映画『結婚の報告』今宵の二人の小さな幸せ者に幸あれ

映画『結婚の報告』今宵の二人の小さな幸せ者に幸あれ

結婚する事になった相手は…映画『結婚の報告』

©映画「結婚の報告」製作委員会

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「お嬢さんを僕に下さい」と彼女のご両親に向かって伝える形式的な挨拶から「結婚しました!」「〇月〇日に入籍しました!」「〇月〇日に結婚しました!」「〇月〇日に結婚(入籍)しました!」「〇さんと結婚しました!」など、近しい友人から親類、職場の同僚や関係者に向けた少しカジュアルな伝え方。また、より砕けた報告の仕方で言えば、各種自身のアカウントを持つSNSを通して、「結婚しました!これから2人で頑張ります。」「〇月〇日に入籍しました!これからよろしくお願いします。」「〇月〇日、〇さんと結婚しました!これからも変わらず仲良くしてくださいね。」など、SNSという特殊な連絡手段では不特定多数の人々に向けて伝える方法もある。少し変わったものでは、結婚式を挙げた場合は、「〇月〇日に身内だけで結婚式を挙げました。」結婚式に呼ぶ場合は、「結婚式にはぜひ〇〇さんにもご出席いただければと思っています。」など、様々な言い回しがある。少し気をつけなければならないのは、職場の上司に向けては今の時代でも多少丁寧な文言を気を付けるべし。結婚の報告は、報告する相手や媒体に合わせて、適切な表現を選ぶ事が大切。上記の表現を参考に、ご自身に合った言葉で報告する事を心掛けたい。ご両親への挨拶の場合、服装や手土産、挨拶のタイミング、順序に言葉遣い、会話やマナーなど、本当に細かい所作を気を付ける必要があり、たとえば、報告の言葉では「○○さんとは、以前からお付き合いしており、先日、結婚を申し入れました。お許しをいただけたらと思っていますので、ご挨拶に伺いました。」ご両親への感謝の言葉では、「○○さんは、いつも温かく見守ってくださり、本当にありがとうございます。○○さんと一緒に、温かい家庭を築いていきたいと思っています。」新郎になる男性の結婚後の想いを伝えるには、「これから、○○さんと一緒に、家族として、そして人生のパートナーとして、幸せな毎日を送っていきたいと思っています。」など、本当に多岐に渡るほど、小さな気遣いや心配りが必要なのだ。それが、都心のあるバーで友人同士の結婚の報告となるなら、どうなるだろうか?それが、その友人の母親との結婚の報告となれば、その場の空気はどうなるだろうか?お酒が入った席で、気の許せる友人との関係の中で繰り広げられる報告会は、思わぬ展開に発展する。言えない事を伝えなければならない時、ある秘密が暴露された時、アルコールやバーが当事者達の思惑をカバーする事ができるのか?お酒の勢いを借りて、言い難い事を伝えなければならない時、あなたはどうするか?映画『結婚の報告』は、同じバーに居合わせた2組の結婚報告が思わぬ事態に発展し、意外な人間関係や秘められた感情が暴かれていく様子をコミカルに描いた会話劇。多かれ少なかれ、誰もが経験する友人同士の結婚の報告は、一組のカップルが経験する人生の通過儀礼の一つだ。

