有名に、なりたい映画『#スージー・サーチ』
世界的にインターネットが発達した21世紀の今の時代、PCやモバイル一台あれば、世界中の誰とでも繋がれる非常に便利な世の中だ。反面、その便利さにはある種の弊害もあり、一長一短、一得一失の趣がある。今や産まれた時から自身の身の回りにネット環境が整っているZ世代、Zジェネレーションと呼ばれる1990年代半ばから2010年代前半に生まれた世代の若者達が、ネット世界を自由に自身の物として行き来する時代だ。誰かに連絡をしたい時には、電話。何かを調べ物したい時には、Googleなどで検索。相手にメッセージを送りた時には、メールやメッセンジャーアプリ。今では男女の出会いでさえも、通信機器一本で可能となり、巷では若い世代を中心にマチアプと呼ばれるマッチングアプリが、男女の赤い糸を結ぶ。インターネットという概念(※1)が産まれた背景は、古くは19世紀にまで遡れる事ができ、その連絡手段こそが電信網、電話通信であり、今世に存在するインターネットの起源と呼ばれている。またネットの概念は、1969年にアメリカ国防総省のARPANET(Advanced Research Projects Agency Network)が誕生した事に由来したと言われている。現在、パケ放題プランやパケット通信と呼ばれる世間一般に使用されている通信方法は、1960年代に米軍が軍事用に開発し、核兵器にも耐えられる通信方法として考案したのが最初である。一方で、1982年には大多数の商業目的のネットワークで利用可能な通信規約を指す言葉インターネット・プロトコル・スイート(TCP/IP)が生み出された。僅か、1980年代頃から四半世紀の間に誕生した大規模なインターネット回線が21世紀の今の時代に、人々の生活に直結した大きな役割を担っている。近年ではSNS(ソーシャル・ネット・サービス)が著しく発達し、私達の生活により身近となったインターネット。多くの開発者がこの業界に参入し、マーク・エリオット・ザッカーバーグ(Facebookの生みの親)、ジャック・ドーシー他3人(Twitterの生みの親)、ケヴィン・マークスとアダム・カリー(ポッドキャストの生みの親)、チャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリム(YouTubeの生みの親)、ケビン・シストロムとマイク・クリーガー(Instagramの生みの親)らが、このインターネットにおけるSNS戦国時代に新しい技術を投入している。映画『#スージー・サーチ』は、Z世代の一人の若者が、ポッドキャストを通して、活躍する姿を描く。大学生のスージーは、ポッドキャストで配信を続けているが、なかなかフォロワーが増えずにいた。ある日、インフルエンサーとして人気を集める同級生のジェシーが、突如として失踪を遂げる。スージーは自身のポッドキャストを通して事件の謎を追い、やがてジェシーを発見することに成功。世間からも大きな注目を集めるようになったスージーはさらに事件の真相を探ろうとするが、事態は思わぬ方向へと転がっていく。今ではテレビの著名人を凌ぐ勢いで、YouTuberやSNSのインフルエンサーにおける人気や注目度が世間から多大な指示を受けている。近年では、自身の子どもにいくつから通信機器を持たせるか論争(※2)が起こりつつあり、9割以上の全世代の人々が手にしている時代だ。そして、インターネットの未来予想図は、第四次産業革命、5Gによる革命が起こると予想されており、今後ますます、ネットの発展は著しく加速していく事だろう。
ここ10年から20年の間にSNSの発展が、顕著に現れた。SNSの起源は、米国人起業家であるアンドリュー・ワインライク氏によって開発、運営されていた「SixDegrees.com」(※3)と言われている。このサイトは、1997年から2001年にかけて運営されていたSNS創世期のツールだ。SNSとして最初期に有名になったのは、2002年にサービスを始めた「Friendster」。個々のメンバー同士で写真やコメントを共有する事が、目的だった。その後、英語圏では2003年に「LinkedIn」「MySpace」、そして2004年に「Facebook」がサービスが開始れた。日本において、2004年頃からサービスが開始された「GREE」や「mixi」が、非常に有名だ。今の30代から40代頃の世代の方には、ドンピシャのツールではないだろうか?まさに、日本ではこの時期が、SNS創世期として捉える事ができるだろう。SNSの目的には、利用者同士のつながりを促進するものがあり、様々なしかけが用意され、互いの関係を視覚的に把握できる事を特徴としている。2000年代以降、世界的に普及し、私達が日常で使用するインターネットの活用において重要な存在となっている。