映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』冒険は、これからだ

映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』冒険は、これからだ

2023年5月4日

全世代の“子ども達”に贈る興行収入100億円突破のモンスター級映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

©2022 Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved.

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「任天堂」「スーパーマリオブラザーズ」「ファミリーコンピュータ」という言葉が、当時の子ども社会で出始めたのは、1983年7月15日からだ。

ゲーム会社任天堂が、家庭内で遊べる本格的な家庭用テレビゲームを発売したのは、今からちょうど40年前のことだ。

もちろん、これより前の70年代には、喫茶店に据え置きされていたテーブルゲーム(※1)「ブロック崩し」「パックマン」「麻雀」などが、この時代に一世を風靡していた。

ただ、この話は以前となるので、今回は脇に置いておこう。

それでは、まず第一世代ゲーム機という名称をご存知だろうか?

第一世代ゲーム機の代表格には、オデッセイシリーズ、ポン、コレコ・テルスターシリーズ、カラーテレビゲームシリーズなどがあった。

また、続く第二世代の有名なゲーム機には、フェアチャイルド・チャンネルF、Atari 2600、インテレビジョン、オデッセイ²、コレコビジョンなどがあった。

まさに、70年代~80年代は、ゲーム機戦国時代。

世の子どもたちは、挙ってゲームをプレイし、この世界観に没頭していた。

戦国時代の真っ只中、彗星の如く登場したのが、ゲーム会社任天堂が発売したファミリーコンピュータのゲームカセット「スーパーマリオブラザーズ」。

このゲームが、空前のヒットを飛ばし、人気を集めた。

80年代は、高度経済成長期直後の日本において、娯楽が最も一般家庭に普及した時代。

テレビに、映画、VHS、そしてテレビゲームは、「これを持っておけば…」という中下流家庭における一種のステータスでもあったのだろう。

あれから40年という歳月が流れ、多くの家庭用テレビゲームが、登場した。

任天堂からは(今回は、任天堂だけに絞る)、『ゲームボーイ』『スーパーファミコン』『バーチャルボーイ』『NINTENDO64』『ゲームボーイアドバンス』『ニンテンドーゲームキューブ』『ニンテンドーDS』『Wii』『ニンテンドーDSi』『ニンテンドー3DS』『WiiU』『Newニンテンドー 3DS』『Nintendo Switch『Nintendo Switch Lite』そして『Nintendo Switch 有機ELモデル』へと姿形を変えて、40年という長きに渡り各世代の子どもたちを楽しませていたマリオの世界、ゲームの世界は不滅だ。

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またここで言及したいのは、ハリウッドが仕掛ける日本のサブカル文化へのオマージュだ。

アメリカ映画は90年代以降、日本文化(特にアニメ)を実写映画化してきた傾向がある。

例えば、映画『北斗の拳(1994)』映画『ストリートファイター(1994)』映画『DRAGONBALL EVOLUTION(2009年)』など、多くの日本アニメの実写映像が製作されて来たが、そのほとんどが残念ながら、クオリティの低い作品が目立っていた。

それが、面白くないと一言で一蹴してしまうのは些か味気なく、質の低い中にも楽しめる要素は存在する。

ただ、原作と実写に大きな溝が産まれた原因は製作者の日本文化への理解度の無さだろう。

それが顕著に現れていたのが、1998年版のローランド・エメリッヒ監督率いる『GODZILLA』。

プロデューサーのディーン・デヴリンが、「ゴジラの熱狂的ファンではないエメリッヒ監督をこの映画に引き込んだことが、原因のひとつだ」と話すように、エメリッヒ監督がゴジラに対する愛も知識も、思い出もなかったに違いない。

彼が挑戦しようとしたのは、「ゴジラ」ではなく、「ジュラシック・パーク」説が濃厚だ。

それでも、ゴジラを全編フルCGで表現しようとした辺りは、まさに当時の技術で言えば挑戦的と言える。

また、実写版映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』も過去に製作しているが、あれもあれで目を当てられない惨憺たる作品(筆者にとっては、幼少期における思い出の映画でもある)。

巨額の費用を投じて、なんとか配給収入は回収したものの、作品としては後世に残らない結果となったのは、ある種、この映画の魅力の一つかもしれない。

それから時が流れて、洋画版『GODZILLA ゴジラ(2014)』シリーズは、確実に日本のゴジラに近づいたと言っても過言ではないほど、技術面と言うよりも、日本のサブカル文化へのリスペクトが制作陣から滲み出ているのは間違いない。

この作品を前後に、映画『トランスフォーマー(2007)』シリーズ、映画『名探偵ピカチュウ(2019)』、映画『モンスターハンター(2020)』などが製作されているが、疑う余地もなく日本のサブカル文化への愛や尊敬の念は、ますます高くなっているのが作品から読み取る事ができる。

こうして、ハリウッドが日本文化を取り入れようと誠心誠意を込めて製作する今、日本の映画業界もコミック原作を実写映画化するのであれば、漫画世界観へのオマージュ力を高めて欲しいところでもある。

時間を負うごとに、作品を発表するごとに、作品世界への再現度、忠実度、熟知度は比例するかのように、年々高くなっていることに頷ける。

本作『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』もまた、その最たる作品だ。

この映画における力点は、ゲーム世界をより映画的現実的視覚認識できるモノへの発展させた所に注視したい。

ある種、本作をターニング・ポイントとして、今後ますます日本文化をリスペクトした多くのオマージュ作品が、製作される事は予見の内だ。

おそらく、ここ10年先、映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』以前、以降というタームで、同ジャンルへの扱いや語り口は大きく変化を遂げることを認識しておきたい。

