブラムハウス・プロダクションズの存在を忘れてはならない。
配給会社ではなく、制作会社ではあるものの、A24同様に、ホラー映画を中心に良質な作品を発表し続けている同社の功績も、A24と匹敵するほどだろう。
少し余談も挟んでしまったが、ほん作を監督したのは、ジャニクサ・ブラヴォーという黒人女性監督だ。
あまり日本では、聞いたことのない名前だろう。
彼女の作品が、日本国内に配給されるのは、本作が初めてのことだ。
前作『Lemon(2017)』という作品が、2017年1月22日にサンダンス映画祭で世界初上映されている。
ジャニクサ・ブラヴォー監督にとって、この作品がディレクターとして初の長編映画となるコメディ作品だ。
日本での彼女の知名度は、本作のみとなり、新人監督かと疑いたくなるが、実際にジャニクサ・ブラヴォー監督について、色々調べてみると、とても興味深い作品を数多く製作している。
彼女の経歴は、およそ12年前の2011年まで遡ることができる。
まずジャニクサ監督は、2011年に短編『Eat』という作品を発表している。
実質、この短編映画が、彼女にとっての監督デビュー作だ。
内容は、隣人同士の男女のいざこざをスリリングに描いたスリラーだ。
要は、隣人トラブルをテーマにした作品だけに、少し後味が悪く感じる短編に仕上がっている。
他に、『 Gregory Go Boom(2013)』や『Pauline Alone(2014)』『Hard World for Small Things(2016)』『Woman in Deep(2016)』や、TVシリーズの1エピソードも監督したりと、本作が国内で配給されるまでに、数多くの短編を製作している事を知っても損はないだろう。
個人的に、特に気になったのは短編『Hard World for Small Things(2016)』という作品。
10分弱の再生時間だが、まるで本作に登場する人物達のように、この短編でも数名の白人、黒人の若い男女が、車を走らせている姿を捉えたちょっとしたロードムービーとして観る事ができる。
まさに、本作『Zola ゾラ』の片鱗を思わせるような人物や物語設定が、短編『Hard World for Small Things』で確認することができる。
その上さらに、ここで取り上げたのは、もうひとつ理由がある。
それは、短編『Hard World for Small Things』は360°見渡す事ができる360°VRカメラで撮影している点だ。
昨今、ドルビーデジタル、IMAX、4DXと叫ばれる時代に、360°VRで撮影した映画は見たことがない。
まさに、映像革命に近い。
ドローンで撮影した映像は、近年頻繁に見かけるが、360°VRで製作した映画は、長編でも、短編でも、まだ観たことがない。
とても画期的で、先駆的だ。
ジャニクサ・ブラヴォー監督は陰ながら人知れず、革新的な映画を製作している事を知って頂ければと。
気になれば、ぜひ短編『Hard World for Small Things』を鑑賞して欲しい。
ただし、酔うことはここで保証する。
また、ジャニクサ・ブラヴォー監督はインタビューにて、本作の製作の初期段階における148のツイートに、どう興味を持ったのか質問されて
「(Twitterの)テキスト内の黒人のガールフレンドのグループが、最初に送ってくれました。2015年のTwitterでツイートされたこの瞬間に至るまで、警察官の手によって、非武装の黒人が亡くなる事件が、数多くありました。彼女のつぶやきは、ある種の集団療法として始まってます。これらのツイートは、孤立感、不満、共同体の場所を指します。」
本作『Zola ゾラ』が持つ作品の深層心理には、アメリカ社会が抱える闇の部分だ。
例えば、白人と黒人の社会構造(根強い黒人差別)、一般の黒人に対する武装した警官の暴力、そして米国社会で生きるアメリカ国民の孤立感、死生観、コミュニティの乏しさを浮き彫りにした作品として捉えることもできる。
また、本作の物語に触れた時、どのように感じたのかインタビューで聞かれたジャニクサ・ブラヴォー監督は、こう答えている。
「2015年10月、私はアリソン・ピルと一緒に短編映画『Woman in Deep』に取り組んでいました。電話には 100 件以上のツイートがつぶやかれ、ただただ忙しかったので、1 日の終わりには、当時のパートナーの俳優ブレット・ゲルマンと一緒にベッドにいて、めまいを起こしながら、148のツイートを読んでいました。彼は、何が起こっているのか聞いてきました。ストーリーを読み終える前、おそらく物語の4分の3を読み終わる辺りで、私は瞬時にひらめきました。私はただ「これを作らなければならない」と感じました。午前3時か4時にエージェントとマネージャーに転送し、TwitterのIPがどのように機能するかを聞きました。」
更に、出演者にはどんな作品を見るように指示を出したのか?また、16mmフィルムを選ぶ美的感覚を聞かれた監督は、こう答えている。