SNSの発達と共に、世間に突如として登場したのがインフルエンサーだろう(その前に、YouTuberという存在もあるが、今回は割愛する事にしよう)。インフルエンサーとは、誰がどの時期に世間から「彼らがインフルエンサー!」と認識されるようになったのだろうか?元来、インフルエンサーとはSNS等で世間に与える影響力が大きく、ビジネスとして情報発信している人物を指し、発信する情報を企業などが活用して宣伝することをインフルエンサー・マーケティング(SNSマーケティング)と呼ぶ。ブログ利用者が急増した2007年頃の日本において、インフルエンサーが頻繁に使用される言葉となっているが、この最初期において、ブログ利用者の中には数千〜数万の読者を持つ者をカリスマブロガーと呼ばれるようになった人物こそが、このインフルエンサーの始まりとされている。その人物が発信した情報が、数十万人単位に広まり、大きな宣伝効果を持つようになったのが、由来でもある。また日本のX(旧Twitter)のインフルエンサーでは、滝沢ガレソ、Dappi、たられば (Twitterユーザー)、ひめにぃ、笛美、坊主 (インフルエンサー)、マナリス、レンタルなんもしない人らが、挙げられる。また海外では、アディソン・レイ、チャーリー・ダメリオ、カビー・ラメ、エマ・チェンバレン、ザック・キング、ナベラ・ヌール、アヴァニ・グレッグ、今週の注目記事(GenZ)、ウィズダム・ケイ、ドクター・マイク、タビサ・ブラウン、グレタ・トゥーンベリ、Xゴンザレス、ユミ・ヌー、ジョシュ・シェラー(※4)らが挙げられ、ここにアジア系(中国、韓国、台湾対象)や東南アジア系を含めると、より膨大なインフルエンサーが存在する。現在、海外ではPartiful、Quest、WeAre8、Lemon8、Made With Friends、Supernova、Airchat、BAND、eToro(※5)など、多くのSNSが開発されているが、日本にはまだ届いていない。SNSの名称とインフルエンサーを文字って、世間ではYouTuber、インスタグラマー、ティックトッカーといったインフルエンサーの名称が産まれているが、今挙げた海外で人気のSNSから、たとえば、Quester、WeAre8er、Lemon8er、Supernover、Airchater、BANDerと言った名称のインフルエンサーが今後、誕生する可能性もある。将来、あなたにもインフルエンサーになれるチャンスが、どのSNSにも潜在的に潜んでいると考えても良いだろう。私の囁かな願いは、映画系インフルエンサーとなり(自身の知名度が上がるより)、取り上げる作品が少しでも世間に知ってもらう事が最優先だ。
そして、この作品で次に注目する必要があるのは、ポッドキャストの存在だ。ここ数年の間に彗星の如く突如として出現したSNSにおける新しいプラットフォームだ。日本では現在、Spotify、Amazon Music、radiko、Apple Podcasts、myTuner Radio、Spoon (スプーン)、Stand.fm (スタンドエフエム)、Voicy (ボイシー)、Tuneln Radio、ラジオクラウド、シンプルラジオ、らくらじ2、Radio FM、ラジオ FM !、BBC World Service、NHKラジオらじるらじる、Radiotalk、LearnEnglish Podcasts、radikker、Google Podcasts(※6)など、多くのポッドキャストによるプラットフォームが、スピーカーもリスナーも全員無料で(アプリ内課金あり)利用でき、非常に重宝されている。アメリカにおけるポッドキャストでは、Castro、DoggCatcher、Downcast、Overcast、Podcast Addict、Pocket Casts(※7)が現在、現地のポッドキャストユーザーに非常に人気が出ている。このポッドキャストの起源は先にも述べたように、ケヴィン・マークスとアダム・カリーが生み出したSNSにおける最新のコンテンツであるが、実はそれ程新しい媒体ではなく、誕生してから既に20年近く経過している。ポッドキャストのサービスは、突然登場した訳では無い。最初期は、2000年初頭頃にまで遡る事ができる。日本において、最初にポッドキャストという古くて新しいプラットフォームが産まれたのが、2004年と言われている(※8)。そして、商用サービスが日本で始まったのが、翌年の2005年。この時期に配信を開始した日本のユーザーが、ポッドキャストにおける第一世代だ。アメリカでも、日本とほぼ同時期の2004年夏頃から実験的に誕生している。ポッドキャストの利便性が高いのは、その利用方法にあるからだろう。無料で使いやすく、誰でも参入できるプラットフォームとあれば、誰もが迷わず利用したくなるものだ。今後、ますますポッドキャストの利用頻度は高くなり、ユーザー数もうなぎ登りで伸びて行くだろうと予測できる。