そして、本作を監督したのはアーロン・ホーバスとマイケル・ジェレニックらは作品について、あるインタビューでこう話す。

Aaron Horvath:“We’re ’80s kids, so I’ve been playing Super Mario Brothers. since the 8-bit era. Super Mario Bros. (1985), in particular, really captured my imagination when I was a kid. There’s just something about the graphics, the movement, and the sense of discovery and wonder that just really got me going. It really ticked a lot of boxes for me. And I just kept gaming, like it became my hobby. So I’ve played pretty much every single mainline Mario game.There are a lot of offshoot games  that I haven’t gotten to yet, but I mean, Super Mario 64 was revolutionary with that transition to 3-D graphics. So I’ve been playing Super Mario games for my entire life. Which, you know, there was a time when I was like, “Maybe I should go outside and do something more important?” But now that I’ve had this experience, it all paid off. All that time was worth it!”(※2)

アーロン・ホーバス監督:「私たちは、80年代に育った子どもです。私は、幼少期に任天堂の家庭用テレビゲーム『スーパーマリオブラザーズ』をプレイしていた世代です。8ビット時代以来、特に、スーパー マリオ ブラザーズは、子どもの頃の私の想像力を大いに掻き立てました。グラフィック、動き、そして発見と驚きの感覚は、本当に私を動かした何かがありました。そして、私は没頭するようにゲームを続けました。私は、ほとんどの主要なマリオのゲームをプレイした記憶があります。まだ手に入れていない派生ゲームがたくさんありますが、『スーパーマリオ64』は3Dグラフィックスへの移行で革命的でした。だから私は、ずっとスーパーマリオのゲームをプレイしてきました。「外に出て、もっと重要なことをした方がいいんじゃないの?」と思った時期もありましたが、この経験を積んだ今、すべてが報われました。その時間は、すべて価値がありました!」

Michael Jelenic:“I had a similar experience to Aaron. I’ve always tried to make it sound like I had this proper childhood with a lot of toys. I really didn’t though. I come from immigrant parents, so we didn’t have a lot. But I did have a Nintendo NES! I had Super Mario Bros. / Duck Hunt. I never actually played Duck Hunt. In case a Duck Hunt movie comes along, I’m probably not the right person for it (laughs). But I did spend probably two years straight playing Super Mario Bros.”(※2)

マイケル・ジェレニック監督:「私も彼と同じような経験をしました。いつも、たくさんのおもちゃで、幼少時代を過ごしました。私の両親は移民出身でしたが、私は任天堂の家庭用テレビゲーム『ファミリーコンピュータ』で遊んでいました!私は、スーパーマリオブラザーズを持っていました。しかし、私はおそらく2年間、『スーパーマリオブラザーズ』をプレイし続けました。」と、アーロン・ホーバスとマイケル・ジェレニックの両監督は、過去にファミリーコンピュータで遊んでいた経験が、今に繋がっていると力説する。

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最後に、2人の若手監督が成し遂げたのは、私たち大人世代含む子どもたちが思い描くゲームの世界を、アニメ映画というより現実的な世界に近い作品として昇華させた点は評価に値する。

誰が観ても心奪われる色とりどりの世界は、唯一無二の存在だ。

近頃、これらの事柄に関係した興味深い関連ニュース(※3)が、紹介された。

ある男性が、およそ30年振りに、少年時代に遊んでいたファミコンのカセットと再会するエピソードだ。

その裏には、あるゲーム会社の代表が、名前の書かれたゲームのカセットを集めて、思い出の品を無くした本人に直接届けるプロジェクトだ。

今回は、ある一人の男性に密着した懐古的エピソード。

無くしたと思っていた昔の思い出の品が、30年振りにひょっこり目の前に現れてくれるのは、誰の心にも迫るものがあるだろう。

この逸聞に登場する男性が過去を振り返り涙したように、本作を鑑賞した少年少女が、30年後、40年後、この作品を何らかの形で触れる事がある時、「本作が、良かった」と口々に思い出して欲しい。

70年代には映画『小さな恋のメロディ』80年代には映画『E.T.』90年代には映画『学校の怪談』00年代には映画『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』10年代には映画『アベンジャーズ』と、それぞれの世代に思い出の作品があるように。

そして、本作『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が今のこの時代の思い出の作品となるよう、未来に生きる子どもたちのために、今を生きる私たちは何をすべきか考える必要がある。

その答えは、自ずと見つかるはずだ。

未来を生きる子ども達に、私たちの思い出に、そしてマリオの世界に乾杯。

冒険は、これからだ。

まだ見ぬ明日へ、マリオと共に。

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映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は現在、4月28日(金)より全国の劇場にて、絶賛公開中。

(※1)喫茶店でパックマンを。老舗とゲームテーブルが歩んだ40年https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/tatsui04(2023年5月4日)

(※2)‘The Super Mario Bros. Movie’ Directors Aaron Horvath & Michael Jelenic Talk the Immense Pressure from Fans – Exclusive Interviewhttps://discussingfilm.net/2023/04/20/the-super-mario-bros-movie-directors-aaron-horvath-michael-jelenic-talk-the-immense-pressure-from-fans-exclusive-interview/(2023年5月4日)

(※3)「涙出てきた…」30年ぶりに“思い出のゲーム”と再会した持ち主が感動の泣き笑いhttps://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/knight(2023年5月4日)