世界を変えるは、人の力。映画『室町無頼』
2025年の現在、社会は衰退し、政治は腐敗し、悪が蔓延り、市民は生きる場を失いつつある。誰が、今の世を願っただろうか?誰が、今の日本社会に期待するだろうか?日本の未来は、誰が守れるのだろうか?この腐り切った社会が、子ども達の未来を守り、保証できると言えるだろうか?今、世界中で21世紀の救世主を求めている。早く今の社会を救えるヒーローが、必要だ。それが、ゴロツキだろうが、ちょっとした悪党だろうか、チンピラだろうか関係ない。市民群衆の為に命を削って、人生を賭けて、目には見えぬ巨大な国家権力に立ち向かえる英雄が、どこにいるだろうか?映画『室町無頼』は、日本の歴史において初めて武士階級として一揆を起こした室町時代の人物・蓮田兵衛の知られざる戦いを描いた時代劇アクション。600年前の1461年の室町時代とおよそ600年後の2025年の令和の時代、時代背景は違えど、私達日本人がこの日本で置かれている立場を切り取って考える事はできない。この腐敗し切った現代日本に当時の名も無き武士のような人物が、一本の刀で成敗して欲しいと願う国民が大勢いる。今の日本で求められているのは、国民総出の政府に対する反対運動や不条理な事実に対するデモ活動。群集蜂起や時の大革命は、国家主体ではなく、名も無き農民達が声を上げる所から始まるのだ。
1461年、寛正元年、室町時代。映画でもある表現されているように、実際に、京の都を中心に長禄・寛正の飢饉(※1)が発生し、日本全国を襲った大飢饉。京都では、洛中で餓死した8万2千の市井の人々が犠牲に遭ったにも関わらず、時の政府こと室町幕府の将軍足利義政は世事の混乱にまったくの関心を示さず、遊び呆けていた。この世相を憂いだ一人の名も無き武士が立ち上がった史実を基に本作が制作されているが、過去の文献『碧山日録』『大乗院寺社雑事記』にも史料として豊富に残してあり、実際に起きた事としてエピソードが残ってある以上、この作品はノンフィクションから着想を得た物語と言える。この大飢饉の他に、犯罪、人身売買、乞食の増加、疫病の蔓延、その時、世は混乱の極みの中にいた。また、1461年の同時期には、応仁の大地震(※2)が発生し、多くの宮殿や寺院を壊滅させた巨大地震だ。この期間の寛正5年7月19日(1464年)には、後花園天皇が後土御門天皇に譲位。後土御門天皇践祚。寛正6年12月27日(1465年)には、後土御門天皇即位した。たった数年の間に、天皇がコロコロと変わり、政治も国の統率も非常に不安定だったと窺い知れる。室町幕府の将軍は足利義政だったが、東山文化を築くなど文化人的側面でも知られる一方で、幼くして兄の跡継ぎとなり、近習や近臣と共に親政に取り組んだが、それでも、有力守護の圧力に抗する事ができず、応仁の乱を引き起こしてしまう。本作でも描かれている「続発する飢饉や土一揆への無策」「応仁の乱への傍観」が、足利義政の失策と言われており、この及び腰の政策をしていなければ、多くの市井の人々の生活や命は守られ、救われたのだろう。文化の発展に力を入れた足利義政は、東山山荘の造営、能や狂言などの伝統芸能、茶の湯、水墨画、書院造りの発展に力を入れたこの背景を鑑みると、もしかしたら、平和を好み、暴力を辞さない人物だったのかもしれない。
そして話は、現代の2025年(2024年)の時代にタイムスリップする。今年はまだ始まったばかりだが、昨年の2024年は波乱の一年の幕開けから始まった。私達の記憶に新しいのは、令和6年能登半島地震が新年のお祝いムードの中、突発的に発生した。その前年の2023年頃からこの地域は揺れに揺れていたが、まさかここまで大きな大地震がこの地域を襲い、一瞬のうちに人々の生活、思い出、人生、そして尊き命を奪うに至った自然災害の脅威をまざまざと見せられただろう。また、中期間頃から年末かけては令和の米騒動(※3)が起きたが、昨年末から今年1月の初旬にかけて、落ち着きも取り戻したが、それでも、お米の物価高に変化の兆しが見受けられず、今でも家計の経済に強い影響を及ぼす。また政界では、前首相から現首相の降板、交代劇が起き、国民は大きな不安に苛まされた。一体、今の国のトップに相応しい人物は登場するのか?一国を担い、トップの座に君臨できる器を持つ人物は今後、一生現れないだろう。話題は一気に収縮したが、昨年話題に上がったのは政界における「政治資金パーティー収入の裏金問題」(※4)だ。また世間を震撼させた事件で言えば、2023年に続き、2024年もまた、若者達が餌食となる「闇バイト」問題(※5)が社会を騒がせた。