ポッドキャストにおける将来性について識者が見る見解は、こうだ。「日本では、ポッドキャストの収支構造も確立されておらず、スポンサー獲得も不安定である事から、看板俳優やアーティストにポッドキャスト番組を持たせたり、ゲスト出演させることに大半のマネジメントは未だ否定的である。そして、ファンクラブの会員特典やスポンサーのプレミアムとして聴取パスを配布するといった、新たなクロスマーケティング手法としても重用され始めている欧米に対し、この点においても、日本は大きく出遅れてしまっている。それでも、成長を妨げる様々な要因が存在しているものの、その解消・改善により、ポッドキャストが新たなメディアとして発展していくことを強く期待したい。」(※9)と、世界規模のマーケティング市場において日本のポッドキャストが今後、新しいコンテンツとして大きく飛躍する事を求めていると話す。映画『#スージー・サーチ』を制作したソフィー・カーグマン監督は、あるインタビューにてこう話している。
Kargman:“It started with a proof of concept short film and screenplay for the feature. We wanted to go out in tandem. You want to show that we understand the unique twists and turns, toeing the line between satire, dark comedy, and thriller. People are looking for reasons to say no. I wanted to limit that as much as possible, and hopefully get some yeses. I had a look-book as well. If people had any questions, they were answered with the short film and look-book.”(※10)
カーグマン監督:「コンセプトの実証となる短編映画と長編映画の脚本から始まりました。私たちは連携して取り組みたいと考えていました。風刺、ブラックコメディ、スリラーの境界線を踏み越えながら、独特の展開や展開を理解していることを示したかったのです。人々は「ノー」と言う理由を探しています。私はできるだけそれを制限し、できれば「イエス」という答えをもらいたかったのです。ルックブックも用意しました。人々が何か質問があれば、短編映画とルックブックで答えられるようにしました。」と話す。風刺、ブラックコメディ、スリラーの境界線を踏み越えるとは何か?その答えは、この物語の中にあると言えるだろうが、ある種、監督の考えから予測にするに、この作品は実験映画の様相を持つ。今、世界規模でSNSが、社会的に隆盛を誇っているが、この人気に対して、監督は何かしらの警鐘を鳴らしているのか、はたまた、その警鐘の先にある未来の私達に対して、SNSやポッドキャストの在り方について説いているのかもしれない。
最後に、映画『#スージー・サーチ』は、Z世代の一人の若者が、ポッドキャストを通して、活躍する姿を描く。大学生のスージーは、ポッドキャストで配信を続けているが、なかなかフォロワーが増えずにいた。ある日、インフルエンサーとして人気を集める同級生のジェシーが、突如として失踪を遂げる。スージーは自身のポッドキャストを通して事件の謎を追い、やがてジェシーを発見することに成功。世間からも大きな注目を集めるようになったスージーはさらに事件の真相を探ろうとするが、事態は思わぬ方向へと転がって行くスリラーやサスペンスを要素を入れつつ、SNSに翻弄される今の若者の姿をブラックユーモアと社会風刺で捉えていると言えるのかもしれない。SNSは非常に便利なツールではあるが、使い方を一歩間違えてしまえば、人生転落の道を辿る。近年、YouTuberから成り上がりで芸能活動をしていたある人気タレントが、SNSの使用法を誤り、自身の首を自ら絞める事態に陥り、自業自得ではあるが、結果的に活動休止に追い込まれた。SNSを駆使して知名度を上げたにも関わらず、そのSNSで自らを凋落させるとは、何たる皮肉ではないだろうか。SNSは、使い方一つで良い方向にも悪い方向にも転んでしまう綱渡りのような要素を持っている。この人物に限らず、一般層のユーザーでさえ、秘匿性が高いSNSを通して、何ら悪気もなく個人に対して集団で誹謗中傷を投げる事ができる時代だ。この問題は、日本国内に留まらず、海外でも起きている事だろう。韓国でも、ネットの誹謗中傷における殺人事件が過去に起こっている(※11)。