映画『カゴのナカのキズナ』映画『女バド!』「勝っても友情、負けても友情」朝比奈めいりさんインタビュー

映画『カゴのナカのキズナ』映画『女バド!』「勝っても友情、負けても友情」朝比奈めいりさんインタビュー

映画『カゴのナカのキズナ』映画『女バド!』朝比奈めいりさんインタビュー

©️SAKURA entertainment

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—–まず最初の質問ですが、それぞれの作品のお話をいただいた時、どのような印象を持たれましたか?

朝比奈さん:私はバドミントンをしたことがなく、永瀬さんは学生時代にバドミントン部に所属していました。私は経験がないどころか、知識すら持っていなかったので、台本を頂いた時、バドミントンの用語の意味すら分からなかったんです。だから、まず検索するところから始まりました。永瀬さんとは普段から一緒にアイドル活動をしていますが、今回はダブル主演とお聞きして、がっつり仲のいい友達役ができるので、演じやすいかと思いました。作中には一度、喧嘩する流れがありますが、実際私たちは喧嘩したことがなく、どう演じればいいか悩みました。

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—–最初は知らない用語ばかりで難しいと感じられたと思いますが、 少しずつバドミントンに触れてみて、撮影前や撮影中では、どのような印象を受けましたか?

朝比奈さん:撮影の前に一度、事務所の方と一緒にバドミントンの練習をしているスクールさんに見学に行かせて頂きました。その時初めて、永瀬と一緒にバドミントンをして、大きく動くスポーツだと初めて知りました。その時、スクールの先生が細かい指導をされていて、バドミントンは繊細なスポーツだと知りました。その後、YouTubeで自分で調べて、バドミントンの基礎を勉強しましたが、プレイ中は色々考えないといけないスポーツという印象に変わったんです。撮影中の空き時間には、細かい呼吸を教えてもらいながら演技に挑みました。

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—–映画『女バド!』は、朝比奈さんたちの等身大の姿を描いていると感じましたが、この点について、話を受けた時、撮影中でもいいですが、何を感じましたか?

朝比奈さん:私は今21歳ですが、撮影中はちょうど2年前、高校を卒業してから年数が経ってない頃でした。今まで友達として喧嘩をしたこともなく、アイドル活動を通して、メンバー間の喧嘩まではしませんが、頻繁に話し合い、意見が噛み合わなくても、様々な状況で活動する環境が必要でした。映画の内容に噛み合う心情を普段感じることはあったので、 ある意味、通じる部分もありました。映画『女バド!』ではひしひし感じています。映画『カゴのナカのキズナ』では女子高生役ではありますが、女子高生のちはるちゃんを永瀬さんが家族内での揉め事が設定上あるんです。 私が演じた坂下真菜ちゃんは、直接物語に影響のある役ではありませんでしたが、ダンススクールの友達として、家庭に比べると、ちはるちゃんが最も過ごしやすい環境がダンススクールにはあるので、 気軽に活動ができる環境がそこにはあったんです。直接なイザコザに関係ない、明るい立場の友達役を演じたので、常に明るい気持ちを持ちながら、撮影に挑めました。

—–映画『カゴのナカのキズナ』 についてですが、朝比奈さんは、このタイトル「カゴのナカのキズナ」には、どのような印象を受けましたか?

朝比奈さん:私は、この映画をまだ一度しか見ていませんが(インタビューの時点)、小さな子どもが練習するサッカーの練習場が、ボールが飛び出さないように囲っていたと思うんです。その場面を観て、タイトルを思い出したんです。試合中やプレイ中に、サッカーコートから子どもが飛び出さないように、お父さんが作って、 安全対策をしているのかなと。私は、そのタイトルを初めて見て、台本上の「カゴのナカのキズナ」は 親子関係や家族関係を意味しているのかなと、最初は感じました。でも映画として画面を通して観た時、お父さんが作る安全柵に対して、「カゴ」の意味をかけているとしたら、面白いなと思うんです。