「“Coffy”“Natural Born Killers”“Showgirls”“The Killing of a Chinese Bookie”“Paris Is Burning.”そして、ある意味で、『オズの魔法使い』は私にとって参考になった作品でした。映画でのテイラー・ペイジのメインコスチュームは、ドロシーへのオマージュです。彼女はギンガムチェックの衣装を着ています。彼女は娼婦の旅の道中、決して友達になることはない3人に出会います。」
「この国際的な舞台で、本物のゾラを見たい。彼女の足元に花を咲かせたいと思い、フィルムで撮影することを提唱しました。16mmで撮影される事は、一定の重力を与えます。16mmでの撮影は、映画を具体的なモノにします。使い捨てではありません! 」
言われてみないと少し分かりにくいが、本作は実は16mmで撮影されているので、作品鑑賞時はフィルムのザラザラ感を目で感じながら、鑑賞するのもいいかもしれない。
また、作中には数多くの過去の作品へのオマージュが詰まっている事を念頭に起きながら、作品を鑑賞したい。
ブラック・プロイーテーションとして製作された映画『コフィー』を始め、タランティーノの『ナチュラル・ボーン・キラーズ』や『ショーガール』『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』。
ドキュメンタリー映画『パリ、夜は眠らない』。
そして、映画史に燦然と輝く名作『オズの魔法使』を土台にしていると、監督は話す。
女性たちの犯罪ロードムービーで言えば、90年代にヒットを飛ばしたクライム映画『テルマ&ルイーズ』をも彷彿させるが、これらジャニクサ・ブラヴォー監督が挙げた作品群を同時に鑑賞することで、本作『Zola ゾラ』を、より一層楽しめるのではないかと思う。
更に、本作で注目したいのは、主人公の白人と黒人の女性を演じた若手女優だ。
題名にもなっているゾラ(本名:アザイア・“ゾラ”・キング)に扮したテイラー・ペイジと、白人女性ステファニを演じたライリー・キーオらは、これからのアメリカの映画業界を背負って立つ女優たちだ。
テイラー・ペイジは、日本ではビオラ・デイビス主演のNetflixオリジナル映画『マ・レイニーのブラックボトム』に出演している。
国内での情報はこれだけだが、アメリカでは既に、2008年頃からキャリアをスタートさせている。
最初期の作品は、映画『ハイスクールミュージカル/ザ・ムービー』の作中で流れるミュージカルシーン「I Want It All」のダンサーとしてクレジットされている(動画を観た限りでは、少し(だいぶ)分かりにくい)。
以降は、短編作品『Alex in Wonderland: Rehearsing Wonderland(2010)』『Alex in Wonderland: Interview with Debbie Allen(2011)』『Mousetrap(2011)』『Touched(2015)』と言った作品に出演している。
テイラー・ペイジにとって、転機となったのは、2016年のSXSW映画祭にて上映された映画『Jean Of The Joneses(ジョーンズ家のジャン)』で題名のジーン・ジョーズ役を演じた事だ。
余談だが、この作品にはジーンの叔母役として女優グロリア・ルーベンも出演している事もまた、注目のひとつだ。
また、2018年に全米公開された映画『ホワイト・ボーイ・リック』では、端役ながら出演を果たしている(日本では、劇場公開にならず、DVDスルーされた作品)。
共演には、マシュー・マコノヒー、ジェニファー・ジェイソン・リー、ブルース・ダーン、パイパー・ローリーなど、錚々たるメンバーが揃った作品に出演経験がある。
この作品辺りから、テイラー・ペイジは着実にスターへの道を歩み始めている。
本作『Zola ゾラ』や『マ・レイニーのブラックボトム』の他に、近年は映画『Boogie(2021)』というタイトルのスポーツ映画や12分の短編『Another Country(2022)』という作品に出演している。
今年2022年には、コメディ映画『Sharp Stick』でジェニファー・ジェイソン・リーと共演。
映画『Mack & Rita』ではダイアン・キートンと。
北米公開が控えている映画『The Toxic Avenger』では、ジェイコブ・トレンブレイ、ケビン・ベーコン、イライジャ・ウッドらと。
そして、なんと、映画『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズの最新作『ビバリーヒルズ・コップ:アクセル・フォーリー』に出演が決まっており、現在撮影中。
古株のジェリー・ブラッカイマーやエディ・マーフィーをはじめ、ジョセフ・ゴードン=レヴィットらと共演を果たしている。
テイラー・ペイジは、今最もホットな若手女優の一人だろう。
