京都の街中を外国車が走り回る探偵カーアクション映画『京都カマロ探偵』吉田由一監督インタビュー
—–本作『京都カマロ探偵』は、監督自身が企画・原案としてクレジットされておられますが、この作品が立ち上がった経緯を教えて頂きますか?
吉田監督:元々、松田優作さんの『探偵物語』が子供の頃から大好きだったんで、探偵に憧れてました。
18歳になってすぐに免許を取りました。
その頃にヤンチャな先輩らが乗ってたのが、「カマロ」や「トランザム」などの「ドロロロロ」サウンド、V8大排気量エンジン、ガソリン垂れ流しのアメ車やったんです。
そして、アメリカのロックバンド「キッス」を初めて見て衝撃的受け、ロックに目覚めてバンドを組みました。そういう子供の頃の色んな想いが、この『京都カマロ探偵』なんです。
—–学生の頃の想いが、爆発されたんですね。
吉田監督:まだ、小爆発です。
—–これからですね。
吉田監督:子供の頃は、探偵になりたい!ロック・スターにもなりたい!色々妄想してましたね。
この『京都カマロ探偵』で、松田優作さんのベスパがカマロになって、スーツが革ジャンと星のTシャツになって。自分もギターを弾いて。
—–『探偵物語』にオマージュされていらっしゃるんですね。
吉田監督:そうですね。「オマージュ」って、いい言葉ですね。
探偵モノと云えば『探偵物語』と『京都カマロ探偵』くらいになりたいです!
—–ドラマは、コミカルな一面もありますが、すごくカッコイイですよね。観たくなりますね。あの『探偵物語』をオマージュされたのですね。
吉田監督:『ワイルド・スピード』にも影響を受けております。
—–負けてないのは、やはり。
吉田監督:制作費ですね(笑)
——監督作品『KYOTO BLACK』シリーズもですが、本作でも京都が舞台となっておられますが、監督にとって「京都」とは?
吉田監督:若い時は、東京や海外に憧れていました。他の土地に行って生活するようになって、京都の素晴らしさをあらためて実感しました。
京都は誰もが知る街で、憧れの場所、ブランドだと再認識し、それを圧倒的背景に関連している自分が、これを活かさん手はない!と強く思いました。
ちなみにわたくしは、東京を「東の京都」と呼んでおります。
こちらが本家本元と思い、映画に関しても「京都は日本のハリウッド」と公言しております。
—–昔は、日本映画の都と呼ばれておりましたよね。
吉田監督:大きな野望がありまして、ゆくゆくは京都に撮影スタジオをブッ立てて、新しい才能持った人達と、みんなに喜んでもらえる作品を量産したいと思っております。
—–作品内で車が滑走する場面や空撮での撮影も京都ですか?
吉田監督:そうです。ほぼすべて京都で撮影しており、某パークウェイを封鎖して撮影しております。
スタントも用意してましたが、実際に役者さんに運転してもらってます。
過去にNGのロケーションもありましたが、諦めずにトライし、認可してもらい撮影しました!
—–車の車種も多岐にわたりますが、何故メインをカマロにされたのでしょうか?
吉田監督:ワル感のあるアメ車に憧れがあって、今回カマロを使いました。
ノーマルのカマロをマットブラックにして、昭和と現代の美味しいとこをミックスさせました。
古臭い感じはあまり好きじゃないので。カスタムに関しては、もう少し拘りたかったんですね。
—–車の事分かっている方なら、走ってるだけで色々気づきますよね。
吉田監督:本宮泰風くんが演じる敵役の劉建宏も、カーマニアという設定なんで、最後のシーンは1970年のクーダにしました。
ちなみにあれは、日本第一号車です。
—–本作では、何台ほど使用されたのでしょうか?
吉田監督:当初の予定では、約40台程出すつもりでしたが、実際のところ、トラブルや撮影の事情などもあり、半分くらいに。
もし続編が決まれば、もっと強烈な車両も登場させますよ。
ちなみに車だけじゃなく、ヘリや軍艦級のヨットも準備してました。
それは、次までお預けということで・・(笑)。
常に低予算映画とは思えない作品作りに努めております。
—–車だけじゃなくて、乗り物が好きな人なら、誰もがハマりますね!
吉田監督:乗り物好きの方ももちろん、誰もが気軽に楽しめるような作品です。例えるなら、幕の内弁当のような(笑)。
—–本作は車がメインの作品ですが、劇中においてカーアクションが目を見張るものがありましたね。スピード感があって、撮り方が凄くいいなと思いました。撮影監督とかなり綿密に打ち合わせされたのでしょうか?
