現在、3月1日から3月10日までの10日間、大阪府のシネリーブル梅田、T・ジョイ梅田、ABCホール、大阪中之島美術館にて開催されている第19回大阪アジアン映画祭のスペシャル・オープニング・セレモニーが、3月5日(火)にABCホールにて行われた。上映作品本数は63作品、上映作品の製作国 ・地域は24の国と地域が集結したアジア映画に特化した映画の祭典。テーマは「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」。今年も国際色豊かな作品が、出揃った。
まず初めに、万雷の拍手の中、スペシャル・オープニング・セレモニーが始まった。最初の登壇者は、主催者である大阪映像文化振興事業実行委員会委員長上倉庸敬さんが、映画祭の開催におけるご挨拶をされ「この21世紀の20年を振り返れば、武器に縁もゆかりも無い人々をテロリズムと戦争によって絶望の縁に追い詰め、それを止めることの出来なかった20年だった。自然に対して謙虚に向き合わなかった自分を悔いつつ、傲慢無作であり続けた20年です。今も相変わらず、戦車が隣国を踏みにじり、伝染病が未だ年に数百万人の命を奪う時代を私達は生きています。私達は、そうした時代にアジアの東の端で世の中の状況を描く作品を観ています。観て聴いて、苦しみがある事を知ります。その人を憐れみ、同情する権利はありませんが、その苦しみを取り除くために闘う義務が、私達にはあります。その人のために闘う義務があり、その人は私達の隣人です。その時、私達は一人で生きているのではなく、自分の国の、アジアの、また世界の隣人と共に生きています。実際、正月早々に衣食住を失いながらも、人間の尊厳を懸命に守っている私の友人のために、世界中の臨時達が支援の手を差し伸べて下さいました。映画の世界も、現実の世界も、私達は人のために生きています。映画を通して、リアルタイムなアジアを、大阪から世界へ。何があろうと、作り続けているアジアの映画人達と観客の皆様、私は心の底から感謝申し上げます。」と、今の社会情勢や国際情勢を交えながら、話された。
また、今年のスペシャル・オープニング作品には、世界初上映に先先駆け、香港映画『盗月者 The Moon Thieves』(原題:盜月者)が上映された。この日は、監督のユエン・キムワイさん、出演者の田邊和也さんが、登壇された。
映画香港映画『盗月者 The Moon Thieves』(原題:盜月者)のあらすじ
2010年の香港の窃盗団による東京の時計店襲撃事件を題材に、史実を織り交ぜたストーリーが展開するスタイリッシュな犯罪ドラマ。東京と香港でロケを敢行し、スリリングな裏切り合戦を繰り広げながら大胆な盗みを働く窃盗団の姿が描かれる。香港の人気グループMIRRORのメンバーが出演、2024年2月春節に香港公開の最新作。
窃盗団のメンバーには、アンソン・ロー(『香港ファミリー』(OAFF2023))、イーダン・ルイ(『四十四にして死屍死す』(OAFF2023)、『香港ファミリー』)、ルイス・チョン(『星くずの片隅で』(OAFF2023))、マイケル・ニン(『アニタ』(OAFF2022)、『手巻き煙草』(OAFF2021))、そして悪徳時計ディーラーとしてギョン・トウ(『ママの出来事』(OAFF2022))が特別出演している。
ユエン・キムワイ監督は、CMやミュージックビデオの監督でキャリアを積んだのち、『暗色天堂』(2016)で長編デビュー。本作が長編第3作となる。
この日、ご登壇された監督のユエン・キムワイさんと出演者の田邊和也さんが、作品についてお話しされた。
ユエン監督:「作品を一緒に後ろの席から観ていて、私が感じた事は私達香港人から見て、笑う場面がありますが、皆様日本人の方もちゃんと笑って頂けました。改めて、映画は素晴らしいと感じました。つまり、国境を越えて、文化の壁を越えて、皆さん、理解し合えるという事を実感しました。映画は、素晴らしい文化です。」
田邊さん:「先程、監督と一緒に初めて作品を拝見させて頂きましたが、皆さんと同じ気持ちで鑑賞できた事、感謝します。」と話されました。
第19回大阪アジアン映画祭は現在、3月1日(金)から3月10日(日)までの10日間、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ梅田、ABCホール、大阪中之島美術館の4か所にて開催中。