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今宵もどこかで、バーや居酒屋、ご両家の顔合わせの場、彼女のご実家など、あるゆる場所で結婚の報告が行われ、未来の夫婦が生まれている。年間で結婚の報告をしているカップルがどれくらいいるのかというデータは、現在のところ、算出できていない。なぜなら、統計が取れないほど、多くの夫婦が生まれているからだ。たとえば、日本での年間で入籍したカップル(新しい夫婦が生まれた数値となる年間入籍組数)(※1)は、2022年の時点で約52万組。2000年には79万組だったが、この22年間で35%減少している。また、こども家庭庁の資料(※2)によると、令和5年の婚姻件数は47万4717組。前年の50万4930組より3万213組減少している。この数字を見る限り、結婚しているカップル数や子どもの出生率が減少している点が、可視化されてよく理解できるだろう。SNS文化が根付いている昨今、結婚の報告は直接的な両家のご挨拶や友人や職場の上司・同僚だけでなく、SNSを利用し不特定多数への報告方法が主流(※3)になっており、報告をするカップルの全体の7割以上が、SNSを介して、特にインスタグラムを利用した結婚の報告が圧倒的に多数、多くのカップルが発信している。SNSでの結婚の報告をする場合、報告する側のカップルがSNSを理由や配慮している事、投稿内容など、それぞれのアンケートが発表されている。たとえば、SNSで結婚報告をする理由は、「一斉に報告ができて手間がかからない」「ふたりの記録として残したい」投稿する際に配慮している事は、「簡潔に」「嫌味にならないように」「個人情報を流出しない」投稿する内容は、「婚姻届」「結婚指輪」など夫婦となった証の写真など、単にSNSに投稿して、リア充の幸せアピールをしているだけでない。わざわざSNSで報告しなくてもいいと僻み根性を持つ人も中にはいるかもしれないが、結婚をする報告は通過儀礼だけでなく、一つのケジメや決意、人生の節目であると考えてもよいだろう。また、インスタグラムのSNSだけでなく、今ではLINEでの報告も一般的と言える。「よし、結婚しよう!」となった時、まず最初に結婚する旨を伝えるか。それは、人によって様々だが、その伝える方法に最も手っ取り早いLINEでの報告が挙げられる。以下に、どの順番で誰に報告したかを表にしたアンケート結果も併せて図として貼っておく。誰に最初に報告するのかは、一人一人の個人によって、その想いの幅も含め、まったく違う。あなたは、最初は誰に報告したいですか?

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この作品の見どころの一つは、コメディとしての食い違っていく結婚の報告の会話劇だ。言いたくても言えない。伝えたくても伝えられない。一つ伝えれば、事態は思わぬ方向に舵を切る。そのハンドルは、誰にも操作不能で、行き違いが行き違いの波紋を呼び、笑いの渦、シリアスな波間に誘われる。物語は、結婚報告を通して、意見や状況が相違する友人同士の男女の姿が特徴的だが、実際に結婚の報告をした人の中には、面白エピソードを持っている方も世間には存在する。世間の一般人の面白エピソードは、本当に些細な出来事が多く、一発当てたろ豪華絢爛、爆笑エピソードはないが、その一つ一つが心温まるホッコリできる素敵なエピソード(※5)ばかりだ。小さな幸せが生まれ、流れ星のように消えて行く。小さな幸せ、小さな奇跡が今夜も日本のどこかで誕生しては、儚い流星のように散って行く。その面白エピソードを数個ピックアップすると、たとえば、4月1日のエイプリルフールに仲の良い友達から電話で結婚の報告を受けて「おめでとう!結婚式にも必ず出席するね!」と伝えて、その日が4月1日だったら、嘘か本当か分からない。また、その逆のパターンもあり、毎年エイプリルフールに嘘の結婚報告をされていた友人。実際、本当に結婚となった時、結婚式に呼ばれるまで、嘘だと思っていた方。また職場でのホッコリ体験では、後輩から報告が受けた時、こっそり上司の元にやって来た後輩が、「実は私と○○さんが交際を始めたのは、先輩が私に任せて下さった○○さんとの仕事がきっかけなんです。本当にありがとうございました」と知らぬ間に恋のキューピットになっていた時。同じく職場で婚活をオープンにしていた上司の為に、プロポーズの大作戦会議を職場で開き、上司から結婚報告があった時、職場では軽い祝福モードに!また、運命を感じる結婚報告では、友人の名前と結婚相手の名前が同姓同名だった時。同姓同名だけでなく、小学生の頃から15年間付き合っていたカップルが、めでたくゴールインした時。15年越しの結婚は、ドラマティックでもある。生涯独身を貫くと公言していた友人が、付き合って1ヶ月で電撃結婚。また、学生時代の友達で集まった久々の飲み会の席にて、「結婚する」とサプライズの報告があった時、友人同士で夜通し宴会に。著名人の豪華な結婚報告や記者会見の足元には到底及ばないが、それでも、小さな小さな幸せを育んだ一組のカップル達の結婚報告は、誰もが羨む幸せに満たされている。この時の一瞬だけ、カップル達は世界中の誰よりも小さな幸せを噛み締める幸せ者になれる。映画『結婚の報告』を制作した阪本武仁監督は、あるインタビューにて本作に対する結婚の在り方について、こう話す。