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—–その着眼点はなかったんですが、お話お聞きして、目の付け所が面白いと思いました。ただ果たして、その囲いが必要でしょうか?子どもの安全面で言えば、必要かもしれません。安全柵を作ることで、ある種、囲うという意味が逆に、やりすぎと言いますか。過保護にも捉えられる可能性もあると思うんです。

朝比奈さん:確かに、そうですね。そんなイメージもありますが、あのお父さんの中では非常に大きいトラウマを抱えているんです。息子はサッカーコートからサッカーボールを追いかけて、車と接触してしまい、亡くなりました。非常に大きいトラウマを、父親なりに抱えているんだと思うんです。

—–映画『女バド!』に出演している朝比奈さんですが、 ご自身が演じた役柄をどう捉えていますか?

朝比奈さん:まず初めに、思春期の女の子というイメージを持ちました。自分に対して、悔しい気持ちを持って女の子ですが、一番近くにいてくれた友達にぶつけてしまうんです。それは、やり場のない怒りです。コロナ禍も含めて、自分たちにはどうしようもない環境下、 この先の未来が分からない状況だったんです。当時は、コロナウイルスに翻弄されて、やり場のない怒りや悔しい気持ちを当たれる存在が、一番近くにいる大切な友達だったんです。

—–では、もし目の前に同じように悩みを抱えている女の子がいたとしたら、どう接しますか。

朝比奈さん:怪我を追ったり、コロナ禍になる前までは、どちらかと言えば、感情表現が苦手な女の子だったんです。一方で、もう一人の女の子は感情をより前面に出す印象を持っていました。たとえば、このペアで試合に出れるのかどうかを、先生に強気に言ったりして。少し怪我をしてしまった時、感情を強く出てしまう事もあるんです。

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—–映画『女バド!』を客観的に観て、朝比奈さんは作品に対して何か思う事や感じる事は、ございますか?

朝比奈さん:バドミントンという部活動を通して描かれる女の子二人の物語ですが、 コロナウイルスが直接的に影響する描写が、非常に細かく散りばめられているんです。もう1度、作品を鑑賞した時、今回はコロナ禍が原因でバドミントンの試合ができるのかできないのか、練習ができるのかできないのか、と部活動を主体にした映画と客観的に判断してしまいそうですが、実際はコロナによる様々な弊害を描いているんです。でも、今でこそコロナ事態は、緩和しつつありますが、作品はただの青春部活動映画ではありません。振り返ってみて、コロナ禍という時代が、なんとなく、すごかったなと思い出しながら、観てもらえる、 また観れる映画だと、結果だけ見たら、そう思えるんです。

—–次は、映画『カゴのナカのキズナ』についてです。先ほど様々な議論が生まれたと思いますが、この作品のタイトルには、作中の何を意味していると思いますか?

朝比奈さん:親子の絆の物語が、作品の軸になっています。まず、息子さんとのトラウマが、大きく影響していると思うんです。 また恐らくですが、この絆には「iphone」も入ってくると考えています。息子さんの写真を、携帯の画面に設定しているんです。想像できると思うんですが、息子さんとのトラウマを引きずってサッカーに触れていると、すごく理解できるんです。そのお父さんの記憶は、亡き息子さんの姿をサッカーをしている姿に重ねて、再度絆を取り戻そうとしているんだと思います。

—–お父さんが子供の写真をスマートフォンの中に待ち受けで入れているという今のお話をお聞きして感じましたが、スマートフォンを「カゴ」として捉えた時、そのiPhoneの中に息子がいて、待受画面の中に父と子の絆があると受け取れるのではないかなと、私は思います。

朝比奈さん:本当に、いいタイトルだと思います。

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—–映画『カゴのナカのキズナ』と映画『女バド!』を、両作を比べて鑑賞した時、これらの作品にはどのような違う点、 または似ている点があるなら、何か考えはございますか?