罪を犯す若者が最も悪いが、甘い蜜で事件に誘い出す闇の組織の謎の人物には天罰を。その背景には、ロシアウクライナ侵攻による日本への影響で起きている物価高や空前絶後の円安が国民の財布や懐を寒くさせる原因だ。この問題を傍観し、裏金問題で自らの懐をホクホクにし、肥やしにする政治家達が一番悪の根源だ。闇バイトの犠牲になった被害者も、事件に自ら加担した若者達も皆、日本で生まれ、日本で暮らす大切な日本国民だ。そんな彼らの存在を無下にする政治家達の裏金問題やその他の問題に対して、私達国民は「NOノー」と大きな声で突き付けなければならない。映画『室町無頼』を制作した入江悠監督は、あるインタビューにて私達にとって馴染みのない室町時代生きた人物について、こう話している。
「兵衛はどう歩いても、どんな見え方でもいい。彼が見つめていた未来を映画で描けばいい」(※6)と話す。主人公の兵衛が見つめた未来が、今ここにある。彼が切望した未来に、本当に近づいているだろうか?兵衛が願った日本の平和が、600年後の今の日本社会に存在するであろうか?もし彼が今の世に生きていたら、きっと悔しくて涙するだろう。
最後に、映画『室町無頼』は、日本の歴史において初めて武士階級として一揆を起こした室町時代の人物・蓮田兵衛の知られざる戦いを描いた時代劇アクションだが、今の令和の時代にも同じように兵衛のような人物が求められ、生まれる事を強く願われる。「弱きを助け強きを挫く」をモットーに、弱者社会に優しい心を持った無頼がいて欲しい。たとえば、元ヤクザが改心して、牧師になった例(※7)ではある種の令和の無頼と位置付けてもよいだろう。ただ、その方自身の活動内容にも拠る部分はあるので、一概に祭り上げてはならない。ただ、弱きを助け強きを挫くを念頭に、社会的マイノリティや社会的弱者を救う思想が、今世の中に求められている。かく言う私自身も弱者に手を差し伸べられる人でありたいし、私自身もその弱者やマイノリティの一人だからこそ、その人々の心の声を理解したい。障がい者雇用、外国人雇用、シニア雇用、中途採用、リカバリーカルチャー(一度罪を犯した人にもう一度人生を生きるチャンスを与える社会的活動や思想)、いつか映画を通して、私は多くの人々を救える令和の無頼になりたい。また個人であっても、誰もが社会を救える時代だ。地域の清掃活動や献血活動が、人々の生活や命を守る。貴方も、貴方も、貴方も、誰もが令和無頼になれる時代。今、国民が何を求めているか?それは、この腐り切った社会、腐った政治に「NOノー」を突き付けるたった一人のヒーローだ。それは、あなた方自身、一人一人が英雄(無頼)になれるポテンシャルを秘めている。
映画『室町無頼』は現在、全国の劇場にて公開中。
(※1)【中世こぼれ話】長禄・寛正年間の天候不順・飢饉に際して、将軍足利義政は実に無責任かつ無策だったhttps://news.yahoo.co.jp/expert/articles/6d309deb9ebfde290906dff8ee8e81098ccd9f72(2025年1月20日)
(※2)日本の歴史に刻まれた災害https://anppii.jp/2023/08/08/blog_14/(2025年1月21日)
(※3)「令和の米騒動」も落ち着き“お米”が買えるようになったけど、価格が「5キロ3000円」から下がらない! 家計にはどれだけ影響がある? 2023年のデータと比較https://news.yahoo.co.jp/articles/c9a8fc9c86a044d30d2577772f96362caaba6e0e(2025年1月21日)
(※4)「裏金議員」どうなった? 自民党派閥パーティー事件・関連ニュースhttps://www.jiji.com/sp/v7?id=seijishikin(2025年1月21日)
(※5)「闇バイト、抜けられない」取調べ担当した警官が語る 海老名市・座間市・綾瀬市https://nordot.app/1253878802977980597?c=113147194022725109(2025年1月21日)
(※6)『室町無頼』大泉洋のアンチヒーローは黒澤映画やマカロニウエスタンをイメージ 入江悠監督が舞台裏明かすhttps://www.cinematoday.jp/news/N0146984(2025年1月21日)
(※7)元ヤクザの牧師さん 鈴木啓之氏https://www.waigayaclub.com/waigaya/main_suzukisama(2025年1月21日)