
今年もまた例年通り、大阪アジアン映画祭の季節が訪れた。今年は第20回を迎え、大阪府で開催中。テーマは「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」。第20回の上映作品本数は、新たに67作品が上映される。上映作品の製作国 ・地域は19の国と地域が集結したアジア映画に特化した映画の祭典。世界初上映19作、海外初上映6作、アジア初上映4作、日本初上映31作。3月14日(金)から3月23日(日)までの10日間、開催されている。本映画祭に出品された作品レビューと当日レポートを交えて、少しづつ紹介したい。
映画『団地少女』

一言レビュー:警察官舎に暮らすふたりの女子高生は幼馴染。父親の役職のせいで生活レベルは違うが、互いに夢を語り合い深い絆で結ばれていた。しかし兄のような警官がふたりの前に現れてから、その絆が揺らぎはじめる。団地という密閉されがちなコミュニティに暮らす二人の少女の駆け抜けた青春を描く物語。日本の団地では、高齢化や老朽化、空き家問題、若者や子育て世帯の不足など、昭和30年代に建設された建物が多く残っており、その時に入居した世代が60年間住み続けているケースもあり、様々な課題に直面している。一方でタイの団地に関する論文「ノンホイ団地(チェンマイ県、タイ)の居住実態と住環境評価」の調査結果の文末の結論に拠れば、「ノンホイ団地はチェンマイ市街にあるバーンウアアトーン事業による 5階建て集合住宅 26棟で構成される団地で、2009 年に入居が開始された。団地には広場やコートがあり、管理棟なども利用して年間行事やサークル活動が行われており、居住者同士の交流の機会がもてるようになっている。それらの活動は NHA職員による日常的な住民支援に支えられている。居住者はチェンマイ県を含む北部出身者が多く、通院、通学に便利であるといった立地条件の良さから移住しているが、週末などを利用して頻繁に出身地を行き来している。休日に行った屋外共用空間での行動観測調査では159の活動がみられ、それらを「話・休息・日常行為」「遊び・余暇活動」「家事・作業」「共用空間の維持・管理」に分類した。最も多いのは「話・休息・日常行為」であり、「遊び・余暇活動」と「家事・作業」は同程度みられた。「住棟前・歩道」が最も活動場所として利用されている。住棟前には木陰やテーブル・ベンチを置いているところもあり、会話をしたり、新聞や雑誌を読む姿などが観察された。住棟の裏にはバナナの木が何本も植えられ、住棟間には野菜や植物を育てているところもある。同じ集合住宅団地であってもバンコク近郊とは大きな違いであり、地方の生活スタイルに応じた空間利用の仕方が可能であること、それらが評価されていた。またノンホイでは環境改善への意識が高く、様々な住環境の問題について住民主体での取り組みがみられた。駐車場不足の問題は地方だけでなく集合住宅団地においては全国的な課題となっている。」(※1)と言われるように、現在、タイにおける団地住まいはタイ人の生活基準を潤沢にさせる非常に大切な住環境を完備している。現在の日本とは対照的に、活気に溢れたタイの団地事情を少しでも伺い知る事ができるだろう。
映画『青春2001』

一言レビュー:スラム街で虐げられていた若者は刑務所で友情を得るが、暴力に満ちた世界で仲間たちと共に駆け抜けた日々の先に待つのは、希望か、それとも破滅かー。絶え間なく暴力的な場面が続く本作『青春2001』。邦題に惑わされて、10代達の「青春」をテーマにした清々しい物語と思った人も中にはいただろう(私はその一人だ。もしかして、私一人かもしれない)。ここまで徹底され、ディテールの細かい暴力が出口の見えない監獄生活で繰り広げられる現実をまざまざと見せ付けられたようでもある。2024年における日本の刑法犯の認知件数は(2025年はまだ始まったばかりで、まだ統計が取れていない)、全国の警察が認知したところ73万7679件。3年連続で増加しているため「犯罪情勢は厳しい状況にある」と発表している。その背景には、物価高、不景気、戦争、コロナ禍、経済格差、貧富問題など、様々な社会的背景と要因が考えられるだろう。一方で、2024年10~12月のタイの治安・一般犯罪に関する情勢は、在タイ邦人の犯罪被害者は54件。タイは他の外国と比べて安全な国で、昼間であれば女性の一人歩きも危険ではないとされる。日本と比べると犯罪件数も数倍の割合で発生している。安全に滞在するためには、自己安全対策の意識が求められる。タイで最も治安が悪いのは、国境付近のプーケットより南に位置するマレーシアとの国境付近にあるパッターニー、ヤラー、ナラーティワート県とソンクラー県の一部では現在、紛争地帯と言われている(※2)。2023年現在のタイの販売増加率は、年々増えていると言われており、2023年の犯罪統計では、殺人、殺人未遂、強姦など、全体的に2022年より増加していることが明らかになりました。 「ウィルト」は、その数字は真実を反映していないと指摘している。だって、時々…尋問して、現実的に行動して、それを置き去りにする?昨年(2022年)、タイでは生命、身体、性に関わる犯罪が17,848件発生し、16,678件が通報され、22,045人の犯罪者が逮捕され、逮捕者の93.44%が逮捕された。 最も多かった犯罪は暴行(9,616件)で、次いで殺人未遂(2,241件)、強姦(1,885件)、殺人(1,308件)となる。 犯罪基盤は財産関連だが、全体としては報告件数は58,765件、逮捕者は48,070人、犯罪者数は58,006人、逮捕率は81.8%だった。 最も多かったのは窃盗で2万7148件、次いで詐欺(ネット上のものを除く)1万1874件、横領6218件となっている。 これは、2022/2023 年に発生した出来事の概要です(2022年10月1日から2023年9月30日までの間に収集されたタイ王国警察のデータ)。問題は、2022年と比べてどうなのかということです。この質問に対する答えは「増加」。なぜなら、2022年の全体像(2021年10月1日から2022年9月30日までのデータ)では、生命と身体に対する犯罪の報告が15,038件、逮捕者が14,395人、犯罪者が17,980人いたからです。最も多かったのは暴行罪で6,985件、次いで殺人未遂罪が1,732件、強姦罪が1,577件、その他殺人罪が1,210件になっている(※3)。これが、現代タイ社会の実情かもしれない。でも、タイは「微笑みの国」と呼ばれているイメージの通り、おおらかで陽気な人が多いと言われているため、穏やかな国民性に国交を超えて絆を育むチャンスが眠っているのかもしれない。
(※1)ノンホイ団地(チェンマイ県、タイ)の居住実態と住環境評価The actual condition and residentsʼevaluation toward living
environments at Nonghoi Baan Eua Arthorn housing estate in Chiangmai,Thailandhttps://drive.google.com/file/d/1gqpQ6MlAci6y7Hw2D361UFuFyI3nv_9E/view?usp=drivesdk(2025年3月23日)
(※2)タイの治安で良い場所、悪い場所を完全ガイド!https://haa.athuman.com/media/japanese/world/796/#:~:text=%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%81%A7%E6%9C%80%E3%82%82%E6%B2%BB%E5%AE%89%E3%81%8C,%E3%81%AA%E3%81%84%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84%E3%80%82(2025年3月23日)
(※3)เปิดสถิติอาชญากรรม 2566 เพิ่มขึ้น แต่อาจยังไม่สะท้อนความเป็นจริง?https://www.thairath.co.th/scoop/infographic/2752159(2025年3月23日)