映画『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』あの時のあの日々が青春時代

映画『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』あの時のあの日々が青春時代

愛おしい日々の記憶を呼び起こす映画『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』

©2025 STUDIO TAKE CO., Ltd. & JAYURO PICTURES CO., Ltd.

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過ぎてしまった高校時代の青春を、取り戻すことはできない。歳を重ねた後に学生の頃と同じように、親友と騒いでも、あの頃感じた刺激の強い高揚感を二度と味わう事はできない。親友と悪ふざけをし、担任教師に反抗し、同級生の女子学生に初恋をする。あの頃、過ごした青春時代は、あの頃のまま時間だけが過ぎて行く。大人になってから、10代の楽しかった日々を再現しようとしても、同じ楽しみ方はできない。大人には大人の大人専用の青春の楽しみ方はあるが、学生には学生にしか味わえない楽しみ方がたくさんある。今の若い世代には、その楽しみ方をそれぞれ見つけて欲しい。小さな楽しみから大きい楽しみまで、青春の過ごし方は人によって違いがある。クラブ活動に汗水流す者、帰宅部で早く帰ってアルバイトに精を出す者、クラブ活動以外の塾や習い事といった自主的な活動に勤しむ者、少し成績が悪くて落第点を付けられても、あの日、あの時、あの一瞬を全力で駆け抜けた時間の有益性はすべて、あの瞬間に過ごす学生だけの特権だ。教室の窓から見える広く青い空に幻想を抱いていたあの頃、小さな教室が世界の全てと飽き飽きしていたあの日々の君に伝える事があるとすれば、君が今いる教室はきっと、君にしか経験できない、君の為の居場所。彷徨時代の経験は、その時期にしか味わえない遠い淡い記憶。映画『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』は、日本でもリメイクされた台湾のギデンズ・コー監督によるヒット作『あの頃、君を追いかけた』の韓国版にリメイク。あなたの初恋は、いつだろうか?その相手は、誰だろうか?一瞬で「あの頃」に戻れるノスタルジックな青春ラブストーリー。

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なぜ、私達は初恋を経験するのだろうか?その時期は、人によって様々だ。幼稚園の頃、小学生の頃、中学生の頃、少し遅いと高校生の頃。ある日突然、同級生(もしくは年上か年下の年の違う相手の場合もある)の少女に恋心を抱く。少し、広い意味で捉えて考えたい。なぜ人は、恋をするのか?そこには、心理的要因や社会的文化的目的があり、私達は自身の中で自然と恋心を抱くのではなく、産まれ持ったものであったり、社会的環境から異性に恋をするように生物として作られているのだ。人が恋をする目的には、欲求の充足、本能的繋がり、自己成長、そしてパートナーとの関係性を通じて自身の成長に繋がるように様々な理由で恋をする。脳神経学的観点(もしくは、精神科、神経科学、生理学、薬理学)から言えば、脳内では興奮作用のある脳内物質が分泌され高揚感を得る一方、恋愛は相手の「他者性」に触れる事によって自身を発見し、精神的に成長するプロセスを得る生物学的本能を言う。本能的な側面には、生存・繁栄のため、脳内物質による高揚感が挙げられ、人類の進化の過程において、育児を協力して行うパートナーとの強い感情的な繋がり(恋愛)が、子どもの生存率を高める上で重要と考えられている。恋をすると、脳内で興奮作用のあるドーパミンなどの脳内物質が分泌され、幸福感や高揚感を得ることができます。心理的な側面においては、欲求の充足として、愛されたい、安心したい、人との繋がりを求めたいという基本的な欲求を満たす行為、または優越感や自己実現を求めて恋をする。心の成長のプロセスにおいては、恋愛を通し、パートナーの他者性に触れる事により、自己の内面と相対し、精神的成長に結び付く。自己肯定感の向上を目指すには、相手に求められる事、相手を思いやる事、自分を大切にし、自信を持つ事が大切にもなる。社会的文化的側面に目を向けるなら、他者との深い繋がりによって、多くの人が「この人は特別だ」と感じて深く繋がろうとし、恋愛を通して人生を豊かにしようとする。異性に愛情を持つ事で世界が広がり、恋愛を通して、今まで知らなかった世界を知り、価値観が変化し、人生がより豊かになる経験をする。恋愛とは、人間の本能や心理、社会的側面が複雑に絡み合った現象が背景にあり、多くの人が経験する重要な生物的活動の一つと言える。では、なぜ人は初恋をするのか?初恋とは、どのタイミングで初恋と言えるのか?初恋が芽生える瞬間の仕組みは、特別な感情の芽生えや自覚を持つタイミング。相手を考えると心が惹きつけられ、ドキドキし、もっと親しくなりたいと自然に感じるようになった時、それは「好き」という感情の始まりで、初恋の始まりと定義される。また、自己の成長へのきっかけでは、初めて人を「本気で想う」経験を通じて、地震の未熟さや相手の幸せを願う気持ち、そして自分をよく見せたいという衝動と葛藤に直面する。それが、ちょうど思春期に差し掛かった少年少女の心理に働きかける。「好き」という意味の探求では、なぜ「特定の相手」を好きになるのか?なぜ胸が痛むのか?という感情に名前をつけ、その意味を探求する中、思考が伴い感情が成熟して行く。それが、初恋と私達は呼ぶのであろう。では、その初恋の持つ意味とは?相手を幸せにしたいという強い願いが、恋心に成長する。単に「一緒にいたい」という欲求心ではなく、相手が笑っている事が自分の喜びや幸せに繋がる、深い愛情の芽生えに直結する。恋を通して自己の探求を求めるには、恋する相手の前で自然体でいられない自分に気づく事により、等身大の自分を見つめ直し、本当の自分が何かを見つめ直す機会を得られる。恋する気持ちに対する人生への大きな影響力には、たった一人の存在が自身の中に大きな影響を与える驚きに結び付き、その感情の意味を手探りで確かめる日々が続く。それが、初恋を通して得られるズキズキとした胸の痛みだろう。初恋とは、「初めて他者に対して『好き』だと自覚した瞬間(とき)」(※2)と定義付けられるが、より感情的感傷的に「初恋」とは考えれば、あの時抱いた純粋でピュアな気持ちはどこに行ってしまったのだろうかと、虚しく時もあるだろう。初恋は、あの時の幼くも背伸びしようと頑張っていた無垢な青春時代の宝物のような存在だろう。