また、本作で共演しているステファニを演じたライリー・キーオは、2013年頃から着実にキャリアを積んできた若手実力派だ。
映画『ランナウェイズ(2010)』の脇役で女優デビューした彼女は、映画『グッド・ドクター 禁断のカルテ(2011)』『マジック・マイク(2012)』『マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)』『イット・カムズ・アット・ナイト(2017)』『ローガン・ラッキー(2017)』『ハウス・ジャック・ビルト(2018)』とここまでは、ハリウッド級の大作映画に出演しているが、どの作品も、残念ながら脇役止まり。
他の知名度のある俳優たちの影に隠れて、それほど話題にはなっていないか、注目されることがなかったと伺える。
もしかしたら、彼女の役者としての転機となったのは、映画『アンダー・ザ・シルバーレイク(2018)』以降になるかも知れない。
現在、Netflixで配信されているデンマーク映画のリメイク作品『THE GUILTY/ギルティ』では声の出演を。
また、今週末から国内公開が控えている映画『ビースト』に出演している。
ライリー・キーオは、映画『War Pony(2022)』で監督デビューも果たしている。
彼女はこの作品で第75回カンヌ国際映画祭にて、カメラドールを受賞している。
また、テイラー・ペイジもまた、本作『Zola ゾラ』での演技が認められ、第37回インディペンデント・スピリット賞にて、インディペンデント・スピリット賞最優秀主演女優賞を受賞している。
本作には、今ハリウッド最も人気が急上昇しそうな二人が主演として共演している点にも、注目が集まる。
テイラー・ペイジはインタビューにて、最初に渡された映画『Zola ゾラ』の脚本について、こう話している。
「もともと私は、2017年にシナリオを手に入れました。その脚本は、本当に人種差別的で性差別的だと感じました。私のエージェントは、演技のデモテープを作りなさいと言い続けました。それで、私はしぶしぶ、テープに自分自身の声を録音しました。でも、企画は一旦、立ち消えたんです。その後、映画『ハスラーズ』のオーディションを受けました。それはストリッパーと実話に関するものでした。映画『ゾラ』について、いくつか疑問に思うことがありました。でも実際は、新しい作家と監督がいることに気が付きました。再度新しく書かれた脚本を読みました。そして、私は「ああ、これは私が知っている集合的な黒人の声です」と思いました。黒人たちの声がすべて、シナリオにありました。だから私は再びテープに戻りました。そして本物のゾラに連絡しました。」
どのインタビューでも語っているが、テイラー・ペイジは初め、脚本が気に入らず、一度断ったという。
とても差別的な内容に、彼女はウンザリしたという。
少し期間が空いてから、再度企画の話を聞くと、監督と脚本家が総入れ替えしていたという。
それが、本作の監督ジャニクサ・ブラヴォーと劇作家ジェレミー・O・ハリスだったという。
その時に脚本を読み返すと、真の黒人の「声」がシナリオに反映されていたから、出演することに決めたという流れがある。
また、ストリッパーを演じるに辺り彼女は、
「私は実際にハリウッドのクレイジー・ガールズで4週間働きました。私は数人のストリッパーと親しくなり、最終的に私が何をしようとしているのかを彼らに話しました。しかし、私はそれをかなり控えめに話しました。」
テイラー・ペイジは、役作りのために、およそ4週間、ハリウッドにあるストリップ劇場で働いたらしい。
また、ライリー・キーオはストリッパーの役作りについて聞かれ彼女はこう答えている。
「ストリップクラブで働くダンサーを何度か演じたことがあります。私はポールダンスのレッスンを受け、その世界にいました。私は興味深い人生を送ってきました。たくさんの人にも会いました。ステファニーのような人にも会いました。この台本を手に入れた時、誰かが「アメリカン・ハニーでそれを演じたようなものだ」と言いました。「全然違う人だ!これらすべての女性を同じカテゴリーに入れています。」つまり、ステファニーを演じるにあたり、私は彼女が育った場所、育った環境、話し方のニュアンスについて考える必要がありました。アクセントに取り組み、ジャニツァに送りました。私は演じる事を正しくしたかったのです。」
と、ステファニーという女性を演じるにあたり、相当細部にまで気を付けて、演じていた事が伺える。
それに、テイラー・ペイジとの仲や絆について聞かれたライリー・キーオは
「テイラーと私はすぐに恋に落ちましたが、ステファニーやゾラのように有毒ではありません。 それは。自身の人生では滅多に起きない、美しい友情でした。映画『Zola ゾラ』の仕事は、とても素晴らしかったです。私は真面目な仕事をたくさんしてきましたが、人間としてはまだまだ愚かです。よりコミカルな方法で演じれるのは、本当に素晴らしいことでした。」