吉田監督:こんな風に撮りたいんや!と、絵を描いたりしてカメラマンに伝えました。
でも実際は半分ぐらいしかできなかったんですね。
もっと強烈で壮大なヴィジュアルをイメージしておりました。
それを実写化するのは、日数や予算、機材の問題で、断念せざるを得ませんでした。
それができたらもっと吹っ飛んだ映像になったと思います。
頭の中では、しっかりとした画があるんです。
それを具現化するのはとても難しいんです。
いつか形にできるようにしたいです。
—–作品の音楽担当には、同じ京都出身の池内ヨシカツさんがご参加されておられますが、池内さんとはスコアに対する監督のイメージを伝えるために、ディスカッションは重ねましたか?
吉田監督:自分も音楽をやってるので、だいぶ注文は煩かったともいます(笑)。
上がってきた音楽を聞いて、何度もあーでもないこーでもないを繰り返して収まりました。
向こうはアカデミー賞を受賞している素晴らしい音楽家です。
自分も音楽には強い拘りを持っているので、細かいところまでイメージを伝えるのに懸命でした。
—–監督がボーカリストとして参加されている「Electric Dragon Japan」の主題歌が、作品に花を添えておられますが、この楽曲が生まれた経緯を教えて頂けますか?
吉田監督:これは元々あった曲なんです。
—–書き下ろしではなく、持ち歌だったんですね。
吉田監督:はい。これを機に音楽配信も開始されましたので、是非お聞きください。
タイトルは “SHINE IT ON” です!ほぼ全ての音楽配信サービスで配信中です。
SHINE IT ON by Electric Dragon Japan
—–かっこいいと思いました。
吉田監督:ありがとうございます。脚本・監督しながら、バンドマンとして歌い、作詞・作曲もしています!
—–YouTubeの動画も見させて頂きましたが、とてもかっこよかったです。
吉田監督:ありがとうございます。実はまだ詳細は言えませんが・・今度5万人が集まる日本最大級の音楽フェスの出演が決まりました!
—–どんなフェスですか?
吉田監督:EDMやHIPHOP中心の音楽フェスで、海外からもトップアーティストも集まります。
人は真面目に一生懸命頑張ってたら、成れるもんに成れるんだということを立証したいです。
この作品の主人公は、自称探偵屋のいい歳したフリーターですが、本物の探偵になる成長過程を描いています。
それは、自分自身の人生とオーバーラップさせようとしてるかもしれません。
—–作品のコメントにおいて、監督は主人公と敵対する劉の姿を通して、どちらの生き方がいいのか見え隠れすると仰っておられますが、監督自身、人としてどちらの生き方がいいと思いますか?
吉田監督:確かに、劇中において、劉たちはお金も権力も身体能力もすべて備わっている優秀な人間の集まりです。
愚かな弱者は排除し、優秀な人間だけで理想の社会を作るという劉の考え方は一理あるのかもしれません。
でも、主人公の釜田は、世の中には色んな人間がいて面白いと思っています。
賢い人やアホな人もいる。大きい人や小さい人もおる。白人、黒人、黄色人、ハーフ。
お互いに無いものを補って、助け合って生きていくことに、絆が生まれると思うんです。
やっぱり、人生は苦労を肥やしにして、面白く楽しく生きた方がいいです。
その対比をしっかりと描けたらと思っています。
—–意外とカーアクションだけでなく、人間模様も大事にされておられるんですね。
吉田監督:もし続編として作品が続けば、食べ応えのあるシリーズになると思います。
コメディにしてることで、それぞれの深い過去が鮮烈に浮き彫りになリます。
—–続編に関してのお話も示唆されておられますが、何か作品に対する構想は、ございますか?
吉田監督:めっちゃあります。本作はあくまでも、前菜でございます。
この後が、めちゃめちゃ美味しくなります。
次の二皿目、三皿目を是非ご賞味していただきたい。
—–次回作、楽しみですね!
吉田監督:楽しみにしといてください。ただ、出来たらの話ですが・・今回のヒットにかかってもおります。
ストーリーもよりエッジの効いた深い作品になって行きます。
小難しい映画よりも誰もが気軽に楽しめるエンタメ作品を目指しております。
その中に、自分が伝えたい小さなメッセージを感じとっていただければ幸いです。
—–最後に、映画『京都カマロ探偵』の魅力を教えて頂きますか?
吉田監督:ありすぎて・・3日ぐらいかかるかな(笑)。
本作の魅力は、個性的な豪華俳優陣に加え、世界の京都が大舞台であります。
そして、男の子の好きなものが全て詰まっています。
是非、劇場でご覧になってください!
—–貴重なお話、ありがとうございました。
映画『京都カマロ探偵』は、7月16日より大阪府の第七藝術劇場にて、8月6日より兵庫県のCinema KOBEにて、上映開始。また、全国の劇場でも、順次公開予定。