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では、次に私達は生きている限り、出会いと別れを繰り返す生き物だ。ある時目の前に現れた人は、ある突然自分の目の前から立ち去ってしまう。工場のレーンのように、流れ作業で次から次に新しい人と出会いが現れ、私達の記憶のデータは上書きされ、過去に出会った人の存在は消えて行く。日本には一生に一度だけの貴重な機会や出会いを意味する一期一会、台湾にはご縁を大切にする隨緣如意(スイユェンルーイー)、出会いを喜ぶ気持ちを表す「JÒHŌ(ジョーホー)」、人との交流を重んじる「情義(チンイー)」、韓国には関係性を深めることを表す「영원히 함께하자 (ヨンウォニ ハムケハジャ – 永遠に共にしよう)」という言葉がそれぞれあり、人との繋がりや縁を大切にする価値観は、どこの国でも万国共通に存在するのであろう。人との出会いは、一瞬でもあり永久の関係性。そして、なぜ人は出会いと別れを繰り返すのか?出会いと別れという人生や時間の変化の中にいる私達は、人間関係の変容、個人の成長と自己実現、また人生の無常という哲学的側面、そして生活環境の変動など、様々な要因が複合的に絡み合った結果、出会いと別れを繰り返すサイクルの渦の中にいる。人間関係は常に移り変わり、人は互いに影響を与え合いながら成長する。人生における無常の摂理を受け入れていく中、新たな出会いと別れを経験する。別れは悲しいものでもあるが、出会いがあるから別れがあり、その繰り返しにこそ、人生の美しさと機微を感じて止まない。来る者拒まず、出会いも別れも受けきれたその先に人としての成長が待っている。常に人間関係の変化と成長のサイクルの最中にいる私達だが、人との別れには価値観の不一致、自己成長とバランスの回復、隠し事や問題の顕在化がある。互いの価値観が合わないと感じる時、関係に不満を感じた時、その関係に発展が望まれず、結果的に悲しい別れや悲劇的な決別を選ぶ事がある。時に恋愛や仕事に夢中になりすぎた結果、自身の生活や心が乱れる事がある。一度、他者と離れる事により、自身を取り戻し、心と生活のバランスを整える事ができる。これは、次のステップに進む為の準備期間であり、人を成長させる大きな局面となる。浮気や借金、家族の問題など、隠し事が原因で関係が破綻する事もある。別れを単純に捉えるのではなく、哲学的視点で出会いと別れについて考えると、これらの人間の行動は無常の摂理であり、人生の根底には「人生とは、会って別れることの繰り返し」という言葉があるように、無常(変化し続けること)の摂理は止められない。出会ったものはいずれ別れるという運命の元、私達は常に出会いと別れを繰り返す生き物だ。日本のことわざには、「会うは別れの初め」という言葉があり、出会ったものはいつか別れる運命にある事を指し、人生における無常の思想を表現している。また、社会や環境の変化において、人生の節目、未来への準備があり、特に3月は、卒業、就職、転居など、生活環境の変化が私達に与える時期であり、日本各地で多くの人との別れと新たな出会いの季節が訪れる。また別れは、未来へ向けた準備期間であり、過去に体験した経験を活かす事によって、これからの人生をよりさらに豊かな生き方に変えさせてくれる魔法であり、奇跡でもある。出会いと別れを繰り返す人が、なぜ再会(※4)を果たすのか?それには様々な要因が考えられるが、相手への想いが強すぎた為、一度離れる事で相手の大切さを実感し、互いに成長する機会を得、何年か越しに再会に至るケースもある。また、強い絆で結ばれたソウルメイトである場合もまた、似た価値観を持つ縁のある人との再会も考えられ、再会する前兆を感じさせる出来事によって、自然と久々の再会に嬉々する事がある。また、再会に至るまでの主な理由には、互いの成長と相手の大切さを実感して再会となるパターンもある。一度、お互いに離れる事により、それまで相手に依存し、執着していた気持ちが落ち着き、自身を見つめ直し、成長する機会を得る事ができる。別れている間に、相手の大切さを強く実感し、以前とは違う形で再会への意思が生まれる事も暫しある。他には、強い絆とソウルメイトの存在も考えられ、お互いが運命的な強い絆で結ばれている場合、別れてもまたやり直せると互いを信じる感覚がある。少しスピリチュアルな話かもしれないが、ソウルメイト(魂の伴侶)であれば、前世からの繋がりがあると考えられる。目には見えない魂レベルで深い繋がり合いが、再会できる運命にある。その「縁」や「前兆」のサインには、価値観や趣味が似ている人達が、同じ場所を好む傾向があり、偶然街やお店などで何度も遭遇し、運命を感じる場合もある。お互いが再会する前には、相手の気配を感じるなど、自分ではコントロールできない「前兆」が現れる場合がある。これら、前兆やサインには再会が近いと知らせる印や証と考えられる。感情的な側面とスピリチュアルな側面の両方の要素が複合的に作用した結果、人は再び出会い、再会を果たすのではないだろうか?映画『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』を制作したチョ・ヨンミョン監督は、あるインタビューにて本作の要素である「初恋」について、こう話す。