いわゆる、海外の言葉で言われる「slader」は、本当に今、問題視されており、日本と同様にアメリカでも訴訟問題にまで発展している(※12)。匿名性が高い分、人は行動心理学の領分で他者に攻撃的になってしまうのだろう。私たちは日々、楽しんでSNSを活用しているように錯覚しているが、実際は私達人間はSNSに弄ばれているのだ。AIやロボット、インターネットが人間の人智を超えて乗っ取られる日が近いのかもしれないが、そうはさせない為にも、私達は何度もネットリテラシーを学ぶ必要があるだろう。それは、私たち自身の日常を守る為に必要な行動だ。SNSを通して他者との関わりを構築する事が最も主流な現在において、生身の対人間同士で面と面を向かい合わせ会話をし、相手の目を見て話す最も基本的な行動が、今の私達に求められているのだろう。
映画『#スージー・サーチ』は現在、全国の劇場にて公開中。
(※1)インターネットの歴史をわかりやすく解説!世界と日本の通信事情まとめhttps://www.geekly.co.jp/column/cat-technology/1903_085/(2024年9月17日)
(※2)子どもには何歳からスマホ? 学年別iPhoneとキッズ向けケータイの所有率や特徴など解説https://time-space.kddi.com/mobile/20190405/2626.html(2024年9月17日)
(※3)SNSに疲れた若者たち〜変化していくSNSのあり方〜https://www.jiitak.jp/blog/sns#:~:text=SNS%E3%81%AE%E8%B5%B7%E6%BA%90%E3%81%AF1997,%E6%99%AE%E5%8F%8A%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82(2024年9月17日)
(※4)15年にインスピレーションを与えるZ世代のインフルエンサートップ2024https://tagshop.ai/ja/blog/gen-z-influencers/(2024年9月18日)
(※5)【2024年版】アメリカでも人気の新しいSNS10選!日本ではまだ知られていない次世代プラットフォームをご紹介https://www.thedigitalx.net/blog/america-new-sns(2024年9月18日)
(※6)【無料】ポッドキャストアプリおすすめ20選|Podcasthttps://good-apps.jp/media/column/10145#toc1(2024年9月18日)
(※7)The Best Podcast Player Apps for 2024https://www.pcmag.com/picks/the-best-podcast-player-apps(2024年9月18日)
(※8)ポッドキャストがなぜいま人気? 歴史とともに紐解いて解説https://www.pen-online.jp/article/008151.html(2024年9月18日)
(※9)ポッドキャスト、日本でこれまで普及しなかった理由と今後の可能性https://forbesjapan.com/articles/detail/60256(2024年9月18日)
(※10)Exclusive: Susie Searches Director Sophie Kargman on a Creative Dream Come Truehttps://movieweb.com/sophie-kargman-susie-searches-interview/(2024年9月18日)
(※11)The culture of slandering YouTubers is going crazy. Like the murder case of a YouTuber in Busan. Online Conflict → Real Fight Serious HyunP’s live channel. “Hazardous content should be limited in revenue”.https://www.mk.co.kr/en/society/11013098(2024年9月18日)
(※12)PERSONAL INJURY Premise LiabilitySocial Media Slander: Can I Go To Jail For A Facebook Post?https://ohiotiger.com/social-media-slander-can-i-go-to-jail-for-a-facebook-post/#:~:text=Defamation%20is%20a%20tort%2C%20so,thousands%20of%20dollars%20in%20damages.(2024年9月18日)