第20回大阪アジアン映画祭 映画『そして大黒柱は……』映画『Good Luck』

第20回大阪アジアン映画祭 映画『そして大黒柱は……』映画『Good Luck』

今年もまた例年通り、大阪アジアン映画祭の季節が訪れた。今年は第20回を迎え、大阪府で開催中。テーマは「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」。第20回の上映作品本数は、新たに67作品が上映される。上映作品の製作国 ・地域は19の国と地域が集結したアジア映画に特化した映画の祭典。世界初上映19作、海外初上映6作、アジア初上映4作、日本初上映31作。3月14日(金)から3月23日(日)までの10日間、開催されている。本映画祭に出品された作品レビューと当日レポートを交えて、少しづつ紹介したい。

映画『そして大黒柱は……』

一言レビュー:フィリピンから台湾へ出稼ぎして家族を支えるバンビ。自分の仕送りで家を建て事業も成功し幸せに暮らしているとの言葉を信じて帰省するがすべて嘘。借金地獄が待っていた。今、出稼ぎ問題(※1)が、世界中で注目を浴びている。出稼ぎ労働者の送金減少が途上国の貧困を深刻化させているほか、強制労働や奴隷制などの問題も深刻な課題となっている。これは、海外だけの問題ではなく、ここ日本でも若者達の労働問題として社会的注目度が高く、私達日本人は海外の問題として捉えるのではなく、同じ立場となって、この出稼ぎ問題(ひいては、日本における技能実習生問題)に目を向ける必要があるのかもしれない。私達は、国内外問わず、本作に登場するバンビという人物の二の舞を生まない事が、今早急に迫られている社会課題の一つだろう。

映画『Good Luck』

一言レビュー:吉山太郎は自主映画を作る自称映画監督。自主映画のコンクールに入選し大分県に行くが、上映会で映画を厳しく批判されてしまう。翌日、太郎は昨日の映画を偶然観に来ていた砂原未希という女性に出会い、2人で一泊二日の小さな旅に出る。名も知名度も与えられず、社会の底で紆余曲折している夢を追う若者達が有象無象に存在している事を少しでも知って欲しい。彼らは、報われなくても必死に夢に喰らいついて、次のチャンスを待っている。でも近頃、自身の夢さえも持てない若者達が増えているのも事実だ。大学卒業後の目標には、普通に就職し、何事もない普通の日常を過ごすという平々凡々な目標を掲げる若者が増えた昨今。「物事を現実的に捉えられている」「将来について悩んでいる」「チャレンジ精神がない」「自分に自信がない」「仕事が忙しくて心にゆとりがない」(※2)など、他にも理由が存在するが、今の若い世代は夢から遠ざけて生きている。この映画が、夢見る事を忘れてしまった世代に対して、もう一度、夢を見る事への大切さに気付く一歩になるうる存在だろう。

(※1)出稼ぎ労働者の仕送り減少が途上国の貧困問題を一層深刻にhttps://www.nri.com/jp/media/column/kiuchi/20200721.html#:~:text=%E5%9B%BD%E9%80%A3%E3%81%AF%E9%80%81%E9%87%91%E6%89%8B%E6%95%B0%E6%96%99%E3%81%AE,%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AB%E5%91%BC%E3%81%B3%E3%81%8B%E3%81%91%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82(2025年3月20日)

(※2)近年深刻化してきている若者の「夢」離れについてhttps://kosen-tutuura.com/school-life/1777/(2025年3月20日)