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ヨンミョン監督:「台湾版『You Are The Apple Of My Eye』は大ヒットしました。きっと何か理由があるはずです。メインストーリーはそのままにしました。ただ、韓国に住んでいる韓国人もいるので、韓国人にとってリアリティのあるストーリーにするにはどうすればいいか、どうすればリアルに感じられるかを考えました。韓国風にアレンジするよりも、よりリアルに見せることに注力しました。お互いに告白できたらいいなと思っています。そうしないと、あの人たちみたいになってしまうかもしれません。本当に残念です。初恋を体験する人だけでなく、他の人たちにも見てもらいたいです。初恋を懐かしんでもらえたら嬉しいです。」(※5)と話す。初恋は、誰にでも訪れる人生の通過儀礼の一つ。でも、訪れるタイミングは人によって様々であり、幼年期の時もあれば、学童期の時もある。思春期や学窓期に訪れるのは、最も適切な時期ではあるが、時期やタイミングは人によって個人差があっても、ほとんどの確率で初恋は心の成長と共に必ず訪れる。人は、自身の初恋を覚えているだろうか?

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最後に、映画『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』は、日本でもリメイクされた台湾のギデンズ・コー監督によるヒット作『あの頃、君を追いかけた』の韓国版にリメイクではあるが、単なるリメイク作品ではない。青春時代の渦中には必ず初恋という心の成長が内的に訪れ、それが子どもから大人への生育に繋がる。青春とは、その時に過ごしたすべてを抱擁する時期ではあるが、その期間の真っ只中にいる間は、その時が青春だとは誰も気付かない。学生期を通過し、数十年越しに初めて、人はあの時のあの日々が青春時代であったと、気付くのだろう。

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映画『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』は現在、公開中。

(※1)婚活おすすめ 恋とはどんな気持ち?恋するとどうなる?「好き」「愛」との違いなど恋愛感情を大解剖
https://zexy-en-soudan.net/column/recommend/140.html#:~:text=%E6%81%8B%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BA%BA,%E3%82%92%E6%84%9F%E3%81%98%E3%81%9F%E3%82%8A%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82(2025年10月5日)

(※2)初恋とは。どこから初恋というの?幼稚園の先生から聞いたエピソードもhttps://www.hoikushibank-column.com/column/post_140#:~:text=%E5%88%9D%E6%81%8B%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%88%E3%81%B0%E3%80%81%E3%80%8C%20%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%A6%E4%BB%96,%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E3%81%84%E3%81%86%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82(2025年10月5日)

(※3)「運命の人とは一度離れる」は本当?その理由5つと別れ・復縁の見極め方https://www.zwei.com/times/kts106#:~:text=%E5%A4%9A%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82-,%E2%91%A4%20%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%AE%E7%94%9F%E6%B4%BB%E3%82%84%E5%BF%83%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%92%E6%95%B4%E3%81%88%E3%82%8B,%E3%81%A4%E3%81%AA%E3%81%92%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%8F%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82(2025年10月5日)

(※4)別れても再会できる運命の人の特徴https://woman.mynavi.jp/article/190330-15/(2025年10月5日)

(※5)Interview Exclusive Jinyoung, Dahyun & Sutradara Cho Young Myoung – Ngobrolin Film Korea ‘YOU ARE THE APPLE OF MY EYE’https://www.kapanlagi.com/korea/interview-exclusive-jinyoung-dahyun-38-sutradara-cho-young-myoung-ngobrolin-film-korea-you-are-the-apple-of-my-eye-e75775.html?page=5(2025年10月5日)