朝比奈さん:似ていると思う部分はまず、どこにでもいる普通の女の子のお話です。女子高生なので、先程からお話している年齢の女の子は、どこに感情を持っていけば良いのか分からずに動いています。とにかく、動いてるみたいなのが通じるのかな。物語の設定上、女子高生達が置かれている状況が違いますが、スポーツを取り扱っているという側面を考えれば、映画『女バド!』ではバドミントンが、映画『カゴのナカのキズナ』ではサッカーが作品の主題にしていますが、よくよく考えれば、どちらもスポーツです。スポーツという要素を考えれば、非常に関係している映画だと考察もできます。物語はまったく違う映画でもありますが、通じている部分も実は、あると思います。

—–友情の話がメインと家族の話がメイン。でも、そこから見えてくるのは、もしかしたら、絆かもしれないですね。

朝比奈さん:映画『女バド!』は、細かく撮影をしてきて、人物の様々な感情や表情を捉えているという印象を持っています。セリフが少ない分、楽しい会話も多くあるイメージです。一方で、映画『カゴのナカのキズナ』は真剣に観ないと、登場人物たちの心情を読み取れないと思っています。細かい表情の動きや目の動きをしっかり捉えている印象を持っています。

—–映画『カゴのナカのキズナ』が少し静かな作品で、映画『女バド!』が明るい感じの作品かと見受けられます。

朝比奈さん:映画『女バド!』 は特に、現役の部活を頑張っている高校生の子にも観て欲しい印象を持っています。 分かりやすい上、ご自身の体験と当てはまりやすいと思うんです。

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—–映画『カゴのナカのキズナ』は、親子の話であり、映画『女バド!』は、女の子の友情の話。作品によって、エッセンスや要素、たくさんあると思います。10代の少女達が抱える様々な悩みを描きつつ、それぞれのメッセージが作品に詰め込まれていると思います。もし、一つ挙げるとするなら、女の子同士の友情が映画『女バド!』の中に詰まっていると思います。朝比奈さんにとって、女の子同士の友情とは、なんでしょうか?

朝比奈さん:単純に同性の友情と考えたら、本音で話せて、お互いに対等にぶつかって行ける関係性です。作品では、お互い言いたいことを言って、言い返しての結果のその後の試合を描いています。本音でぶつかり合えるからこそ、本当の絆を育めるのが、女の子同士の友情です。

—–最後に、この2作品の魅力を教えて頂けますか?

朝比奈さん:映画『女バド!』は、女の子同士の友情がメインで、映画『カゴのナカのキズナ』は家族愛や絆をメインをしています。 どちらも、魅力的な物語です。この2作品のストーリーも全然違いますが、どちらも観やすい作品です。どちらも時間が短いのに、内容が濃いイメージを持っています。でも、それぞれ伝わりやすく、見やすい印象はあります。その点は、すごく魅力的だと思うんです。どの作品を先に見るかで、違う印象を与えられると思うんです。細かい表情を捉えつつ、まったく温度感の違う2作品です。違う楽しみ方ができるのも、両作の魅力です。ただ、映画『女バド!』は、女子高生の部活動を通して、ちょっとした喧嘩や友情の話で終わるのではなく、コロナウイルスの影響もまた、細かく刻み込んでいます。 あのコロナ禍の時期を振り返ってみて、共通する部分を見つけてもらえる面白さもあると思っています。試合での勝ち負けがメインの物語ではなく、結果的に友情メインのお話です。

—–試合における勝ち負けではない事は、大切ですね。

朝比奈さん:だからこそ、勝っても友情、負けても友情です。最後は、人それぞれ違う視点で作品を観て頂ければ、と思います。

—–貴重なお話、ありがとうございました。

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映画『カゴのナカのキズナ』映画『女バド!』は現在、関西では大阪府のシアターセブンにて上映中。