©映画「結婚の報告」製作委員会

阪本監督:「友達のお母さんと結婚する男性の話なので、そういった多様性も受け入れてほしいというか、アリなんじゃないと思っていただけることを伝えたいですし、普段の生活のなかで、嫌なことや大変なことがいっぱいあると思いますが、68分間は笑って、すっきり晴れやかな気持ちで劇場を後にしていただきたいですね。」(※)と話す。今や、結婚の仕方は人それぞれだ。異性間、同性間など関係なく、また年の差婚、できちゃった婚(授かり婚)、その逆に何度も離婚を経験した人を‪バツ1、✕‬2と言うが、一昔前まで離婚さえも許されない時代もあったと考えたら、現代における男女の在り方、結婚の在り方について、時代と共に価値観の大きな変化が起きているのは、目に見えて分かる事だろう。誰がどのように結婚しようが関係なく、そこに当事者間の「幸せ」が存在しているのであれば、それで良しではないだろうか?

最後に、映画『結婚の報告』は、同じバーに居合わせた2組の結婚報告が思わぬ事態に発展し、意外な人間関係や秘められた感情が暴かれていく様子をコミカルに描いた会話劇だ。ただ会話劇中心のコメディに終始している訳ではなく、結婚の報告をする者、受ける者、それぞれの人としての心の機微が描かれていたり、人間関係における引き算足し算の駆け引きが描かれている。スタンディングショットバーの片隅で繰り広げられる「今度、結婚しようと思っている」と友人に告げるところから始まる「結婚の報告」は、誰もが小さな幸せを得られる機会となって欲しい。今宵の二人の小さな幸せ者に幸あれ。

©映画「結婚の報告」製作委員会

映画『結婚の報告』は現在、5月31日(土)より東京のシネマロサにて、公開中。

(※1)婚姻組数を増やすにはhttps://www.ffines.jp/recruit/blog/%E5%A9%9A%E5%A7%BB%E7%B5%84%E6%95%B0%E3%82%92%E5%A2%97%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%AB%E3%81%AF.html#:~:text=%E8%AA%AD%E8%80%85%E3%81%AE%E3%81%BF%E3%81%AA%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AF%E3%81%93%E3%81%AE,%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82(2025年6月6日)

(※2)結婚に関する現状と課題についてhttps://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f27802a2-0546-424d-ac61-ac0641d67d38/cf9b37be/20240719_councils_lifedesign-wg_f27802a2_02.pdf(2025年6月6日)

(※3)今やSNSを使って結婚報告を行うカップルは7割超!11月22日、23日は「いい夫婦の日」「いい夫妻の日」https://wedding.kufu.co.jp/news/jaq5wf9_3(2025年6月6日)

(※4)あなたが結婚の報告をいち早く伝えたいのは誰? いまどきカップルは、結婚報告もLINEを使ってる!?https://www.anniversaire.co.jp/brand/pr/soken1/report81/(2025年6月6日)

(※5)みんなビックリ!実際にあった驚きの結婚報告エピソードまとめhttps://m.niwaka.com/ksm/radio/marriage-announcement/boss-friend-relative/base/15/#anc01(2025年6月6日)

(※6)すっきり晴れやかな気持ちで『結婚の報告』阪本武仁監督インタビューhttps://eigairo.com/?p=51954(2025年6月6日)