と、答えている。本作『Zola ゾラ』は、主演の二人、テイラー・ペイジとライリー・キーオの存在感があってこそ、作品が華やぐ。
本作の魅力は、彼女たちの役者としての存在感だろう。
少し長くなってしまったが、最後に本作『Zola ゾラ』は、あるTwitterのアカウントの148のツイートから始まった物語だ。
SNSを介して展開された話は、全米中を巻き込んで、映画化にまで発展した。
本作のあらすじが、ソーシャルネットワーキングサービスから誕生した事を、誰もが疑いたくなるだろう。
でも、これは真実だ。
今後、TwitterやInstagramと言ったSNSの勢力が、映画業界にも益々、台頭して来る時代が訪れるだろう。
今の現代社会において、SNSは必要不可欠な存在だ。
この便利なツールを駆使して表現されたのは、二人の白人黒人の少女の物語と人生だ。
彼女たちは、旅の道中で、娼婦として振る舞うが、この旅の終着点には何が待っているのか?
旅も人生も、SNSでは味わうことはできない。
リアルな世界で、生身の人間と、時間を共有することで、旅も人生もホンモノとなる。
本作『Zola ゾラ』は、彼女らの姿を通して、そう教えてくれているようだ。
映画『Zola ゾラ』は現在、関西では大阪府の大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、MOVIX八尾、京都府のMOVIX京都、兵庫県のkino cinema 神戸国際、MOVIXあまがさき、和歌山ではイオンシネマ和歌山にて、絶賛公開中。また、全国の劇場にて順次、公開予定。
(※1)「お礼届いて欲しい!」3歳息子にクッションをくれた方をSNSで捜索→5万リツイートで奇跡が起こったhttps://www.daily.co.jp/society/life/2022/09/06/0015614970.shtml(2022年9月6日)
(※2)【町田小6女児自殺】「ネットいじめ」から子どもをどう守ればいいのかhttps://www.fnn.jp/articles/-/238776?display=full(2022年8月29日)
(※3)「テラハ」木村花さん急死…SNS炎上からどう守る?https://www.tokyo-np.co.jp/article/31404(2022年8月29日)
(※4)議論進む侮辱罪の厳罰化・・・ 池袋事故の遺族 「誹謗中傷しない教育する社会を」SNSの “言葉の凶器”被害減らす活動https://www.tokai-tv.com/tokainews/feature/article_20220515_18454(2022年8月29日)
(※5)Guggenheim Partnershttps://www.guggenheimpartners.com/(2022年8月29日)
(※6)oscilloscopehttp://oscilloscope.net/films/(2022年8月29日)
(※7)Big Beachhttps://bigbeach.com/work/(2022年8月29日)
(※8)How A24 Became The Ultimate Film Culthttps://junkee.com/a24-ultimate-film-cult/324583(2022年9月2日)
(※9)Janicza Bravo on the Connections Between Zola and Blaxploitation Cinemahttps://www.wmagazine.com/culture/janicza-bravo-zola-interview(2022年9月4日)
(※10)Zola: Janicza Bravo on the Pleasure and Terror of Making the Stripper Sagahttps://www.vanityfair.com/hollywood/2021/06/zola-janicza-bravo-interview(2022年9月4日)
(※11)Taylour Paige on Connecting With the Real Zola, Training at a Strip Club and What Convinced Her to Do the Filmhttps://variety.com/2021/film/features/taylour-paige-zola-interview-strip-club-training-1234993248/(2022年9月5日)
(※12)Riley Keough Is an Outrageous Force of Nature in Zolahttps://www.vogue.com/article/riley-keough-zola-film-interview(2022年9月5日)