ドキュメンタリー映画『リル・バック ストリートから世界へ』チャンスは、誰の手の中にある

ドキュメンタリー映画『リル・バック ストリートから世界へ』チャンスは、誰の手の中にある

2021年8月29日
©️2020-LECHINSKI-MACHINE MOLLE-CRATEN “JAI” ARMMER JR-CHARLES RILEY

文・構成 スズキ トモヤ 協力 堤 健介

リル・バックという人物を知ってるかな?

黒人ラッパーの2PAC?

いやいや、彼とはまったくの別人。

リル・バック。

メンフィスの小さな町で育った一人の青年。

彼の得意とするダンス「メンフィス・ジューキン」。

黒人の若人たちが作り上げたダンシングだ。

片田舎のストリート・ダンサーから世界的なプロへと成長し続ける今。

彼は常に、表現したいスタイルを模索し続ける今。


物語は、90年代前半のメンフィス。

あるダンスが誕生した。

彼らは実力を磨く。

毎晩踊る若者たち。

ダンスの社交場。

溢れかえるクリスタル・パレス。

彼らは皆、スラム街の若人ばかり。

いつも様々な問題抱えてる。

内に秘めた感情をダンスを通して表現する。

彼らジューキーは口々にこう言う。

「俺たちは人殺しになるより、ダンスがしたい」と。

©️2020-LECHINSKI-MACHINE MOLLE-CRATEN “JAI” ARMMER JR-CHARLES RILEY

映画の舞台。

90年代、メンフィスの片田舎。

彼らにとっては混沌とした時代。

黒人差別が横行した当時。

全米各地至るところで日常化していた暴力。

91年に起きたロサンザルス暴動を知ってるかな?

白人警官が、無抵抗の黒人を無差別に痛めつけた事件。

黒人差別が、まだまだ根深く残っていた時代の出来事。

この問題を目にしていたジューキン達。

ダンスに打ち込みながら、世の中の不条理さを払拭。

©️2020-LECHINSKI-MACHINE MOLLE-CRATEN “JAI” ARMMER JR-CHARLES RILEY

幼少期「メンフィス・ジューキン」を踊り続けていたリル・バック。

町一番のダンサーとして注目浴びる。

奨学金得て、バレエの世界飛び込む。

バレエとジューキン融合させた創作ダンス。

独創的な踊り見た世界的チェリスト、ヨーヨー・マ。

彼らはチャリティー・イベントでコラボ行う。

偶然、彼らの催し撮影していたハリウッドの名監督スパイク・ジョーンズ。

彼がユーチューブにアップした結果。

瞬く間にリル・バックの人気火がつく。

まるでアメリカン・ドリーム地で行くような話。

でも、本当の話。

「Real Swan」という原題。

どう理解するかな?

有名な童話作家アンデルセンの代表作「みにくいアヒルの子」を土台しているような題名。

種類の違う一羽のアヒル。

ある日美しい白鳥へと変貌する物語。

まるでリル・バックの半生のよう。

タイトルが表現しているのは、ストリートから世界へ羽ばたく様子だ。


ダンサー界隈では押しも押されぬ存在のリル・バック。

現在、世界の伝統的な舞踊を習得。

新しい事への挑戦は今も続く。

ダンスは言語。

手話もまた言語。

彼は、ダンスと手話を融合させる構想を練っている。

最近では、ダンス以外に手話にも関心を持っている。

更なる彼の進化に拍車が、かかっているんだ。

©️2020-LECHINSKI-MACHINE MOLLE-CRATEN “JAI” ARMMER JR-CHARLES RILEY


バレエ界では異色の存在だった彼。

ストリートから大空という世界へ。

羽ばたくリル・バック。

現実に存在したReal Swan。

ジューキーズとして「メンフィス・ジューキン」を。

今も大空から世界へと発信し続けている。

リル・バックは日本では無名のダンサー。

けど、映画から見える彼の姿。

誰しもが成功できるチャンスがあることを教えてくれている。

映画『リル・バック ストリートから世界へ』は、関西では8月27日(金)から大阪府のシネ・リーブル梅田、京都府のアップリンク京都にて現在公開中。9月18日(土)から兵庫県の神戸元町映画館にて、公開予定。